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13-15.思いつき

私はグリアに相談する事にした。



「私が積極的に動くことで状況が好転する方法って無いかしら。

いろいろ考えてみたのだけど、

どうにもしっくりこないのよ」


「何を考えたのか言ってみたまえ。

私も詰めていけば使える可能性もあるだろう」


「一つ目は、

転移装置をルスケア領にでも繋げないかなって。

そうして忍び込んできた敵を捕縛していけば、

その主の事を調べたり出来るかなって思ったの。

捕縛した敵はここの地上を開発させても良いだろうし」


「それは大きな問題があるな。

転移装置の移設を現段階で行ってしまえば、

ギルドにも手法を伝えねばならん。

再現可能かどうかはともかく、

転移装置の技術を広めるわけにはいかんだろう」


「それにそもそもが危険すぎる。

転移装置によって出入り口が制限されている現状は、

我々にとって最大の問題ではあるが、

同時に敵に攻め込まれない理由でもある。

わざわざその優位を捨ててまでやるメリットが薄い」


「そうね。

私も似たような事を考えたわ。

それで、二つ目なんだけど、

地上に道を作ってしまうのはどうかしら。

流石に地下空洞のような物を作るのは難しいけど、

その延長上に道を作って他所の国と繋げてしまうくらいならできそうだと思うのだけど」


「何のために?

その道を通る者達はどうやって魔物から身を守るつもりだ?

接続先の国との友好関係は?

作って何をしたいんだ?

ちゃんと最後まで説明したまえ」


「道はあるだけでいいの。

今は誰も通る必要なんてないわ。

何れは通れる方法も考えたいけどね。

魔物除け魔道具を埋め込んだ馬車でも作ってみるのも良いかもしれないわ」


「今はそれよりも、

未開拓地をそれだけ簡単に開発出来ると知らしめるの。

私が魔法で地形を整えるだけだから、

ちゃんとした道として整備する必要も無い。

そして、無理やり通ろうとして来た相手は魔物達が勝手に撃退してくれる」


「それもやる意味が薄いのではないかね?

距離が遠すぎて少し見たくらいでは

本当に繋がっているとは証明できんだろう。

まさか、観光ツアーでも開くのか?

数日かけてSランク冒険者の護衛で未開拓地の深部まで行けますとでも?」


「ええ。そんな感じね。

私達に喧嘩を売るのがどういう事かって

向こうも理解してくれそうじゃない?」


「誰も真面目に相手せんだろう。

知られなければ無いのとかわらん。

やはり意味があるとは思えんな」





「じゃあ、三つ目。これが最後よ。

飛行船の建造なんてどうかしら」


「ひこうせん?」


「空を飛ぶ船よ。

この町で船の建造を行うの。

それを世界中に広めて、

珍しいものでは無くしてしまいましょう。

世界ごと変えてしまえば良いのよ」


「空を飛ぶ乗り物の危険性はわかっているわ。

けれど、いつかきっと必要になるものなのだから、

いっそ私達の手で広めてしまいましょう」


「そうして世界中大混乱に落としてしまいましょう。

誰もがこの地に興味を無くすように。

世界中に技術ごと広めてしまいましょう。

もちろん人間が作れるように落とし込んでね」


「飛行船が珍しくなくなれば、

この地が孤立している問題も解決するわ」


「各国もこの地に構うより、

飛行船を競って開発するはずよ。

その方が絶対に儲かるもの」



「それはそもそも技術的に可能なのかね?

へパス氏の協力は不可欠だろう。

彼は承諾したのかね?

そもそも、一般的な人間が扱える物まで落とし込めるのかね?

ここの技術者にしか再現出来ないのであれば結局変わらんだろう。

危険性とやらも詳しく説明したまえ。

君は別世界の知識を元に話しているのだろう?

それに、この案にも君は何か問題を感じているようじゃないか」



「技術的に可能かどうかは要検討ね。

爺さんにはまだ話していないわ。

協力してくれると良いのだけど」


「でも、最悪爺さん抜きで進められるくらいの方が、

後々広める事を考えたら丁度良いかもね」


「危険な要素は多すぎるけど、

戦争利用と事故が一番怖いかな。

船から火を放てば敵の首都を一方的に攻撃できてしまうのよ」


「一方的な蹂躙を防ぐためには対空戦力も必要になるわね。

同じような飛行船で撃ち落とすだけでなく、

地上から迎撃できるものも必要になるでしょうね」


「あとは事故というか、

飛行船が落下した場合に、

乗組員と地上の落下地点にいる人達はまず助からないわ。

いずれはそれを意図的に引き起こす者達も出てくるはずよ。

戦争の火力としてだけでなく、

最小限の人員で大きな被害を出すためとかね」



「私の気にしている所は危険性の大きさと開発期間よ。

これがすぐに実現可能なら嬉しいのだけど。

可能であればなんらかの安全装置も組み込みたいわ」



「君はその技術が何れは世界に広まると考えているのだね?

例え我々が何もせずとも」


「ええ。少なくとも私の世界ではそうだったもの」


「確かに必要性はわかる。

が、やはり危険性が大きすぎる」


「私のいた世界でも何度も戦争に利用されて、

最近になってようやく落ち着いたようなものだった。

けれど、最後には誰もが気軽に利用できる便利な乗り物になったわ」


「私は反対だ。

人は痛みを知らねば学ばない。

急激に発展させてしまえば、

その学びを得る前に世界が滅んでしまう。

段階を踏むべきだ。

そのように強引に生み出さずとも、

何れは勝手に生まれるのだろう?

それは、当然そこまでの痛みを学んだ上で生まれてくるはずなのだ」




「まあ、君の言いたいことを要約するとだ。

この町をどうにかして、外の世界に繋げたいのだろう?

孤立を解消してやりたいのだろう?

何故今更になってそう思ったのかね?

それで事態が好転すると何故思うのだね?」





「13-13」の誤字報告ありがとうございました!

いつも大変助かっております!


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