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10-20.崩壊

私とノアちゃんは再び逃げ回っていた。



あれから巨大スライムもどきに攻撃を続けたが、

結局まともに削れる攻撃は見つからなかった。



敵は未だに大きくなり続けている。


元々広かった空間も既に殆どがスライムに埋め尽くされていた。


何時までも逃げ続けているわけにはいかない。

逃げ場が無くなる前にこのスライムをどうにかしなければ!


もうあまり時間は残されていない。



相変わらず外部への転移はできないようだ。

随分と私への対策を徹底している。

それ程までに恨みをかったのは何が原因なのだろう。


今はそんな事を考えている場合ではない。


この窮地をどうにかしなきゃ!



一か八か試してみるしかない。



「ノアちゃん!

時間稼ぎをお願い!

これから暫く無防備になるから守ってくれる?」


「もちろん!絶対にアルカには触れさせません!」


「ありがとう!」



私は部屋の隅に降り立ち、

ドワーフ爺さんに作ってもらった魔道具の杖を取り出す。


収納空間が使えなかったらやばかった・・・


ノアちゃんは私の前に出て、

迫ってくる敵の触手を切り捨てていく。


ノアちゃんの背中に守られて、

私は一切の不安無く、杖に集中する。




私は杖を構えて、

周囲の魔力を集めていく。


殆ど空気中に魔力は存在しない。

既に敵が吸い尽くしている。



なら、あのスライムから奪い取って見せる!


私は杖の制御にさらに深く集中していく。


相手に干渉したところで強烈な抵抗を感じる。

けど、不可能じゃない!

後は根性だ!


力ずくでやったら杖が持たないだろう。

慎重に慎重に奪い返していく。


少しずつ敵の表面から削り取るように。


薄皮を一枚ずつめくっていくように。


段々と私の元に集まる魔力が大きくなっていく。

そうして、私の頭上には魔力が集まって出来た光の球体が生み出される。



順調に進んでいた所で、

突然敵の抵抗が強くなる!


私の意図に気付いたの!?


段々奪い取れる魔力が減っていき、

奪い奪われを繰り返すようになってくる。


とんでもない力で綱引きをしているような気分だ。

しかも綱が引きちぎれても私の負けだ。



集中しろ!

ここで負けるわけにはいかないんだ!

負けたらノアちゃんも一緒にあのスライムに取り込まれてしまう!


もう後はない。

ノアちゃんが死ぬなんて絶対に認めない!






長い事拮抗していた魔力の奪い合いが、

突然抵抗を失う。


急に抵抗を失ったことで、一瞬で増えた膨大な魔力に振り回されそうになるのを必死に抑え込む。

なんだ!何があった!?



「私がアルカを守ってみせます!」



ノアちゃんの声が聞こえる。

ノアちゃんが何かしてくれたのだろうか。


気になるけれど、今意識を向けるわけにはいかない。


集中しろ!



どんどん魔力が集まってくる。

もう大丈夫だ。

さっきは不覚を取ったけど、

そうでなければ今更魔力制御でしくじったりしない!



ドワーフの国を消し飛ばした魔力すら上回る力が集まっていく。



「視えました!」


ノアちゃんはそう言って腰だめに構えた短刀を

敵に向けて思いっきり突き刺した。


ノアちゃんの短刀の先からクレアのように神力の刃が伸びて、

敵の本体を貫く。



その瞬間、巨大スライムの体は弾け飛んだ!



「やりました!アルカ!倒しましたよ!」


「凄いわ!ノアちゃん!

守り抜いてくれてありがとう!」




今すぐにノアちゃんを抱きしめて飛び上がりたい気分だ。

ちょっと諸事情により難しいのだけど。



「ところで、何時まで魔力を集めているんですか?」




私の頭上には未だ巨大な光球が浮かんでいた。

巨大スライムもどきから奪い取った魔力の塊だ。



「えっとね。

実はこの後の事考えて無くてね。

この魔力どうしましょう・・・」


「え!?」


「今はギリギリ抑え込んでいるんだけど、

困っちゃったわ~あはは~」


「あははじゃないですよ!

そんなの放ったらマズイんじゃないですか!?」


「ええ。ドワーフの国を消し飛ばした時以上の魔力が集まってるわ」


「え~・・・」


「良いこと思いついたわ!」


私は収納空間を開いて、

そこに魔力を放つ。


全ての魔力が収納空間に吸い込まれていった。



「アルカ!?そんな事してリヴィは無事なんですよね!?」


「え!?大丈夫。大丈夫・・・・・・たぶん」


「たぶんってなんですか!?すぐに確認しましょう!」


「いやでも、また苦しませちゃうかもしれないし・・・」


「消し飛んでたらどうするんですか!?」



私は一度収納空間を閉じて、

再度リヴィを思い浮かべながら開き直す。



「キュイ?」


うん問題ない。

念の為、もう一度入っていてね。



二人でリヴィの無事を確認して、

直ぐ様収納空間に戻ってもらった。



「は~・・良かったです」



ようやく落ち着き、

スライムの本体だったものを拾い上げる。

なにこれ魔道具?


え?


その直後、魔道具からヒビだらけのダンジョンコアが吐き出され、

地面に落ちて砕け散る。


やば!



ノアちゃんの所に転移して、

ノアちゃんを抱えて、

地上に転移する。


コアが破壊されればダンジョンは崩壊する。

危うく生き埋めになる所だった。


町の様子も見に行かなくちゃ。


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