12-22.顛末
私はアリア達を連れて、再び城を訪れた。
アリアとルカを一目見た国王は涙を流して喜んだ。
二人が王女の娘であることは間違いないのだろう。
私とノアちゃんは二人の事情を説明していく。
結局王女の情報は得られなかったが、
二人の事は歓迎したいと言う。
城に連れてこられると予想していなかったアリアはまだ混乱していた。
いろいろ衝撃が大きすぎたのだろう。
ルカはもういつも通りだ。
けれど、アリアの服の裾をずっと掴んでいる。
アリアが自分といることを選んでくれて安心したのだろう。
不安や安心、力になれなかったという悲しみ。
そんな気持ちが伝わってくる。
一通り二人の事情を説明して、
アリアが落ち着いたところで、
今度はアリアとルカが国王や宰相と話をする。
少しずつ明るい雰囲気になってくる。
ここで判明したのだが、
元々の姫の名前はアルカでは無かった。
本当の名前はアリア姫で、
アルカは逃亡中に名乗り始めた偽名だったようだ。
アリアはそれを聞いてまた固まった。
国王も知っていたら慎重に伝えただろうが、
偽名を名乗っていた事を知る前に姫の名前を呼んでしまったのだ。
共に駆け落ちした騎士の男はどうしたのだろうか。
アリアは母の事しか憶えていなかった。
アリアもルカも母親からしか名付けられていないのはなぜなのか。
この件は誰もが疑問に思ったが、
アリアとルカの前で口にする者はいなかった。
おそらく、国王達は、
母親が名乗っていたアルカの名前で再調査をするのだろう。
しかし、もう時間が経ちすぎて難しいだろう。
アリアは昔の母親の事を次々に質問していく。
それだけ気になっているのだろう。
母親の事が好きだったんだ。
長い事話をして、
アリアは私に向き直る。
「アルカ!
いっぱいいっぱいありがとう!
沢山わがままいってごめんなさい。
私はルカとここで暮らします」
「ううん。
こちらこそ。
何も出来なくてごめんね。
きっとまた会いに来るから。
ルカもアリアを宜しくね」
「うん!」
「なんでルカに言うの!」
「アリアはルカのお姉ちゃんだもの。
誰よりもルカの為に頑張ってきたのだもの。
ルカにはアリアが無理しすぎないように見てて欲しいの」
「アリアみてる!」
アリアは私に抱きついて泣き始める。
お姉ちゃんは泣き虫だ。
「アルカ大きくなったら迎えに来てくれる?」
落ち着いたアリアはそんな事を言い出した。
もちろんって答えて良いのかしら。
国王の前で姫様さらう約束して良いの?
そんな気持ちで思わず国王の方を見ると頷いてくれた。
なかなか話のわかる王様だ。
「わかったわ。
大きくなったら一緒に冒険しましょうか」
私はノアちゃんに怒られないよう意識して言葉を選ぶ。
「うん!」
「けど、そのためにはいっぱい頑張らなきゃダメよ?」
「わかった!」
「じゃあ、約束ね」
「うん!絶対だよ!
アルカが来なかったら探しに行くからね!」
「わかったわ」
私達はアリアとルカを残してその国を後にした。
グリアに事のあらましを説明して、
ダーナさんやマーヤさんにも礼を行っていく。
マーヤさんには一応城に行く直前にも二人を連れて会いに来た。
別れを惜しんでいたが、二人が城で暮らす事になったのを聞くととても喜んでくれた。
そうして一通りの報告を済ませて、
私はノアちゃんと共にテントに戻る。
二人とも夕飯も食べずにベットに倒れ込んだ。