13-17.お祝い
私達は宴会を開くことにした。
宴会というより、お祭りかな?
ギルドの承認を機に、
国全体でお祝いをする事にしたのだ。
いきなり前にでて乾杯させられた時は人生最大の壁が立ちふさがった気分だった。
皆、仮にも国王なのだから当たり前だと言って助けてくれなかった。
あとでノアちゃんとセレネはイジメ倒す事にしよう。
絶対ヒイヒイ言わせて見せる。
なんとか落ち着いて席に着いた頃には、
既にノアちゃんが酔っ払っていた。
どうやらセレネが仕組んだようだ。
ナイス!
ノアちゃんは真っ先に座っている私の元にきて、
正面から膝に乗って抱きついてくる。
それを見てセレネが心底悔しがっている。
自分に甘えさせようとしていたようだ。
ふふん!ノアちゃんは私のよ!
セレネにだってあげないわ!
でもセレネも私のだから、
一緒に来てもいいのよ?
もうノアちゃんの身長は私とあまりかわらない。
膝に乗ると顔が同じ高さになる程だ。
テッサの町で参加した飲み会の時とは全然違うのだ。
私達を見て、テッサのギルド長さんはやっぱりって顔をしている。
それはどっちかしら。
こんな所でノアちゃんの暴走を見せるわけにはいかないので、
渋々後頭部を撫でて落ち着かせるとあっという間に眠ってしまった。
「君達、外では程々にしたまえ」
「セレネがノアちゃんにお酒飲ませたの。
保護者の一人として少し言っておいてくれる?」
「まったく君達は・・・」
グリアはセレネの所に向かった。
本気で何か言いに行ったわけではなさそうだけど。
というかセレネは何でこっちに来てくれないの?
何時でも側にいて欲しいんだけど。
なんだか色んな人と話しをしているようだ。
教会トップとしての立ち回りなのだろうか。
モヤモヤする。
「そうしているのを見ると、
ノアもまだ子供なのだと思い出すな」
次はピレウスのギルド長が現れた。
エイミーと一緒だ。
「そうよ。
こんなに大きくなったけど、
まだこの子は11歳なのだもの。
親に甘えたくても仕方がないわ。
酔っ払ってしまったのもあるしね」
「親ね・・・
本当に信じていんだよな?」
「当たり前じゃない!
まだちゃんと我慢しているわ!」
「・・・はあ~。やっぱりか・・・
お前も酒が回っているようだぞ。
今のは聞かなかった事にしてやるから、
これ以上ボロを出す前にもう帰った方が良いんじゃないか?」
「アルカ。今度またお話しましょうね」
ギルド長とエイミーは去っていった。
やらかした?
いや、でも、時間の問題だし・・・
どうせエイミーにはいつかばれるし・・・
セレネは相変わらず談笑を続けている。
その姿を見てまたモヤモヤする。
「!?」
私はセレネが一人になったタイミングを見計らって、
魔法で腕の中に引き寄せる。
セレネが突然転移されて驚いている隙に、
そのまま自宅に転移した。
ノアちゃんとセレネをベットに寝かせて、
セレネに覆いかぶさる。
「突然どうしたの!?」
セレネはまだ驚きが続いているようだ。
「ノアちゃんが寝ちゃったわ」
「そうね。
アルカに撫でられて瞬殺だったわね」
「私も少し飲んじゃったの」
「お酒の事よね」
「ノアちゃん寝ちゃってるの」
「つまり?」
「今はセレネと二人きりなの」
「代わりなら嫌よ?」
「今はセレネが良い」
「本当にそう思ってる?」
「うん」
「酔った勢いと、
酔っ払いノアに甘えられたせいでは無いと誓える?」
「・・・」
「きゃ!」
私はセレネの胸に顔を埋める。
埋めるほどはまだないけど。
ちゃんと柔らかい。
「こんなの嫌よ?
優しくしてくれるんじゃ無かったの?」
セレネに頬を挟まれて持ち上げられる。
「なら、セレネから慰めてくれてもいいよ?」
「今は嫌」
「寝てるノアちゃんにイタズラするのはな~
起きたら怒られるし」
「怒られなくてもしてはダメよ」
「一緒にお風呂入りましょう」
「それも嫌。
このタイミングじゃ無ければ喜んで行くんだけど」
私はセレネとノアちゃんの間に寝転がる。
「じゃあ、手を繋いでいて。
それだけでいいから」
「良いけど。
どうかしたの?
そんなに皆の前で話すのが辛かったの?」
「ううん。
セレネもノアちゃんもまだ11歳なんだなって思って」
「それが?」
「まだ子供なのに、
あまり子供らしく甘えさせてあげられてないなと思って」
「それは・・・」
「そう思ったのに、
結局押し倒してたわ」
「・・・」
「セレネが私以外の人と話しているのが我慢できなかったの。
セレネが私以外の人に笑いかけているのが我慢できなかったの」
「それは・・・嬉しい」
「けど、本当はもっと子供らしい姿も見せて欲しいの。
そうも思っているのに・・・我慢できなかった」
「・・・そっか」