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14-1.目的地

「ところで、あの神官さんの所には行かないのですか?

女神に一番近い人である事は間違い無いですよね」



「そうなのよね・・・

試しに話してみたいとは思っているのだけど、

セレネはまだ反対みたいなの」


「セレネは女神ニクスを信用していませんからね。

まあ、私達もそれは同じですが」


「セレネの本命は信仰心集めによる、

女神ニクスの力の復活だものね。

本来の目的が妨げられたらたまらないのでしょう」


大昔に女神は力を失うことを意図的に見過ごした。

これがどう言う意味なのかわからない以上は仕方がない。


けれど、その信用出来ない女神の力を取り戻して、

本当に大丈夫なのだろうか。


少なくとも女神を信じていた魔王の事は信じられる。


魔王やルネルの話を聞く限り、

女神が根っからの悪である事は無いと思う。


ただ、私達とは根本的な思考が違うのかもしれない。

女神は必要だと思えば何でもやるのだろう。


自分を信頼していた者に残酷な運命を背負わせる事さえ。


それでも、世界のために行ったはずだ。

そうでなければ、魔王があんな態度を取るわけがない。


きっと女神は優先順位が違うのだろう。

一番は世界のため、それ以外は二番目以降。


それが女神なりのこの世界に対する責任なのだと思う。


例え自分を慕ってくれていた人達に憎まれてもやらなければと思うほどに。




女神の真意は会って確かめるとしよう。


私は気持ちを切り替える。



「それにまだ急ぐ必要も無いわ。

後二年ちょっとはのんびり探しましょう。

というか・・・」


正直もうパスの解除に拘ってはいない。

二人が苦にしていないのなら解除する必要も無いのだろう。


結局セレネから完全に離れていた一月程度の間も、

それ以降のセレネと頻繁に会う日々の間も、

パスには何の影響も無かった。

特に深まったり薄まったりしなかったのだ。


パスが深まって二人に異変が生じる事を恐れていたが、

当の二人が言うように、そんな心配は無いのかもしれない。




それに、

ノアちゃんとセレネから告白された時は、

パスのせいで二人の私への好意が混ざり合って、

暴走しているものと思っていた。


それで、二人の気持ちに応えるのは、

パスを解消してからと条件を付けてしまったが、

この一年半近くの間、

二人の気持ちはちゃんと年相応に育っていた。


今なら少し位私のことが好きすぎても素直に嬉しいと思える。


けれど、それを口にしてしまうと、

歯止めが効かなくなってしまいそうな気がして、

二人には言えていない。


ちょっと狡いと思うけど、

十五歳になるまではこのままでいよう。


どの道、女神に合う事はいつか必要な事でもあるのだろうし。



「ともかく、女神の手がかりは無いものとして探してみましょう。

セレネが出来ない実地での探索をしてみましょう。

それより、行きたい所を思いついたの」


「良いですよ。

どこへでもお供します」


「本当に~?

聞かないで決めて本当に良いの?」


「じゃあ止めましょう」


「冗談だから!

多分ノアちゃんも喜ぶ所だから!」


「なら良いです。

信じていますよアルカ」


「もしかしたら、苦手かもしれないけど、

喜んでくれるんじゃないかなとは思ってるよ」


「なんで言い直したんですか!

自信無いなら止めましょうよ!」


「けど、きっとセレネは大喜びするわ。

セレネがはしゃぐ所を見たくない?」


「それなら・・・まあ」


「きっとそれを見たらノアちゃんも気にいるわ」


「どこに行くんですか?」


「秘密。

ここからなら一週間くらいだから、

せっかくなのだし歩いて行きましょう。

のんびり旅を楽しむのも良いものね」


「それはもちろん構いませんが・・・」


「大丈夫よ。

ノアちゃんも最初は抵抗があるかもしれないけど、

最後は絶対に楽しめると思ってるもの」


「まあ、良いです。

なら行きましょう。

アルカもどうしても行きたいようですしね」


そう言って、ノアちゃんは私の手を引いていく。


暫くは道なりだ。

別に寄り道したって良い。


時間ならいっぱいあるのだから。


二人にはまだ内緒だけど、

十五歳になったらパスの有無に関わらず応えてしまおう。


それまでは母娘の時間も楽しもう。


きっとこれから行く所でも

二人がいっぱい楽しめるはずだから。


リヴィもね。

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