14-5.満喫
私達は一通り屋台を巡り終えて、
海辺に設置したテントに戻ってきた。
買ってきたものを並べていくと、
リヴィも戻って来る。
どうやら今の今まで海で遊んでいたようだ。
相変わらず誰よりも満喫している。
そんなリヴィを見て、
ノアちゃんが働かざるもの食うべからず的なことを説いている。
まあ、ノアちゃんは醤油を見つけ出すという最高の仕事をしたばかりだ。
一通り並べ終えて、
人間のように肩を落として項垂れるリヴィも含めて、
全員で海の幸にかぶりつく。
「「「美味しい!!!」」」「!?」
リヴィは一口食べた途端、
元気になってがっつき出した。
私達も負けじと続く。
「アルカの言っていた醤油というのも美味しいですね!」
早速買ったばかりの醤油を焼き魚にもかけて食べるノアちゃん。
元々十分な塩もかかっているのに濃すぎないかしら。
でも良い食べ方だ。
大根も欲しくなる。
海の向こうにあるかしら。
一緒に探してみよう。
セレネはイカ焼きが気に入ったようだ。
今度醤油で焼いたものも作ってあげよう。
リヴィは巻貝の焼いたものを食べている。
器用に指先で中身だけ取り出しているようだ。
リヴィの貝にノアちゃんが醤油をかけて勧めている。
普及活動を始める程気に入ったらしい。
この調子だとあっという間に使い切るだろう。
早急に海の向こうにあるという島国に行かねば。
何もツッコまないよ?
お昼ご飯を満喫した後は、
また水着に着替えた。
ノアちゃんもいい加減慣れたようだ。
もう恥じらいの欠片もなく柔軟体操を始めた。
私は柔軟中の姿を後ろから眺める。
尻尾が伸ばされてスカートが持ち上がっている。
可愛いおしり。
私の加工した尻尾穴もピッタリだ。
我ながらいい仕事をしたものだ。
うむうむ。
「アルカ!見すぎです!」
ノアちゃんはこっちも向かずにそう言う。
ノアちゃんから目をそらして、
セレネの方を向くとすかさずポーズをとってくる。
なんでこの子水着知らなかったのに、
そんな事は知っているの?
ファッションショーと同じノリなのだろうか。
まあ、見せてくれるというなら、
遠慮なく焼き付けておこう。
セレネも可愛い。
「何時までも馬鹿なことやってないで行きますよ」
ポースを取るセレネと囃し立てる私を見かねて、
ノアちゃんからストップがかかる。
私は全員に水中探索用に作った魔法をかける。
水中でも呼吸ができたり、
水の底で歩けたり、
水圧の影響を無効化したりと効果満載の優れものだ。
私達は皆で海の中に潜っていく。
午後は水中探索だ。
ある程度潜ると、各人思い思いに散っていく。
まあ、どこにいようが私が回収できるから問題ない。
リヴィは危険な所にだけは近づかないようにね?
あなただけは警戒心が無さ過ぎてママ心配よ。
リヴィのママはノアちゃんだから、
私はおばあちゃんかしら・・・
まあ、ママでいいか。
そう思っていたけど、
どうやらリヴィはノアちゃんと一緒に行動するようだ。
先にノアちゃんが言い含めておいたのかもしれない。
転移門があったから必要としていなかったけど、
念話魔法でも作っておくべきだった。
試しに念話魔法をイメージしてみる。
セレネに話しかけると、
こちらを向いて近づいて来たが、
念話は何も帰ってこない。
まさかの一方通行・・・
なんで普段は勝手にいろいろ付け足してくれるのに、
こんな所だけ融通が効かないのかしら。
相手も使えないといけないとは。
そばに寄ってきたセレネを抱きしめて、
普通に話しかけると会話できた。
水中探索魔法は優秀だった。
「ちょっと念話魔法を作ってみようと思ったのだけど、
どうやら一方通行みたいね」
「残念ね。
これが使えたら何時でもアルカとお話できたのに。
小型転移門は人前では使えないものね」
「後でもう少し試してみるわ。
それより折角だから一緒に行きましょう。
手を繋いで水中散歩も素敵だと思うの」
「もちろん!大歓迎よ!」
セレネは早速指を絡めてくる。
二人で水中を歩きながら、
綺麗な魚やサンゴみたいなのを見て回る。
魚たちが逃げていかないのは、
もしかしたら魔法の効果なのかしら。
それとも元々こんなもの?
まあ、どっちでも良いか。
今はこの楽しい時間を満喫しよう。
そうして暫く歩いていくと、行倒れを見つけた。海底で。
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