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2-2.お姉ちゃん

「ごめんくださ~い」



誰だろう。

聞き覚えはある気がするけど、

寝ぼけてて上手く聞き取れなかった。

まあ、ギルド長以外に訪ねてくる人なんていないのだけど。

この世界にア◯ゾンなんて無いしね!



「アルカ~!ギルドからのお客様でーす!」


ノアちゃんの呼ぶ声がする。

ギルドからか・・・

ギルド長が乗り込んでこないという事は緊急ではないんだろうけど、

(緊急時に長が自らそんな雑用するのどうなのよ。私のせいだけど!)

気が重いな・・・行きたくないな・・・


「ア~ル~カ~!」


愛しのノアちゃんが呼んでる。行かなきゃ。



「は~い。今行きま~す」



私は渋々客間に移動する。


「ってなんだエイミーじゃない。どうしたの?」


「アルカはすっかり元通りね・・・

ギルド長から様子を見てこいと言われて来たのよ。

可能なら引きずって来いとも。」




エイミーはギルドの受付嬢の一人だ。

容姿は若いが、私が転移してきた頃から見た目が変わっていない。

エルフの特徴は無いけどエルフの血でも混ざってるのかしら。

ともかく、数少ない私が話せる相手の一人だ。


「うげ!嫌よせっかくのんびりしてるのに!

ついこの間いっぱい頑張ったんだから良いじゃない。」


「そうね。先日のアルカは久々に頑張ったわね。

でもねアルカ。普通の人は毎日頑張っているのよ?

成した事の大小は関係無いけどね。」


「正論なんて聞きたくな~い~!」


「エイミーさんはアルカと仲が良いのですか?」


「そうね。アルカとはこの国に来たばかりの頃からの付き合いだから。」



私はまだノアちゃんに異世界から来た事を伝えていない。

エイミーは知っているが、無闇に広めるつもりは無いので、

他国から来た事にしてくれているのだろう。


ノアちゃんがあれだけ勇気を出して過去を告白してくれたのに。

必要が無かったと言えばそうなのだけど、なんだか不公平だ。

いい加減、ちゃんと伝えておく事にしよう。

思わぬ所でバレて信用されて無かったなんて思われたくない。




話を戻そう。

エイミーは私にとってお姉ちゃんみたいな存在だ。

もう見た目は殆ど変わらないけど。

なんだったら私の方が年上に見えるけど!


この世界に来たばかりで右も左もわからない私に親身になってくれた人だ。

ギルド長やドワーフ爺さんよりも付き合いが長いくらいだ。


だからこそギルド長もエイミーを寄越したのだろう。

相変わらず卑劣な真似を!



「それで?ギルド長は何をさせたいの?」


「具体的に何かって事も無いみたいなんだけどね。

先日まで沢山動いてくれてたし、

ノアちゃんもいるから今ならまた

ギルドに顔出すように出来ないかと思ってるみたい。」


「心配性の親か!」


「まあ似たような心境なんじゃない?」


エイミーはそう言って微笑む。

父も姉も私を働かせたいらしい。



心配してくれるのはありがたいけど、

やる時はやるとノアちゃんのお墨付きももらったのだ!

私はやる時やるから今はぐーたらするのだ!




「ノアちゃんからも言ってやって?

アルカはもう少し外に出て人と関わったほうが良いのよ。」


「うぐ・・・そう、ですね!私もそう思います!」


最近の自身を顧みたのか、ノアちゃんが動揺しながら答える。


おのれ!ノアちゃんから崩すとは卑怯な!



「アルカ、一先ず毎日ギルドに顔を出すところから始めてみては?」


ノアちゃんにあっさり裏切られた!?

最近外出義務が有耶無耶になってたけど!

ノアちゃんにそんな事言われたら断れないじゃない!


「ダメ?」


「ダメ・・です」



お!ノアちゃんもまだ動揺しているようだぞ!

今ならまだこっち側に引き戻せるんじゃない?


「毎日こたつで髪梳いてあげるよ?私とのんびりしよう?」


「うう・・・」


「こらアルカ!あなたがノアちゃんに悪い影響与えてどうするのよ。

あなたこの子の保護者なんでしょう?責任を果たしなさい。」


「はい・・・すみません」


正論すぎて反論のしようがない・・




エイミーお姉ちゃんの正論パンチにあっさりノックダウンされて

久々にギルドに行くことになった。



毎日?そっちはちょっと保留で・・・


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