13-2.悪あがき
「いえ、一晩中って程では・・・」
「何言ってるの?
相当遅くまでやってたじゃない。
私もノアから伝わってくる感情のせいで寝不足なの」
「うぐ・・・」
その後、結局セレネに全て吐かされた。
今の精神状況では禄に抵抗できなかった。
「アルカも大した事ないね」
セレネの感想はそんな一言だった。
「確かに自分の意思の弱さは実感したけど・・・」
「そっちもだけど、
それよりもその程度で満足していた事が驚きなの」
「その程度ってなんですか!」
「ノアはまあ、わかるけど。
アルカはなんでそのまま押し倒さなかったの?」
「するわけないでしょ!」
「私ならノアにそんな事されたら一晩中寝かせないわ」
「セレネちょっとノアちゃんを外してゆっくり話し合いましょうか。
具体的には普段何で知識を得ているのかについて。
ちょっとグリアにも相談しなきゃいけないわ」
「そっそれより!
私にも同じことをしてもらうわ!
互いの頬にキスをし合うだけなら良いのでしょう?
今日はもう帰らないから早速始めましょう!」
「私もいるんですけど!」
「ノアも一緒で良いよ?
そのかわり、今度アルカと二人きりで一日デートさせてね!
大丈夫。手しか握らないから」
「良いでしょう!」
「ノアちゃん!?」
「決まりよ!」
「いやでも・・・」
「大丈夫。気分じゃなくても。
アルカはただ横になっていればいいから。
私とノアでするだけだから。
二人でアルカを慰めてあげる」
「ダメよ!
その体勢は認めないわ!」
「ちっ
アルカ調子を取り戻したのね」
「セレネ!舌打ちは止めなさい!」
「ごめんなさい。
それより、ほらベットに腰掛けて。
横にならなければ良いのでしょ?」
「だから・・・」
「大丈夫。アルカが耐えきれば良いの。
私達が何をしてもただ座っていれば良いの。
アルカがしたいと思わない限り、
何もしなくていいから」
「ぐ・・・」
それで本当に済むならマシな提案だ・・・
もうあんな事はしないと誓ったのだから。
けど、私の弱々な意思では耐えられるはずがない。
ノアちゃん一人でもあのざまだったのに、
セレネまでいるのだから。
「他の案じゃだめ?」
「アルカが提案して私を納得させられればそれでも良いよ」
ぐぬぬ・・・
「膝枕とかどう?」
「私がする側なら良いわ。
その間アルカは何をされても拒否をしてはダメよ」
「却下」
「次は?」
「膝枕に耳かきもつけるから・・・」
「ダメ足りない」
「マッサージ」
「私がする側なら良いよ」
「一緒にお風呂」
「今更何言ってるの?
もう無いなら始めましょう」
「お風呂で私の膝に座っていいから」
「・・・手は?」
「背中に手を回すだけなら」
「・・・ダメ。
絶対に我慢できないもの」
「さあ、もう諦めて座って」
「まって!せめてノアちゃんは・・・」
「アルカ、私はダメですか?」
ノアちゃんが泣きそうな顔で見上げてくる。
考えろ!
何か良い手があるはず!
私が流されないで済むような何か!
セレネの好きな事を!
「故郷のお菓子作ってあげるから!」
「・・・それはそれね。
今度別の機会にお願いね」
ダメかぁ・・・
「そんなに嫌なの?
ノアには出来るのに私には出来ないの?」
「そうじゃないけど・・・」
「アルカの一番はノアなの?」
「ちがっ・・・」
「セレネ。それはダメです。
そんな聞き方をしてはいけません。
もちろん本心からなら止めませんが」
「そうね。その通りね。
アルカがあまりにも拒否するからついね。
こんな形で決裂したらきっと三人ではいられないもの。
ちゃんと皆の準備が出来てから決着をつけましょう」
「はい。
アルカも観念して下さい。
平等に扱うことはアルカも認めてくれるのでしょう?
だから必要なら私は席を外します」
「そんなのダメ!
ならノアは私にしてくれればいいわ」
「・・・それはちょっと」
「なんでよ!」
「・・・なんか身の危険を感じます」
「ぷっ」
「アルカ!笑ったわね!」
ノアちゃんは本能的に貞操の危機を察したのだろうか。
セレネに暴走されたらたまらないものね。
お陰で少し気が楽になった。
良い加減覚悟を決めよう。
「良いわ。覚悟を決めた!
絶対に耐えてみせる!」