12-16.呼び出し
「アルカ、お前何をしたんだ?」
テッサのギルド長さんに
定時連絡をしたら一言目にそんな事を言われた。
「何の話よ?」
「遠方の国の王家がお前を探しているらしい。
ギルドに問い合わせがあって本部を通してこちらに連絡があったんだ」
「どこの国?」
そこはアリア達を保護した国だった。
やっべ・・・
またグリアに怒られるやつじゃん・・・
「要件は?」
「直接話したいので登城して欲しいそうだ」
「話しの内容は言わなかったのね」
「そうだ。
まあ、本部が伝えてきたという事は問題のある国では無いはずだ。」
「わかったわ。
グリアと相談してから行動する」
「大丈夫なのか?
今の状況でなぜその国から声がかかる。
お前の反応からするなら心当たりはあるのだろう?」
「ちょっとね。
その国が話していないなら無闇に知らない方が良いわ」
「それもそうか。
くれぐれも用心してくれよ」
「わかったわ。
他に連絡はないわよね」
「ああ。今日はもう大丈夫だ」
私はギルド長さんとの定時連絡を終える。
そして今度はグリアに繋ぐ。
「言わんことではないな・・・」
グリアが頭を抱えている姿が目に浮かぶ。
ごめんて。
「心当たりはあるのかね?」
「無いわ」
「まあ行くしかあるまい。
君がその国に行ったのは事実なのだ。
呼び出す側にも何かしらの確証はあるのだろう。
ともかくギルドの印象を悪くするのは都合が悪い。
頼むからこれ以上事態をややこしくしてくれるなよ!
君に念を押しても意味はないだろうがな」
「悪かったわよ」
「君の事だ。
なんだかんだ良い方向に転がる可能性も高い。
精々朗報に期待するとしよう」
「ちょっと現実逃避入ってない?」
「私を怒らせたいのかね?」
「失礼しました。
無駄口叩いてないで行ってきます」
「そうしてくれたまえ」
「ノアちゃんは連れて行くからね」
「仕方あるまい」
私はグリアとの会話を終わらせて、
今度はノアちゃんに繋ぐ。
「ノアちゃんちょっと良い?」
「今はダーナさんと打ち合わせ中です。
緊急ですか?」
「ええ。ちょっと厄介事なの」
「わかりました」
・・・
「ダーナさんがそのままここに来て良いと言ってくれました」
「わかった」
私は転移門を広げて、
ノアちゃんの元に移動する。
「アルカ!」
私を見つけてアリアが飛びついてくる。
ノアちゃんの視線が怖いので、
抱きしめることはせず、頭を撫でる。
「アリア元気そうね」
「急ぎなのでしょう?」
「ダーナさん。
申し訳ないけどノアちゃんを連れていくわね。
アリア達ってこの後どうするの?
今は町での受け入れについて話し合っていたのでしょう?」
「それが・・・」
「アルカ様、受け入れ自体は問題ないのですが、
まずはその子達としっかり話し合って下さいませ」
「アルカ!私アルカと一緒が良いの!」
「・・・ダーナさん。ごめんなさい。
こちらの都合で振り回してしまいました。
ちゃんと話し合ってからまた後で伺います」
「それが良いと思います」
ダーナさんに礼を言って、
私は三人を連れてその場をあとにする。
「アリア。ちょっとだけ待っててくれる?
用事が済んだら戻って来るからお話しましょう」
「うん。わがまま言ってごめんなさい」
「良いのよ。こっちこそごめんね。
ちゃんとお話するべきだったのに」
「ノアちゃんもごめんね。
私が中途半端な事をしたせいだわ」
「いえ、こちらこそすみません。
アリアともっと話してから動くべきでした」
「ううん。ノアちゃんのせいじゃないわ。
だから謝らないで」
「・・・はい」
「ともかく、一旦二人はまたマーヤさんに預けるしか無いわね。
忙しいでしょうけどやむを得ないわ」
私は全員を連れて幹部エリアに転移する。
グリアと一緒にいたマーヤさんに
アリアとルカを預ける。
いつの間にか側にいたリヴィも二人と遊んでくれるようだ。
そして、今度はノアちゃんを連れてアリア達と出会った国に転移した。