表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

216/1360

13-12.交渉

私の代わりに、

今度はグリアがサラさんと話を始めた。



「ギルドの方針はわかった。

その上で提案するのだが、

我々はギルドとの協力関係を結びたいと考えている。

もちろんそのための見返りは用意しているとも」


「まずは、技術の情報共有だ。

現時点で我々が知り得た物の中からギルドの有益になると判断したものは提供すると約束しよう。

残念ながら転移装置はまだ難しいがね。

ダンジョンコアの制御装置については既に大凡の事が判明している。

これをギルドが独占できるようになれば

計り知れない利益となるだろう」


しれっと嘘を混ぜますね・・・

転移装置はもう複製も応用もできるでしょうに。


というか、流石にそれは危険すぎるでしょ!

それに切り売りしてたら譲渡に繋げられないじゃない。


グリアは何を考えてるのだろう。

けれど、流石にこの場で問い詰める事で無いのはわかる。




「次に武具の独占販売だ。

この地で作られる武具は古のドワーフの技術を源流としたものだ。

市場に出回っている物など目ではない程の高品質な物だ。

ギルドでも冒険者向けの販売を行っているだろう?

こちらも大きな価値があるはずだ」



「まずはこんなところだが、

持ち帰って判断を仰ぐ価値は十分にあるだろう?」


まだ他にもあるぞとでも言いたげだ。




「そうですね。

その内容であれば上層部も耳を傾けるでしょう。

それで?対価として何を望むのですか?」



「我々を国として認めてもらう。

ギルドが認めれば世界も認めざるを得ない」


「別に中立だからと言って協力位は構わないのだろう?

実際、イオニアの王都に本部を構えているくらいだ。

国政に干渉しないとはいえ、国に関わる事そのものを避けているわけではあるまい。

もちろん調査団を派遣してもらって構わない。

国として認められるだけの力はあると証明してみせよう」



「それは可能でしょう。

いくらギルドがこの件に否定的でも、

相応の利益があれば無理を通す可能性はあります。

ですが、本当に宜しいのですか?

それは世界を変える可能性すらある行為です。

アルカさんなら無闇に技術を広めて

混乱を招く事は、良しとしないのでは無いですか?」



「そうね。正直なところギルドが信用できるわけでは無いもの。

けれど、ギルドなら悪用する可能性は低いとも思っているわ。

きっと、他の国と手を結ぶよりはね」



「つまり、これを蹴れば

他の国に売り込むと言うわけですね」



「必要ならそうするかもね。

私が守るだけでは何時までもこの国の平和は続かないもの。

国を破棄してこの地の人々を世界にばらまいてしまうのも、

技術流出の危険を考えれば選びたくない方法だわ。

信用出来る国があるなら託してしまうのも手かもしれない」



「そんな国があるとは思えませんが。

それに先程懸念していた戦争のきっかけを自ら生み出す行為のはずです」



「だからギルドに頼んでいるのよ。

正義の味方では無くとも、

分別はあるものと思っているわ。

それに世界最強の武力集団に戦争を挑むバカな国もいないでしょうし」



「それも随分と曖昧な根拠のようですね」



「選択肢が少なすぎるもの。

妥協も必要だわ」



「お考えはわかりました。

間違いなくギルドには伝えましょう。

重ねて問いますが、本当に宜しいのですね?」



「ええ。よろしく頼むわ。

グリアの言った事は間違いなく私の意思よ。

本部にもそう伝えてもらって構わない」



「わかりました」




そうして、話し合いを切り上げて、

サラさんをギルド本部に送り届けた。


眼の前で家を建てて見せるとか勝手に思ってたけど、

そんな機会も必要も無かったようだ。



私はグリアと二人で今後の事を話し合う。



「本当に良かったの?」



「技術提供の事かね?」



「ええ。流出の事もそうだし、

この地の価値も下がってしまうんじゃない?」



「何の問題も無いとも。

伊達にドワーフの技術が途絶えたわけでは無いのだ。

情報だけあっても再現などできんよ」


「ダンジョンコアの魔道具もあくまで使い方の説明をするだけだ。

既に現物はギルドが所有しているし、

ギルドも用途そのものは把握している。

本気で使うつもりなら時間の問題だったとも」


「それに、複合魔石に関する技術は全て隠し通す。

そもそも君のお陰でここにはもう現物も存在せん事だしな」



「つまり、予め流した情報を撒き餌にして、

この地を差し出す時には技術者で釣るのね。

実際には作れる者なんていないのに」



「そうなるだろうね。

なにせ唯一のそれが可能な技術者である

へパス氏はピレウスに帰るのだろう?」



「まあ、あそこには爺さんの店もあるから」



「心配はいらないとも。

安全でかつ習得が可能な範囲で魔道具の技術は継承する事になっている。

この地の技術者に価値があるのは満更嘘でもないさ」


「なにせ引き渡し後も彼らの安全は維持されねばならない。

ならば、最低限の価値は必要だ」



「そう上手くいくと良いのだけど」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ