13-4.誘惑
私はセレネと二人で露天風呂に来ていた。
ノアちゃんはご飯を食べるなりすぐに寝てしまった。
だいぶ遅い時間だったし、
今日はいろいろあったのでしょうがない。
昨日は夜ふかししてしまったしね・・・
セレネを膝に乗せて後ろから抱きしめる。
「良いの?」
「何が?」
「さっきもうおしまいって言ってたから、
今日はもうベタベタしちゃだめなのかなって」
「私がしたかったから良いの」
「そっか」
セレネの反応が鈍い。
どうしたのだろうか。
最近のセレネならテンション上がりそうなのに。
私はセレネを横向きにして、
セレネの頬にキスをする。
「え?・・・」
セレネは真っ赤になって戸惑うばかりだ。
私は何度もキスをする。
「アルカどうしたの?」
「セレネとは結局ちゃんとしてなかったなと思って」
「ノアと同じように?」
「そう。やっぱりこういうのは雰囲気も大事だと思うの。
二人を平等に扱うのなら、さっきのじゃダメかなって思うの」
「我慢できなくなっちゃうよ?」
「我慢して」
「無理よ・・・」
私はキスを中断して、
セレネを正面から抱きしめる。
そうして、頭を撫でながらゆっくりと語りかける。
「大好きよセレネ。
まだ望む形では答えられないけど、
私はセレネもノアちゃんも心の底から大好きなの。
だから私だって我慢できなくなっちゃう。
私の感情は二人とは違うものだって思ってたけど、
そうじゃないのかもしれない」
「・・・」
「きっと私はこれ以上しちゃったら二人を離してあげられなくなると思うの。
セレネを教会に返してあげられなくなっちゃう。
だから本気で誘惑するならその覚悟でしてね」
「・・・それはダメよ」
「セレネならそう言ってくれると思ってた」
「ずるいわ・・・」
「だってこのままだとすぐにセレネに落とされちゃうもの」
「私のことは落としたくせに」
私はセレネの肩を掴んで少し離し、
セレネの顔にキスをしていく。
セレネは真っ赤になって目を閉じて堪えていた。
私は少しずつキスする位置を下げていく。
「ひゃう!」
首の辺りで大きな反応が返ってきた。
その近くに何度もキスをする。
セレネは最初は体を強張らせていたが、
徐々に力が抜けていく。
たまに体が跳ねるのを押さえつけて首筋にキスを繰り返す。
セレネは何も言わず、されるがままだ。
完全に脱力したところで、
しっかりと抱き直して、また頭を撫でる。
「満足した?」
「・・・やりすぎ」
「それはなによりね」
「アルカは酷いわ」
「セレネが喜ぶと思って」
「こんなはずじゃ無かったのに」
「セレネはされるのに弱いのね。
今度から迫られたらこれで撃退できそう」
「・・・クセになっちゃうからダメ」
「セレネ可愛い」
「いじわる」
「セレネ大好き」
「・・・」
「次は背中も挑戦してみましょうか」
「もう良い!大丈夫!満足した!」
「少し楽しくなってきちゃったの」
「良いってば!」
「冗談よ。
暫くこうしていましょう」
「うん」
私はセレネを抱きしめながら背中を指でなで上げる。
「ひゃん!」
「油断したわね。
セレネの弱点をもう一つ見つけたわ」
「アルカ嫌い!」
そう言いながら、セレネは私の胸に顔を埋める。
「ごめんねセレネ。もうしないわ。
今度こそ本当。
だから、
こうなりたくなかったら私を誘惑するのは良く考えてね」
「いじわる」