11-10.お願い
グリアに管理者の一人を預けて、
再び保管庫の調査を行う。
結局何も見つからなかった。
なんだかんだ良い時間だ。
そろそろ拠点に戻るとしよう。
「セレネは気になる所はある?
そろそろ帰ろうと思うのだけど」
「それなら町を空から見てみたいわ
なにか見つかるかもしれないし。
お願いして良い?」
「もちろん!」
私はセレネの腰に手を回す。
「違うわ!そうじゃなくて!」
セレネはお姫様抱っこをご所望だった。
「それじゃあ下が見えないわよ?」
「良いの!」
私はセレネを抱えて町の上空に上がる。
「やっぱり見づらいわね」
「だから言ったじゃない」
「けど良いの!
そうだわ!このまま夕日も見に行きたいの!
ノアが自慢していたんだから!」
「そうなの?
じゃあもう行かなきゃね。
町はもう良いの?」
「町はまた何時でも見れるもの。
お爺さんも見てくれているし、
私達はまた今度でも大丈夫!」
セレネったら、
始めから甘えたかっただけなのね?
いつもはストレートに言ってくるのに、
なんでこんなに回りくどい事をしたのかしら。
最近の変化にも関係あるのかな。
私はセレネを抱えて、
地上に転移する。
そのまま空に飛んでいき、
雲を突き抜けて停止する。
「うわ~!!
本当に綺麗なのね!
ノアが自慢するのもわかるわ!」
セレネは大興奮だ。
私に満面の笑みで語りかけてくる。
夕日に染まったセレネの顔になんだかドキドキしてくる。
私は慌てて夕日に顔を向ける。
最近私もおかしいのかもしれない。
この前、ノアちゃんに膝枕された時もこんな気分になっていた。
二人共綺麗になった。
まだ子供らしさも残っているけれど、
出会った頃とは全然違う。
至近距離から覗き込まれるとドキッとしてしまう。
夕日を眺めながら私がそんな事を考えていると、
セレネはまた私の頬にキスをしてきた。
私は驚いて、セレネの顔を見る。
「アルカったら酷い!
またなにか考え込んでいたわね!
今はこの光景を楽しみましょう」
そう言いながらセレネは私の顔しか見ていない。
突っ込むべきなのだろうか。
結局私は何も言わずに夕日に目を向ける。
・・・何も言えなかっただけだけど。
セレネの顔は真っ赤だった。
きっと夕日のせいだ。
それからは日が沈むまで二人で夕日を眺めていた。
完全に暗くなってから、
ノアちゃんの待つ拠点に転移する。
「二人共遅いです!
もうご飯出来てますよ!」
「「ごめんなさい」」
私達は三人と一匹で晩ごはんを食べる。
今日も美味しい。
食事が終わってノアちゃんはセレネに向き直る。
「さてセレネ。
話があります。
もちろん要件はわかっていますよね?」
「何かあったっけ?」
「本気でとぼけるつもりですか?
良いから行きますよ」
そう言って、
ノアちゃんはセレネを引きずって森に消えていった。
あれ?
私放置?
「キュ!」
リヴィはいたわね。
残された者どうし仲良くしましょうね~
私はリヴィを連れて露天風呂に向かった。
寂しい・・・
愛娘達が何か隠してる・・・