2-1.新しい生活
「うにゃ~」
私はこたつに入るノアちゃんの後ろに座って、
ノアちゃんの髪を梳いていた。
ここ最近は少し前の忙しさが嘘のように
のんびりとした時間を過ごしていた。
あれ以来ダンジョンの暴走は起きていない。
実行役が丸ごと壊滅してしまったため、
すぐに再開するのは難しいのだろう。
良い具合に警告になって二度とこんな事しないと嬉しいけど・・・
ノアちゃんも一族の件が解決した事で心に余裕が生まれたようだ。
やはり、いつ刺客が来るかもわからない状態に警戒していたのだろう。
訓練の時間も短くなったし、ダンジョンに行きたがる事も無くなった。
それでも訓練自体は続けてるあたり根が真面目だ。
以前では見られなかったが、
今では自分からこたつに入ってゴロゴロしている事もある。
やはりこたつの魔力からは逃れられなかったようだ。
スキンシップも好きなようで、よく膝に乗ってくる。
こたつに入りながら膝に乗るのがお気に入りだ。
ノアちゃん可愛い。
髪を梳かれる事も好きで良くおねだりしてくれる。
来た直後では考えられない姿だ。
「今日は何しようか。ノアちゃん」
「このままのんびりしていましょ~」
「外には出なくて良いの?」
「良いんです~アルカがやる時はやるともうわかってるので~」
リラックスしすぎて声が蕩けてる。
ノアちゃん可愛い。
「じゃあ、今日はのんびりしていようか。」
「はい~」
というやり取りを既に数日繰り返している。
ノアちゃんは気付いていない。
なんか私に似てきてない?
良いのこれ?
ちょっと不安になってきたよ?
他の人が私を見た時もこんな気分なの?
でもノアちゃん可愛いから良いかな~
ノアちゃんの事は私が一生養うから良いよね~
家事も訓練も一通りこなしてから
のんびりしてるノアちゃんと、
本当に何もしないでゴロゴロしている
私を一緒にするのは失礼だ。
ごめん、ノアちゃん。
一緒にしてごめん。
「明日お出かけしようか!」
「どこに行くんですか~外は寒いですよ~」
あれ?ノアちゃん?
なんか逆転してるけど、本当に大丈夫?
まあ、でも本当に今は寒い。
なんせこたつを出しているのだ。
今は冬なのだ。
ピクニックに行こうって気温ではない。
「美味しいもの食べに行くとか?」
「何が食べたいんですか~作りますよ~」
あれぇ?そこまで外に出たくない?
ノアちゃん変わり過ぎでは?
どうしよう。罪悪感が湧いてきた。
「じゃあ、ダンジョンはどう?
固有の環境があるタイプなら温かくて景色の良い所もあるし!
お弁当持ってピクニック!」
「家の中の方が温かいですよ~」
おっと?いよいよマズイかもしれない。
どうしたん?ノアちゃん話聞こうか?
とはいえ、過去の境遇を考えれば初めて心から安らかに過ごせるのだろう。
もうしばらくはこんな日々を続けていこう。