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14-12.不安

暫く泳いだ後、

停止したレーネは周囲の魚に質問して情報を集める。


レーネ曰く、知っている者は案内してくれるそうだ。

残念ながらいまだその様な動きをする魚はいない。


でも、レーネが念話を送ると、

周囲の魚たちが一斉にレーネの方を向く様は、

なんだか神秘的な光景だ。


まるで映画の世界の様だ。

まあ、眼の前に人魚がいる時点で今更なのだけど。




そんな調子で、遠くまで泳いでは

周囲の魚たちに話を聞くのを繰り返す。


どうやらレーネは人魚の国を中心に

円を描くように聞き込みを進めているようだ。



前回もこの様にしていたから、

直線距離ではそう離れていなかったのか。


意外と考えていたんだな。

普段の言動とのギャップが激しい。




『アルカ様!何か気になる事でもありましたか!

気になりますか!』


どうやらレーネの事を見すぎていたようだ。

質問が終わって魚達が解散した所で、

レーネが私に聞いてきた。


別に深い意味は無いから抓らないでノアちゃん。

私はノアちゃんの手を取って握る。



『レーネが魚達と話す光景が

何度見ても不思議だなって思っただけよ』


『不思議ですか?そうですか?』


『それこそおとぎ話みたいな光景に見えるもの』


『そうですか!なんだか照れます!

照れちゃいます!』



ノアちゃん。

そろそろ良い加減にしなさい。

独占欲は嬉しいけど

一々反応されてたら会話もままならないわ。



「アルカなんて知りません!!」


また私のお腹を抓っていたノアちゃんを嗜めると、

ノアちゃんはそう言いながら、そっぽを向いてしまう。



『そろそろ良い時間だから帰りましょうか。

続きはまた明日にしましょう』


『はい!明日もお待ちしてます!

待ってますよ!』


私はレーネにも触れて転移する。

ノアちゃんはそっぽを向いてからも私の手を握り続けていた。


レーネを人魚の国に送り届けて、

私はノアちゃんとリヴィを連れてテントに転移する。



「ノアちゃん。お風呂入りに行きましょう」


私が話しかけても返事はない。

けれど、ノアちゃんは近づいてきて私の手を握る。


私はそのまま自宅に転移した。









私はノアちゃんを抱えてお風呂に浸かる。



「ごめんなさい」


暫くしてノアちゃんが口を開いた。



「気持ちは嬉しいのだけど、

もう少しだけ信じてくれると嬉しいな。

今朝私の気持ちを伝えたつもりだったのだけど」


「わかってはいるんです・・・でも・・・」


「きっと私の伝え方が足りていないのね。

だから不安にさせてしまうのね」


「そんな事!」


私は振り向いたノアちゃんの口を塞ぐ。



「ノアちゃんの事もセレネの事も

本当に大好きで愛しているのだけど、

きっと言葉だけでは伝えきれないでしょうね」


「かと言って、

今これ以上するのも本意ではないし、

どうしたものかしら」


「もっと力いっぱい抱きしめれば伝わるかな。

こうやってキスを繰り返せば伝わるかな。

ノアちゃんにもセレネにも心の底から安心してほしい。

そのために出来る事は無いのかしら」


「・・・ごめ」


私はまたノアちゃんの口を塞ぐ。



「謝らないで。

ノアちゃんが悪いわけじゃないの。

私のせいだから。

私が矛盾しているの」


「私が二人の気持ちには

まだ応えないって決めたのに、

二人に私の気持ちを

知っていて欲しいなんて

望んでいるのがおかしいの」


「二人が不安になっていても、

私は自分の決めた通りに責任を果たすべきなの。

けど、どうしても出来なかった。

心の底から安心させてあげたかった」


「そんな風に中途半端だから二人の気持ちを振り回しているの。

応えないと決めたのなら、

不安を解消出来ないのなら、

二人に責めさせてあげるべきだった。

二人の不安をぶつけさせてあげるべきだったの」


「私はそれが我慢できなかった。

二人に責められるのが、

不安にさせるのが辛かっただけ。

ごめんね。ノアちゃん。

私が中途半端なせいで辛いよね」



「・・・そんな事無いです!

違うんです!

嬉しくて舞い上がっていただけなんです!

私が調子に乗っていただけなんです!

アルカは悪くありません!ごめんなさい!」


泣き出してしまったノアちゃんを抱きしめる。



どうして私は・・・


ごめんね・・・

ノアちゃん。


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