14-4.水着
「良いよぉ!!!二人とも!!
ノアちゃんもこっち向いて!」
私は二人に水着を着せて並んでもらう。
二人ともセパレートタイプだ。
ワンピースタイプは丁度良いのが見つからなかったのだから仕方がない。
決して私が幼女のお腹が好きだからではない。
いや、水着の上から見るのもそれはそれで良いものがあるのだけど。
無かったものは仕方がないな。うん。
そもそも、二人とももう幼女って感じはない。
セレネはつい最近十三歳になったし、ノアちゃんももうすぐだ。
成長は十二歳になる直前くらいで止まっているので、
身長は私の肩を過ぎた所から伸びていないけど、
もうとっくに少女という感じだ。
むしろ、顔つきはまだ幼さも感じるのに、
二人共それぞれに大人っぽい感じもある。
まあ、二人とも濃い人生送っているものね。
セレネはフリルのついた白い水着を着て、
早速ポーズを取ってくれている。
カメラがあれば撮っていたものを!!
爺さんに頼んだっきりいつの間にか忘れてたわ。
もうとっくに出来てたりしない?
ノアちゃんはシンプルな黒だ。
敢えて、下はスカートタイプにしておいた。
恥ずかしがってそっぽを向いているのもポイント高い。
二人とも良く似合っている。
思わず抱きしめてしまいたくなる。
というか、もう抱き寄せていた。
「もう。今日は海で遊ぶのでしょう?」
「・・・」
「大丈夫よ。今は変なことしないわ。
ノアちゃんは何でそんなに恥ずかしがっているの?
いつも一緒にお風呂入ってるし、
寝る時は下着だけも多いじゃない」
「・・・何かアルカの視線がいやらしいです」
「それも何度も向けられてるじゃない」
「何かいつもと違うんです!
きっとこの服のせいです!
アルカ変な魔法でもかけたんじゃないですか!?」
「「ニヤニヤ」」
「二人とも!」
「恥じらうノアちゃんって良いわよね」
「やっぱり、このままテントに引き返しましょう。
もう我慢できないわ」
ノアちゃんは私達を弾き飛ばして海に飛び込んだ。
「ふみゃ!!!」
勢いで海の水を飲んでしまったようだ。
顔を出してぺっぺってしてる。
何あれ可愛い。
そのまま、ノアちゃんに向かって飛び込んだ私達と
逃げるノアちゃんの追いかけっこから始まり、
昼過ぎまで遊び続けた。
お昼は町に食べに行くことにした。
長く遊びすぎたので、魔法で手短に海水を洗い流して服を着替える。
私はここから近い町には行ったことがあったのでそのまま転移する。
二人は海辺の町の屋台に目を輝かせて次々に購入していく。
今日は時間も惜しいので、リヴィはお留守番だ。
というか、海から上がってこなかった。
流されないと良いのだけど。
とりあえず、大量に購入して、
テントに戻って食べるつもりだ。
収納空間なら冷める心配も無いし、
食べきれないくらい買ってしまおう。
今日はいつもの冒険者服ではない。
三人ともお出かけ用のおしゃれ服だ
きっと身元が割れる事も無いだろう。
たぶん。
「何か変わった匂いがします!」
ノアちゃんは突然そう言って走り出した。
セレネに無理やり着せられたミニスカートでもお構いなしだ。
まあ、何故か器用にめくれずに走っているのだけど。
ここ最近は滅多に履いてないのに。
出会ったばかりの頃のように、
またメイド服でも着てもらおうかな。
最初に着ていたものは随分と作りが良かったけど、流石に小さすぎる。
ノアちゃんと出会った奴隷商館でどこで手に入るか聞いてみようかしら。
セレネと合わせて今のサイズで作ってもらおう。
ノアちゃんが嫌がってもセレネが採寸させてくれれば問題ないだろう。
セレネは絶対に乗ってくれるはずだ。
しばらくノアちゃんを追いかけていくと、
私にも匂いがわかった。
醤油だ!?
え!?なんで!
前来た時は気付かなかったのに!
水着買った時は屋台まで見なかったけど、
昔来た時は醤油も軽く探したはず。
見落としたのかしら。
ノアちゃんの見つけた屋台以外からは匂いがしないから、
この町でも珍しいのかもしれない。
私達が辿り着いた時には、
ホタテのような貝を焼いている屋台で、
既にノアちゃんが大量に購入していた。
「このタレ醤油?」
「しょうゆ?
いや、これは・・・」
屋台のおじさんが言うには、
海の向こうから仕入れたものらしい。
名前は醤油では無かったが、
この世界と向こうとで名前が違うのはよくあることだ。
まあ、私は醤油と呼ぶのだけど。
誰がなんと言おうと、
この子はもう私にとっては醤油だ!
テンションがおかしくなるくらいには興奮している。
おじさんもつい最近、
試しに仕入れてみたところらしい。
どうりで昔は見つけられなかったわけだ。
おじさん!ナイス!
もうお礼に屋台のもの全部買っちゃう!
既にノアちゃんが買い占めた?
流石我が家の炊事番。
目の付け所が良いぜ!
おじさんから醤油も少し購入させてもらった。
いろいろ感謝も込めてたっぷり色を付けておいた。
仕入先はまた海を渡っているので今は連絡がつかないそうだ。
次の目的地決まったかもしれない。