表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

205/1361

13-1.後悔

「二人ともなんて顔してるの!」



私はセレネにも諸々報告しようと、

寝入る前になんとか体を起こして、転移門を開いた。


ベットに並んで腰掛ける私とノアちゃんの顔を見たセレネは驚きの声をあげる。



「そんなに酷い顔ですか?」


「自覚無いの?

ノアもアルカも何があったの?」


「アリアちゃんとルカちゃんはお爺さんが見つかったので、

引き取ってもらうことになりました」


ノアちゃんが簡潔に結果だけを伝える。

続けて説明する気力がないようだ。



「アリア達は保護した国のお姫様だったの。

国王がお爺さんだったわ」


「二人ともそれだけじゃわからないよ!

なんで二人はそんなに弱りきっているの?

そんなにアリアちゃん達との別れが辛かったの?」


「「・・・」」


「違うよね。

ノアは何か罪悪感と後悔でいっぱいだもの。

きっとアルカも同じでしょ?

普通にお別れしたのならそんな感情おかしいもの」


「私は散々二人の事を振り回したのに、

結局何も出来なかったの。

ルカがアリアを想う気持ちに、

アリアがルカを想う気持ちに乗っかっただけ。

二人は自分達の意思で私の元を離れる事を決意したの。

あんな小さな子達にそんな決断を強いたの」


「私もです。何も出来ませんでした」


「それじゃ意味がわからないってば!

ちゃんと全部話しなさい!

心の中でこね回していないで少しずつで良いから吐き出しなさい!

私が聞いてあげるから。話して自分の心を整理しなさい。

ただ弱っているなんて何の生産性もないわ。

後悔するならちゃんと後悔しなさい」


セレネが厳しい口調でそう言った。



私とノアちゃんは今回あったことを少しずつ話していく。


アリアとルカを軽い気持ちで保護したこと。

二人の話しを聞かずに引き取り手を探したこと。

二人を探している者がいるのを知ったこと。

二人とちゃんと話そうと決めたこと。

二人に引き取れない事情を説明したこと。

ルカがアリアの為に身を引いたこと。

アリアがそんなルカの為に決意したこと。

二人を城に送り届けたこと。



説明を聞き終えたセレネが私達を抱きしめる。


「アルカは衝動的に動くのをまず止めなさい。

いつもそれで結果的に上手く行くのでしょうけど、

それは単に因果関係を深く考えていなかっただけね」


「現に、例の組織や他の敵から狙われた理由もわかっていないのでしょう?

敵の事をちゃんと知っていれば、覚えていれば

逆恨みだからで考えるのを終わりにしなければ、

ちゃんと理由まで考えていればそんな事にはならないの」


「そうすれば、敵の事をもっと早く知れるはずよ。

魔物の群れに町を襲われた事件だって、

そうなる前に敵を止められたのかもしれないのよ?」


「アルカはそう言う意味ではとっても無責任なの。

その場だけ済ませば済むんじゃないの。

皆が救われたと思っていても敵も多いのはそのせいなの。

実際に野望を止められた相手だけじゃなく、

それらを何も考えずにひっかき回すから、

見る人によっては敵より厄介な存在なの」


「今回の事で良くわかったでしょう?

無責任に抱え込んで、無責任に放りだして、

結果幼い二人に責任を押し付けた。

あなたが果たすべきだった事をかわりにやらせてしまった」


「受け入れられないなら受け入れられないで良いの。

必ずしも本人の納得はいらないの。

相手が幸せになれると確信したなら、

相手の意思は無視してその方法を押し付けて良いの。

相手に恨まれたってそうするべきなの。

それが本当に責任を持つってことでしょう?」


「相手に嫌われたくないけど

自分では責任を果たせないなんて一番ダメなのよ」


「私達には出来たじゃない。

受け入れられないってきっぱり断れたじゃない。

それと同じことよ。

私達に出来て他の人に出来ないのは、

その相手の幸せを本気で考えていないからよ。

もっと本気になって。責任を持って。

アルカが反省するべきなのはその事なのよ」


「うん・・・」



「ノアはアルカに頼り過ぎよ。

アルカの欠点はノアもわかっているのでしょう?

アルカなら何とかしてくれるってつい思ってしまうのはわかるけど、

必要ならノアが止めなきゃ。

アルカが出来ないなら代わりに決断してあげなきゃ。

そうやって支え合って生きていきましょう。

そうすれば私達で出来る事はもっと増えるから」


「はい・・・」



「二人とも、こんなになる前に私を呼びなさい!

私達は三人揃っていれば出来ない事なんてないわ。

二人で出来ないことでも私がやってあげるから。

あの子達にやらせるよりその方がずっと良かったはずでしょ?」


「「はい・・・」」



「ほら、わかったら元気を出しましょう。

あなた達が反省しなきゃいけない事ははっきりしたでしょ?

なら、いつまでもグズグズしていないで顔を洗ってきなさい。

切り替えて頑張りましょう」


「「・・・うん」」


私とノアちゃんはようやくベットから立ち上がり、

セレネの言う通り、顔を洗って気分を切り替える。


もちろんそんな簡単に切り替わるわけじゃない。

けど、これならギリギリセレネを安心させられるだろう。



私達がセレネの元に戻ると、

まだ話の続きがある様子だった。




「それで、

ノアとアルカが何をしたのか聞きましょうか」


今全部話したけど・・・

何のこと?



「昨夜、ノアが一晩中興奮していた件についてよ。

大方アルカに慰められて乳繰り合っていたのでしょうけど、

どこまでいったのかちゃんと吐いてもらうわよ。

当然、私にも同じことしてもらうわ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ