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2-8.聖女の旅立ち

結局、聖女との面会中はノアちゃんが喋る事は無かった。


本来の予定では、私の代わりにノアちゃんに喋ってもらうはずだったが、

ノアちゃんの機能不全と私の覚醒で役割が逆転してしまった。



「すみません。アルカ。何も役に立てませんでした・・・」


宿に戻った後、我に返ったノアちゃんが沈んでいた。

せっかく私のために頑張ろうとしてくれたのに、

失敗してしまったと落ち込んでいる。




「聖女の事は予想外だからしょうがないわよ。

幸い私がちゃんと喋れたから良しとしましょう。

聖女以外とはきっと上手く喋れないから、

まだまだノアちゃんに頑張ってもらわなきゃ!」



「はい!頑張ります!」


良かったちょっと元気になった。

私の情けなさがノアちゃんの役に立った!

ぐぬぬ・・・




元気になったと思ったノアちゃんが少し低い声で続ける。


「ところで、なんで聖女様には普通に喋れたんですか?」


「ノアちゃん!?なんで怒ってるの?」


「怒ってないです。怒られる心当たりでもあるんですか?」


「やっぱり怒ってる!ノアちゃん!話を聞いて!」





その後、聖女との会話で感じた事を順を追って説明した。

結論として私が聖女を警戒しているから喋れているのではないかと。



「確かに、アルカは緊急時なら普通に喋れていましたね。

慌てたり、警戒したりと余裕が無くなると素がでるみたいです。」


「なんかそうまとめられちゃうと情けないわね・・・」


「まとめなくても情けないですよ。」


「うぐぅ・・ノアちゃん酷い・・・」




「それはそうと、今回の旅の間ノアちゃんは

絶対に私の側を離れないでね?

聖女と同じ顔のノアちゃんに対して

良からぬことを考える輩がでないとも限らないから。」


「わかりました。守ってくださいね!アルカ!」


「もちろん!」





----------------------






翌日、予定通り聖女一行は巡礼の旅に出発した。



私達と聖女とお付き一行以外には、

教会の戦力である騎士達と冒険者が加わった。



流石聖女様、大所帯だ。


教会ってお金持ってるの?

この世界の教会は清貧とか辞書に載って無さそう。



どう見てもたった数人を護送する戦力ではない。

なにか権威的なものを主張する意味でもあるのだろうか。



私達以外の冒険者本当に必要?

教会戦力も十分ありそうなんだけど・・・



聖女は神託があった事で、何かが起こると確信していた。

その何かへの対応手段としてこの戦力を用意したのだろうか?


あれ?でもギルド長は元々護衛の冒険者は募集していたと言っていたはず。

私が神託以降に追加で呼ばれただけのはずだ。


この戦力は神託以前から準備されていた?

なんのためだ?


神託が降りたことで教会戦力を動かせるようになった?

その場合は、本来冒険者だけを護衛とするつもりだった?


やっぱり考えてもわからない。



少なくとも盗賊対策だけを目的とした戦力では断じて無い。

こんなの潰せる盗賊団いたら絶対有名になってる。






私達は聖女の馬車の横を歩いていた。

聖女からは馬車に一緒に乗って欲しいと言われたが、

冒険者としての立場を理由に断った。


神託について他の冒険者は知らないのだから

最低限、護衛としての動きはしないと不自然でしょう?

と伝えると渋々納得してくれたのだった。


本当は私自身が聖女を警戒しているため

同じ馬車に乗りたくなかったのが理由だ。



私の隣にはフードを目深に被ったノアちゃんが歩いている。

念の為、顔を隠してもらっているのだ。



そうして、巡礼の旅は何事も無く続いていく。

こんな大所帯の所に突っ込んでくる馬鹿な魔物や盗賊がいるはずはない。



「何も起こりそうにありませんね。」


ノアちゃんも退屈そうだ。

二人でいた時のように勝手に走り回るわけにもいかず、

決まったペースで歩き続けなければならない今の状況は、

ノアちゃんには辛いだろう。


というか慣れていなければ他者のペースで一日中歩き続けるなど

疲れないわけがない。ノアちゃんの小さな歩幅では尚更だ。



正直私もしんどくなってきた。



これ後、数日は続くんだよな・・・


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