14-17.宝玉の行方
私達は沈没船の捜索を続ける。
レーネの目当ては当時の姫が持ち出したという宝玉だ
宝玉ってなんなのだろう。
魔道具なのかな?
何の細工も無く不思議な力を持つファンタジー物質って
この世界でも殆ど聞いたことがないのよね。
強いて言うならダンジョンコア?
あれ?そう考えると、
意外と宝玉とやらもありえそう?
けど、やっぱり船の件も合わせて
本当に実在するのかすら疑わしい。
まあ、乗りかかった船だ。
もう少しは付き合うとしよう。
最悪、人化の魔術を生み出してお茶を濁すとしよう。
地上で観光案内して、
いくらかご馳走すれば満足するかもしれない。
そもそも宝玉を見つけ出しても、
レーネが持って地上に上がるのは、
流石の激甘国王でも止めるだろう。
止めるよね?
宝玉が国に没収されればレーネの野望は潰えることになる。
王様もレーネを強く止めないのは、
話を信じていないのか、
場所がわかっても
辿り着けないと考えているからなのかもしれない。
単に、レーネを甘やかしているだけかもしれないけど。
『ノアちゃんどう思う?』
『何がですか?突然聞かれてもわかりません』
『さっきの話。実在すると思う?』
『レーネには悪いですが、
存在しないんじゃないですか?
そもそも、船と一緒に宝玉があるとも限りませんよ?
姫は青年を救い出して
どこかで幸せに暮らしたのかもしれません』
『ああ。なるほど。
その可能性もあるのね』
『もちろん存在するならですが』
『この探索もどこかで区切りを付けなければいけないかもね』
『そうですね。
せめて少しでもレーネを楽しませて上げましょう』
『何か良い方法があれば良いのだけど』
『アルカなら大丈夫です!』
『本気出して良いの?
後で怒らない?』
『・・・怒ります。
その時はまた叱って下さい。
それで仲直りして下さい』
『・・・怒らせたくないなぁ』
『頑張って耐えるので、
私が怒る前にまたキスしてください』
『今して良い?』
『ダメに決まってるでしょ!
レーネもいるんです!』
『残念だわ』
『アホな事言ってないで、
ちゃんと探してあげましょう。
アルカの探知魔法なら広範囲を調べられるでしょう?』
『使ってるんだけどね・・・
そこまで深い海溝はやっぱり見つからないのよ』
『いっそ、近くの町で聞き込みをするのはどうですか?
似たような伝承でもあれば、
船の進路も少しはわかるかもしれませんよ?』
『どうかしらね・・・
流石に難しそうだわ。
きっと数百年は前の事でしょうし』
『そもそも、人間視点だと
別に語り継ぐ要素が無いのよ。
例え生き残りがいたとしても、
一方的に人魚に襲われて沈められた様にしか映らないわ』
『・・・そうですね』
『それだけ見るなら、
きっと似たような事は何度もあったでしょうしね。
それに、遊興用の豪華客船なんて現代でもあるのかしら?
航海技術自体が衰退するくらい時間経ってたりしない?』
『それはグリアさんにでも聞いてみないとですね。
私も船の事はわかりませんし』
『きっとグリアにはセレネが相談しているでしょう。
今晩にでもセレネに聞いてみるわ』
『・・・程々にしてくださいね?』
『何をかしら?
ノアちゃんは今何を思い浮かべたの?』
『もう話はお終いです!
何時までもレーネを放っておいてはいけません!』
『大丈夫。何か今リヴィと話してるから』
『リヴィの浮気者』
レーネとリヴィが楽しそうにしている姿を見て、
ノアちゃんは思わず呟く。
ノアちゃんの嫉妬深さも相当ね・・・
流石にあの二人にまで嫉妬するのはどうかと思うわ。
まあ、リヴィの節操の無さには同意するけど。
構ってくれれば誰にでも懐くものね。
『アルカ様そろそろ次に行きましょう!
リヴィアちゃんは私がお連れしますね!』
『お願いね』
私はノアちゃんを正面から抱きかかえて、
泳ぎだした二人に続く。
二人が前を向いている隙に、
抱きかかえたノアちゃんにキスをすると、
噛みつかれてしまった。
ノアちゃんの甘噛良いかも・・・
今度ゆっくりしてもらおう。