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13-6.建国

アリア達の件から数週間程経った頃、

私はいつの間にか国王になっていた。



いやまあ、グリアからはそう言われていたのだけど。

少なくとも、戴冠式とかは無かった。


最低限国としての体裁を整え終えたので、

ギルド本部に通達したのだ。


秘密裏に建国について、ある二カ国からも承認を得ていた。

アリア達のところと私達が住んでいた国だ。


私達の国については、戻ったルスケア領主が奮闘したそうだ。



アリアのところはともかく、

ルスケア領主の方は正直意味がわからない。


なんか知らん内に私の信者が増えたようだ。

なんでだろうな~


ルスケア領兵を迎えに行った時は、

本来なら戻った者の内、

希望者だけが来るはずだったのに、

戻った人数の数倍に膨れ上がっていた。


意味がわからない!



なんで私の力を見たことない人まで巻き込まれてるの!?

なんか妙な薬でも出回ってるんじゃないでしょうね!



お陰で、あの国で私が一部貴族に狙われている件も有耶無耶になったようだ。

もう自宅に帰っても問題ないだろう。

まあ、ちょくちょく掃除したりはしてたのだけど。


夜も気軽に明かりをつけられるのは嬉しい。


セレネの一つ目の目的も想定外の形で果たされたが、

セレネにはまだまだやることがあるので、

教会から離れるつもりは無いようだ。






いつの間にかこの地下帝国を運営する人員も随分と増えたものだ。

いくつか急ピッチで建物の建造も行った。


これには私も駆り出された。

この件に限っては国の成長などと言ってはいられない。


私の魔法とドワーフのへパス爺さんの活躍により、

あっという間に建物が建っていく。


その光景を見て、

思いつきで建物を建てる魔法も作ってみた。


イマジナリー爺さんが建物を建てていくイメージだ。


これは想像以上に上手くいった。

お陰で材料だけあれば一人で大量に建築する事ができた。


ただし、一度建てるのを見たことのある建物だけだ。

建物の詳細自体は憶えておかなくても出来るのに、

出来上がるのは寸分違わぬ同じものだった。


この辺は収納空間の座標が意識しなくても合うように、

何か細かい調整は勝手にやってくれているようだ。



爺さんもグリアも苦虫を噛み潰したような顔で私を見てきた。

あんまりじゃない?



けど、折角なら森にも建ててしまおうかしら。

何時までもテント生活というのもあれだし。

今更すぎるけど。


今後、地上にも人が来るようなら、

しっかり隠せる生活環境が作れるのはありがたい。


それに露天風呂にも囲いを作らなきゃ。

今は大自然の真っ只中だ。

精々周囲を森に囲まれている程度だ。


むしろ隠れるところが多くて覗きには丁度良いかもしれない。

私達から隠れられる奴なんてそうそういないだろうけど。


まあ、最近は諸事情により油断している事も多いから、

囲いは早急に作るとしよう。

ノアちゃんやセレネのあんな姿を誰かに見せるわけにはいかない。


後で爺さんにいくつか作るところを見せてもらおう。



近い内にギルド本部の調査員も来ることになった。

内情を調べる事になる。


森の中を更地にして建物を建てるのにも数分で済むはずだ。

ついでにちょっと驚かせておこう。


そうして次にちゃんとした調査団が来る目論見だ。

そこからグリアの策に本格的に関わる事になる。



王冠も玉座も急ごしらえのハリボテ国王だけど、

本当に上手くいくのかしら。


グリアは特に私の事を教育したりするつもりはないらしい。

そこまでしっかり国王を演じる必要はないようだ。


単に体勢が整っている事と、

本人が主張している事、

国内の人々がそう認識して敬っているのなら、

現時点での事実として十分だと言う。


まだ建国間もないのもあるが、

環境が変わっていくところはギルドにも見せたいようだ。

そのためにあえて手つかずのところもある。


畑の作成もその一つだ。


私が魔法の練習の為にテント脇に小さな畑を作ったことは

グリアも賛成していろいろ手助けしてくれた。


私は種や苗しか買ってきて無かったが、

それだけではダメだったようだ。


買い出し班に指示して、

肥料やらなんやらも一通り揃えてくれた。


結局、私は原則外出禁止のままなので、

買い出し班のために転移装置代わりをしている。


これは毎日のようにある数少ない仕事だ。

まあ、指示された時間に指示された場所に転移門を開くだけなのだけど。


私が行ければそんな大人数で買い出し行かなくても済むのに・・・

そんな事を口にしたらまたグリアに叱られるから言わないけど。




このペースなら二年と言わず、

一年以内になんとかなりそうな気がしてくる。


まあ、当然そんな事は無いのだけど。

ギルドに認めさせて、その上で高い価値をつけて譲渡しなければいけない。


この町の人々の生活を守るためには

この地の人達がぞんざいに扱われるような可能性は排除しなければならない。


それこそがこの計画の一番重要なところなのだから。


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