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11-4.ホームシック

ノアちゃんとセレネが私の取り合いをしている。



何かある度に言い争いまでしてしまう。

けれど、本人たちは喧嘩なんてしていないと言う。


今までこんな事は無かったのに、

突然どうしたのだろう。


二人共が嫉妬しているの?


ノアちゃんが嫉妬して私を独り占めしようとする事はこれまでにもあった。

けれどセレネはその姿を微笑ましげに見ているだけだったはずだ。



なのに、今はセレネが率先して

ノアちゃんが独り占めするのを止めようとしている。


そんなセレネに対抗してか、

ノアちゃんも益々ムキになっているようだ。

最近はあまりベタベタしてくれなかったのに、

今は最初の頃に戻ったように甘えてくれる。



二人共どうしてこんなに突然変わったのだろう。

なにかきっかけがあるはずだ。


二人のパスが繋がって、

互いの感情がわかるようになったからだろうか。


けど、少なくとも露天風呂にセレネを呼んだ時まではこんな事は無かった。

その後になにか心境の変化があったのだろうか。





考えても良くわからない。

思春期の子供達だから変化も激しいのだろうか。

私の時はどうだっただろう。


あまり人付き合い自体がなかったし、

異世界にたった一人で放り出されてからの日々が忙しすぎて、

そんな事を意識する余裕も無かった。


日本にいた頃の記憶も年々薄れている。

もうその時の感情なんか思い出せない。


この世界は日本とは違いすぎる。

日々の生活で過去の出来事が連想できないと、

あっという間に忘れていってしまう。

家族の顔だってもうはっきりとは憶えていない。


やばい。そんな事考えたら泣きそうになってきた。

まさか今更ホームシックになるなんて。


まだ家族に会えるものなら会いたいと思ってる。

けれどもう私の姿を見ても誰もわからないだろう。

時間が経ちすぎてしまった。

私も変わった。


今更懐かしんでもどうにもならない。



「「アルカ!どうしたの!」」


あれ?

我慢できてなかったのかな?

顔に出してないと思ってたのに、

二人が心配そうにしてる。


突然意味がわからないよね。

私もこんな風に突然思い出すとは思わなかった。


年を取ると涙もろくなるって聞くけど、

これもそうなんだろうか。


いくらなんでもさっきまで考えてた事と関係なさ過ぎるのに。

こんな些細なことから連想しちゃうものだろうか。



「大丈夫よ。

ちょっと家族の顔が思い出せなくて。

でも私には二人がいてくれるんだから。

何も問題無いわよね」



二人は何も言わずに私を抱きしめてくれた。

それだけで気持ちが溢れ出していく。

二人の本当の家族だって・・・

こんな・・・ごめん・・・


落ち着くまで暫く時間がかかった。




「ごめんね。

二人共ありがとう。

突然わけがわからないわよね。

私何で急にこんな事考えたのかしら」



「大丈夫です。アルカには私達がいます。

一生側にい続けますから」



「また思い出した時はこうやって抱きしめてあげるから。

もう我慢しないでね」



「ありがとう二人共。

もう大丈夫。

大好きよ」



私は二人を抱きしめ返す。

二人共大きくなった。

こんな風に抱きしめたら益々そう感じる。





それから暫くして、

ようやく私達は地下空間に向かった。



「流石にこの階層までは届かんじゃろうな。

上の町は場所によるじゃろう。

念の為あまり彷徨うろつかん方が良い」



「わかったわ。そうする」



「セレネ君達の案しか無いのではないかね?

ドラゴンの子供など君達が責任を持つしかあるまい。

ならば君達に出来ること以上の選択肢など無いさ」



「・・・わかってはいるんだけどね」



「アルカ。私達は大丈夫です。

それにアルカが忙しいのは最初だけですよね?

いくらアルカの力が必要だからって、

数ヶ月も拘束はしないでしょう。

転移装置もありますしね」



「私もノアも力になりたいの!

お願い!アルカ!」



「・・・わかったわ。

二人共リヴィの事お願いね」



「「はい!」」


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