13-5.反撃
セレネといっしょに布団に入ったところで、
約束通りにキスをしようとしたら、
セレネは慌てて布団に潜り込んだ。
「どうしたの?」
「今日はもう良い」
「怖くなっちゃった?」
「・・・そうみたい」
私はセレネの頭を胸に押し当てるようにして抱きしめる
触れる瞬間、ビクッとしたけど構わずに続けた。
「苦しい」
「じゃあ、顔を見せて」
「・・・強引よ」
「セレネに避けられたら生きていけないもの」
「普通はこんな事したら余計に避けるんだから」
「そうね。けど私達だもの」
「・・・」
私はセレネの前髪をかき上げておでこにキスをする。
「今日はこれでおしまい。
本当はセレネにもして欲しいけど、
明日からもできるものね」
何も答えないセレネを抱きしめながら眠りについた。
翌朝、起きるとノアちゃんがお怒りだった。
どうやら、起きたら私達が隣で抱き合って寝ていたからのようだ。
というか、今も継続中だ。
セレネは私の腕の中でスヤスヤと眠っている。
昨晩は上手く眠れなかったのかもしれない。
「何で怒ってるの?」
私はあえてすっとぼけてみる。
「なんでもありません!」
私はセレネの頭の下から腕を抜いて、
代わりに枕を差し込む。
そして転移でセレネの横を抜け出して、
ノアちゃんに抱きつく。
ノアちゃんの機嫌が直るまでそうして抱きしめ続けた。
「この程度なら前にもあったでしょう?」
「・・・ごめんなさい」
「抑えきれなくなっちゃったのね。
ならこうやって代わりに抱きしめてあげるから」
「セレネにもするのでしょう?」
「うん。平等にするって決めたもの」
「・・・」
「こればかりは慣れてもらうしかないわ。
私と恋人になりたいなら絶対に避けられないもの」
「・・・セレネなら良いって思ってたんです」
「そうね」
「でも・・・」
私は黙り込んだノアちゃんの頬にキスをする。
「抑える必要が無いくらい満足させてあげられればいいのだけど」
「アルカ何か変わりました?」
「そうかも」
「昨日セレネと何かあったんですか?」
「ちょっとイジメすぎちゃった」
「意味がわかりません」
「起きたら慰めてあげて」
「話しを逸らそうとしてます?」
「そんなつもりは無いわ。
ただ、ちょっと二人に翻弄されるだけじゃなくて、
自分からも動いてみようかなって。
振り回されているだけよりもコントロール出来るようになるかなって思ったの」
「それで頑張りすぎてセレネをイジメてしまったと」
「そんなところ。
私自身も適度に発散しないと我慢出来ないものね」
「今度は私が被害に合うんですね」
「そうよ。
もう我慢するだけなのは止めるもの」
「アルカがやりすぎたら叱ってあげます」
「お願いね」
「だから好きにしてみて下さい」
私はベットに腰掛けて、
ノアちゃんを横抱きにして膝に乗せる。
昨日セレネにしたように、
顔中にキスをしてから、
頬から下げていくようにキスをしていく。
セレネと同じところで反応があり、
また首の辺りにキスをしていく。
「アルカ!」
ノアちゃんは堪えきれなくなったのか、
私を遠ざけようとする。
それを無理やり押さえつけて続行する。
次第に抵抗が無くなって、完全に脱力するまで続けた。
ノアちゃんをしっかり抱きしめて頭を撫でる。
「やりすぎです!」
落ち着いたノアちゃんはまた怒り出した。
「好きにしてって言ったじゃない」
「やりすぎたら叱るとも言いましたよ!
私が止めたらやめて下さい!」
「ノアちゃんが本気なら抜け出せるもの」
「・・・アルカのバカ」
「ノアちゃん可愛い」
「セレネにも同じことしたんでしょう?」
「ええ。セレネもノアちゃんと同じところが弱かったわ」
「そういう事を言わないで下さい!」
「ごめんね」
「笑いながら謝ってもダメです!」
「二人ともいつまでイチャついてるの?」
「おはようございます。セレネ」
「おはよう・・・
ノアはもうとっくに起きてたの知ってるくせに」
「言わないと約束しましたから」
「アルカ!私も!」
「え?セレネは昨日怖がってたじゃない。
暫くは嫌がると思ってたのに」
「ノアのあんな姿見せられたら、
そんなの吹き飛ぶわ!」
「どんな姿ですか!?」
「良いから、ノアはそこどいて!交代よ!」
セレネはすっかりいつもの調子を取り戻したようだ。
いつもと言ってもつい最近知ったばかりの姿だけど。
「嫌です!まだダメです!」
「じゃあ私がノアにするわ!
アルカ!逃げないように抑えてて!」
「アルカ!何本気で力込めてるんですか!
流石に私だってこんなの抜け出せな・・!」
「にゃ!」
セレネはノアちゃんの首に後ろからキスをして、
薄い寝間着越しに背中に指を這わせる。
そのままノアちゃんが本気でキレるまで、
二人でいじめ続けていた。
「「すみませんでした」」
「許しません!
今日は二人ともご飯抜きです!」
「「一日!?」」
「それくらい反省して下さい!」
「「はい・・・」」
結局、夕飯の時には許してくれた。