2-3.名前
ギルドへ行くことを伝えると、エイミーは先に戻っていった。
今は私とノアちゃんの二人だけだ。
身支度を済ませて私達も家を出た。
「アルカはエイミーさんと仲良しですよね。
事情はさっき聞いたので納得できますが、
他の人と比べて全然違いますよね?」
うん?ノアちゃんもしかして嫉妬してくれてる?
私に独占欲持ってくれちゃってる?
「そんなんじゃないです。ちょっと気になっただけです。」
可愛いのう!
素直じゃないのう!
「いい加減怒りますよ!」
「ごめんなさい。」
「アルカが名前で呼ぶのはエイミーさんとクレアさんだけですよね?
クレアさんは仲良しって感じとはちょっと違いますし、
ギルド長はまあ立場があるのでわかりますが。」
「ノアちゃん!」
「はっはい!」
「私が人の名前をそう簡単に呼べると思う?」
「思わないですね・・・」
「ふふ。まあそういうことよ」
「偉そうに開き直らないでください!」
「ところでドワーフのお爺さんはなんて名前なのですか?」
「それが誰も知らないのよね。
この町に他のドワーフは居ないのだから、
ドワーフ爺で良いって言うのよ。
案外凄い有名人なのかもね。腕も良いし。
隠居したくて名前を隠してるとか?」
「なるほど。そこはちゃんと理由があるんですね。
アルカの悪いところが出ていたわけじゃないんですね。」
うぐぅ・・・
ノアちゃんって結構厳しいよね・・・
私が不甲斐ないせいですね・・・
そんな会話をしている内にギルドに着いた。
なにも無いといいなぁ~
「おう来たか!なんか依頼やってくか!」
そんな一杯飲んでくかみたいなノリで依頼回さないでくれる?
「嫌よ。今日は顔出しただけよ。
心配性のお父さんが待ってるから来いって
お姉ちゃんが言うんだもの。」
「なんの話だ?」
「エイミーに聞けばわかるわ
冗談はともかく、急ぎの案件は無いんでしょ?」
「まあ・・な。」
歯切れが悪い。何かあるのか?
だがしかし!私はあえてそこで聞いたりしないぜ!
さっさと退散するぜ!
「何かあるんですか?」
ノアちゃ~ん!!!
そうだよね!ノアちゃんは良い子だから聞いちゃうよね!!
「まあ、大丈夫だ。お前たち向きの話でもないからな。」
結局ギルド長はそのまま奥に引っ込んでいった。
本当に話すつもりは無いようだ。
若干腑に落ちないまま、私とノアちゃんはギルドを後にした。
「ドワーフお爺さんの店に寄っていこうか」
「はい!」
ノアちゃんは爺さんに懐いている。
特に用事がなくても喜んで行くだろう。
爺さんも満更じゃ無さそうだしまあいいだろう。
そんな調子で特に用も無く、爺さんの店に向かった。
「こんにちは!お爺さん!」
「おういらっしゃい」
「相変わらずこの店は人が居ないわね。
腕は良いのになんで皆来ないのかしら。」
「お前さんは来て早々なに言ってやがる。
ノアの素直さを少しは見習ったらどうだ」
「それで?今日はなんの用だ?」
「特には」
「冷やかしか?
暇なら依頼でもこなしたらどうだ。
お前さん冒険者じゃろうが」
「ギルドにはさっき顔出したわよ。
特に急ぎのものも無いみたいだから退散してきたわ。」
爺さんは私を見てため息をついた。
「お爺さん!これはなんですか?」
私達の雰囲気を察したのか、
ノアちゃんが商品を持って質問した。
爺さんはノアちゃんに商品を説明していく。
話を聞いて目を輝かせているノアちゃん可愛い。
素直な良い子だな~