13-7.お誘い
私は森に建てたばかりの家でノアちゃんが作る晩ごはんを待っていた。
ノアちゃんから声をかけられて転移門を開く。
明日はセレネがこちらで過ごす日だ。
セレネは毎週、前日の夜から来る事にしていた。
転移門を潜るなり、セレネが私に詰め寄った。
「何時になったら誘ってくれるの!」
「何の話?
今日もキスして良いの?」
「違うよ!別に良いけど!
というかなんでアルカの方がノリノリなの!
最初はあんなに渋ってたのに!」
「だって楽しいし。
それで何のこと?」
「アルカと一日デートするって約束したでしょ!」
「え?
でもあの後お風呂で・・・」
「それはアルカが勝手にやったんじゃない!」
そう言われてみればその通りだ。
まあ、ぶっちゃけ忘れていただけなんだけど。
というか何で誘われるの待ってたの?
何時でも言えばよかったのに。
「そこは察してよ!」
「無茶言わないで・・・
何で得た知識を参考にしたのか知らないけど、
別に私が男性役なわけでもないでしょう?」
「年上としてリードしてくれても良いじゃない!」
「まあ、そう言われたらグウの音もでないわ」
「わかったらほら!」
「でも待って。
良く考えたらセレネが口説いている側よね?
セレネが誘ってくれても良いのよ?」
「アルカ。私と行きましょう!
明日で良いですか?ちょっとグリアさんに相談しましょう」
いつの間にか側にいたノアちゃんが横から割り込んでくる。
「ノア!流石に泣くわよ!」
「冗談です。
セレネは普段会えないのですから、
明日はアルカを貸してあげます」
本当?
少し本気を感じたよ?
「ノアのみたいに言わないで!
アルカは私のよ!?」
「はいはい。
そんな事言ってないで明日の計画でも立てたらどうですか?
まあ、アルカは外出禁止なので、
そう遠くにはいけないでしょうけど」
「そうだったわ!!
やっぱり良い。
落ち着くまで待ってる」
「まだ一年以上かかるわよ?」
「・・・じゃあお家デートして」
「どこでそんな言葉を知ったのかしら。
やっぱりグリアに見張ってもらうしかなさそうね」
「グリアさんはアルカが引っ張っていっちゃったじゃない!」
「グリアもう一人いないかしら」
「変なこと言ってないで明日の予定を立てましょう?
何をしようかしら~!」
「約束では手しか握らないだったかしら」
「・・・どうせアルカが我慢出来ないくせに」
「アルカダメですよ。
ちゃんと約束は守って下さい」
「「そんなぁ」」
「セレネはともかく、
アルカは本当にしっかりして下さい!」
「そういうノアだって・・・」
「セレネ!」
「だって!
殆ど毎晩のようにノアから伝わってくるのよ!
私がどれだけ辛いかわからないの!?」
「アルカ。セレネの事をおねがいします。
一日中可愛がってあげて下さい」
「まさかのお墨付き!?」
「ノアが許してくれたのだし遠慮なくいきましょう!」
「流石に一日中はなぁ。
それにセレネに攻勢にまわられたら危ないし」
「そこまで言ってないよ!
アルカ最近そればかりじゃない!
もう少し普通にも過ごすの!
雰囲気が出来たらそういうのもするの!」
桃色聖女が意外と乙女チックな事を言い出した。
「アルカ!声に出てるわよ!
桃色聖女って何よ!?そんな事思ってたの!!」
やべ。
というかどう言う意味かわかってるの?
もしかして薄い本とか読んでないわよね?
この世界にあるわけないけど。
「久しぶりにあの家で過ごす?
たまには大掃除でもしておきたいし。
家から出なければ大丈夫じゃないかしら」
「嫌よ!何でデートが大掃除のついでなのよ!」
「アルカ・・・
それはあんまりです」
二人からブーイングが飛んできた。
うん。自分でも流石にどうかと思う。
「じゃあ場所はこの家ね。
何がしたいか考えておいて」
「アルカも一緒に考えるの!」
ならセレネを可愛がりたいかな~
「12-19」と「13-1」の誤字報告下さった方、
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