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14-9.家庭の事情

私達は歓迎の宴に招かれた。


次々に運び込まれる海の幸。

それぞれがどうやってか球体の空気に包まれている。


あの空気ごと口に運べるそうだ。

別に私達の為というわけでもなく、

様々な場所で使われている技術のようだ。


まあ、それがなきゃ海中で料理とか難しそうだものね。

どう見ても火を通されているものまであるし。


料理だけでなく、明かり等にも使われているらしい。





というか食ってんじゃん!!


魚や貝は友達と言っていたレーネは、

運ばれてくる料理を見ても何も気にしていない。


え?どういう事?


あれ?

料理を良く見てみると違和感を感じる。


貝殻とかが外されている?

魚も全て切り身になってる?

全体的に元の姿が分からないようになってるの?

もしかしてレーネのため?


私は感じた疑問を王様に聞いてみる。


『それはだな・・・

レイネスは彼らと意思の疎通ができるのだ。

そのため・・・』



王様曰く、

レーネは念話の力が強すぎるのか

食料としている様な生物達とすら会話ができるそうだ。


厳密には会話ではなく、

一方的に話しかけて指示ができるらしい。


貝や魚が何か言葉を返す事はないのだが、

レーネの言葉を理解して反応を返してくれるようだ。


あの喧しさも、

興奮すると強すぎる念話の制御がおろそかになる為らしい。



ともかく、

レーネは魚や貝の類を友達だと思っている。

そのため、普通に出しては食べる事を拒否してしまう。


けれど、当然食わねば生きていけない。


苦肉の策で正体がわからないように調理しているようだ。

幸か不幸か幼い頃に始めた上、

本人も素直すぎるくらい素直なので、

見た目だけ変えれば同じものだと気付かなかったらしい。


気持ちはわかるけど過保護過ぎない?

気付いたら余計拗れるわよ?



『わかってはいるのだが・・・』


王様は娘に相当甘いようだ。


レーネはまだ十二歳だった。

セレネ達より年下だ。


しかも、体だけは大人っぽいのに、

中身は年齢以上に幼いそうだ。



箱入り娘なのね。


なんで家出なんてしたのだろう。

さっきは普通に家族と談笑していたくらいだ。

少なくとも食料バレではないようだけど。



ともかく、それで食料の正体に気付いていないレーネは

外で食べられるものを見つけられなかったのか。


人間に釣られなくて良かった。

こんな可愛い子、どんな目に遭うことか。



『『アルカ!』』


『違っ!純粋に心配しただけ!

そんな目で見てないってば!』


二人とも目ざとい・・・

心読まれてるの?

覚視で胸部に意識が向いてるのを視たから?



違うの!

私の趣味じゃないの!

基本的にはフラットなのが好きなの!

セレネのならもう少し大きくしたいとは思っているけど!


嬉しそうな顔をするノアちゃん。

複雑そうな顔をするセレネ。


いや、育ちかけも良いものなんですよ?

ただセレネにはついつい甘えたくなるから・・・


嬉しそうな顔をするセレネ。

嫉妬するノアちゃん。




アホなことをやっている内に、

宴会の準備が整った。


私は一応、二人にレーネの事を伝えて、

不用意なことを言わないように頼んでおく。



何時までもそんな事は続かないと思うけど。

まあ、ご家庭の事情に首を突っ込むのは流石にまずかろう。


それに折角ここまで歓迎してくれるのだから、

この場を乱すような事は言うまい。


この調子なら二人もアリアとの事を忘れてくれるかもしれないし。





そんな事は当然無かった。


宴会を満喫し、

私達は一度地上に帰る事にした。

魔法のお陰で地上と変わらないくらいに快適とはいえ、

流石に海中で一晩眠るのは抵抗がある。


渋るレーネにまた明日来ると約束して、

私達は帰還した。




テントに戻るなり、

私を正座させるノアちゃん。


さっきまでの楽しそうな表情を消してしまったセレネ。



「すみませんでした!」


二人が話し始める前に地に伏せる私。



「アルカには反省してもらわなければなりません」


私の謝罪をスルーしてお説教を始めるノアちゃん。



「私達がどれだけアルカの事を好きなのか

ちゃんとわかってもらわなければいけないの」


頭を下げる私に近づいて囁きかけるセレネ。



その後は、ブチギレノアちゃんと

淡々と語りかけてくるセレネに一晩中詰められる事になった。

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