11-11.剥き出し
私がリヴィと露天風呂でのんびりしていると、
セレネとノアちゃんが現れた。
「珍しいわね。
ノアちゃんが自分から入りに来るなんて」
「・・・セレネに連れてこられたんです」
「ノアったら・・・」
二人は私の両脇に来て腕に抱きついてくる。
なんだか二人の距離がいつもより近い。
私の腕を思いっきり抱きしめて、
私の肩に頭を傾けている。
「どうしたの二人共?
流石に暑くない?」
「「良いの~」」
これではすぐにのぼせてしまいそうだ。
「セレネの方が少し大きいのね」
「アルカ!?」
気を紛らわせようとして、
無理やり話題を探した結果、
うっかりおっさんみたいな言葉が出てきた。
ノアちゃん痛い!
つねらないで!
ごめんね!
気にしてるなんて思わなかったの!
「私もアルカくらいおっきくなると良いなぁ~」
セレネは私達に構わず呑気にそんな事を言う。
「二人はまだ若いんだもの。これからよ」
だからノアちゃん!
もう許して下さい!すみませんでした!
お腹つまむのは本当に勘弁してください!
それはメンタルに効きます!
「私は良いんです!
こっちの方が動きやすいんですから!」
「ぷっふふ!
ノアったら!」
「セ~レ~ネ~!」
「何も言ってないじゃない。
そんな反応したら何を言わせたくないのかわかってしまうわよ?」
「・・・セレネ嫌い」
「え!!
ノア!え!?本当に!!!
ごめんなさい!言い過ぎた!
本当に反省してるから!
心からそう思うのだけは止めて!」
セレネは慌ててノアちゃんの所に移動して抱きしめる。
「・・・もう」
「はあ~・・・
ノア今のはダメよ!
本当に怖かったんだから!」
「別に私が制御したわけじゃないですよ。
セレネが酷いからちょっと思っちゃっただけです」
「そうよね。
私が悪いんだわ。
ごめんなさいもう言いません」
「こっちこそごめんなさい。
本気でセレネの事嫌いになったりしないから信じて下さい・・・」
「大丈夫!信じてるよ!ノアごめんね!」
「はい。良かったです」
セレネはノアちゃんにそう言われても抱きしめ続けていた。
ノアちゃんも拒絶していないのだろう。
私は抱き合う二人をまとめて抱きしめる。
セレネはまだ少し振るえていた。
本気でノアちゃんに嫌われるのが怖かったのだろう。
ノアちゃんから嫌いって感情がほんの少しでも向けられてしまったのだろう。
人間だもの。
そう思ってしまう事くらいあるわよね。
やっぱり、このパスはなんとかした方が良いと思うのだけど。
心を剥き出しにしてしまうなんて良いことばかりじゃない。
二人はまだそうは思っていないのだろうか。
「ごめんね。
元はと言えば私が変なこと言ったせいだもんね」
「「そう(です)ね」」
「ごめんなさい・・・」
「「ぷっふふ!」」
良かった。
セレネも元気になったようだ。
「でも本当にアルカは大きいですね。
それにとっても柔らかいです」
「ね~」
「二人共止めて!
それはダメよ!
というかノアちゃん何でお腹も触ってるの!
そっちはもっとダメ!セレネ!?
ふひ!ダメくすぐったい!あはは!
ちょっと二人共!ひひひ!
ダメだってば!!!」