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10-16.転移装置

魔道具の保管庫を空にした私達は、

他の部屋も確認していく。


どうやら今はこの階層に人がいないようだ。

これはチャンスだ!


食料の保管庫も見つけた。

どうやら転移で運んでいるのは間違いないようだ。

どう見てもこの地では取れない作物等も保存されている。


食料保管庫は中身の確認だけ済ませて次の部屋も見ていく。


隣の部屋は巨大な魔法陣と装置が設置されていた。

何の部屋だろうか。


位置的にこれが転移の仕掛けだろうか。


流石に見ただけではわからない。

グリアにでも来てもらおうか。




装置自体は巨大な魔道具のようだ。

一先ずこれを無力化してしまえば、すぐには使えないだろう。


まあ、そもそも転移魔法の現代における希少性を考えれば、

この装置は例のドワーフによって作られたものだろう。

もしかしたら修復できる人間もいないかもしれない。



本当に今壊してしまって良いのだろうか。

この地の人々にとっては生命線だ。


彼らを外に出せないのであれば、

転移装置は必要になる。


これで逃がすわけにもいかないが、

補給が途絶えれば生きてはいけない。



かといって、今これを放置するわけにもいかない。

最悪幹部達に逃げられるかもしれない。


これを抑えてしまえば逃げられる可能性は格段に減るのだ。




どうしよう。



「ノアちゃん。どうしたら良い?」


「一時的に無効化する手段は無いでしょうか」


「この杖だと破壊しちゃうからそれは無理かな・・・」


「ならお爺さんに来てもらいませんか?

お爺さんもこの件ならなにかしたいのではないですか?」



確かに。

ドワーフの国を滅ぼした因縁の相手が残したものだ。

自分でケジメを付ける事に関われるなら、

爺さんも否とは言わないだろう。



でもな~

やっぱりあまり関わらせたくないんだよな~


知ってしまえばいろいろと想像出来てしまうだろうし。


国を滅ぼしてお爺さんを一人きりにしておいて、

自分は新しい居場所を作り上げて人生を謳歌したなんて風にも見える。



私の考えすぎかしら。



「アルカの考えすぎだと思いますよ。

お爺さんはそんな風にはとらないと思います。

とっても優しいんですから」


「う~ん・・・

そうなんだけどね。

どっちかと言うと私の我儘なのよ」


「まあ、アルカの気持ちもわかりますけど・・・」



困った。

一先ずグリアにでも助けてもらおうかしら。

ドワーフの国で中枢システムを止めた時のようにあっさりなんとかしてくれるかも?



「じゃあ、せめてグリアに来てもらって、

これが転移装置かどうか見てもらいましょうか。

それでグリアにもどうにもできなかったら、

お爺さんにも助けてもらうから」



「そうですね。

少なくとも私達ではどうにもならなそうですし」



私はグリアに小型転移門を繋いで、来て欲しい事を伝える。

状況を説明するとグリアは快諾してくれた。

忙しいだろうにいつもありがとう。



「転移装置で間違いないと思うよ。

おそらく同様の装置と繋ぐだけのものだがね。

少なくともこの魔法陣からはそのように読み取れる。

けれど、私のものとは大きく異なるようだ。

これは参考になるね」



「ありがとう。助かったわ。

申し訳ないけれどここで見た物は外で使われると困ってしまうわ。

万が一があるかもしれないのだから」



「わかっているとも。

安心したまえ。君達が何を追ってきたのかもわかっているのだから」



「そうね。ごめんなさい。

余計なことを言ったわ」



「一先ずこの装置の無力化については、

ドワーフ翁氏の力を借りるべきではないかね?

後に確実に復旧させたいのであれば、

彼の力が必要だと思うよ」



「う・・・

やっぱりそうよね・・・」



「君は相変わらず何でも気にしすぎだ。

そこまで気遣わなくとも、

皆それぞれに折り合いをつけて生きているものだ。

あまりグズグズしている時間もないのだろう?

なにせここは敵地のど真ん中なのだから」



「そのとおりね。

ありがとう。呼んでみる」



私はドワーフ爺さんに事情を話して来てもらえないか頼んでみた。

爺さんも快諾してくれた。

早くも本拠地まで特定してくれたのかと感謝さえしてくれた。


すみません・・・偶然なんです・・・

なんだったら、見つけたのはリヴィアです・・・




「一先ずこれで十分じゃろう。

復旧させる時はまた儂を呼べ。

すぐに戻してやる」



爺さんは暫く装置を調べると、

あっという間に作業を終えてそう言った。



「ありがとう。助かったわ。

もう少し調査が済んだら

また助けてもらう事になるからよろしくね」


「準備しておこう」

「おう。何時でも呼べ」



装置の件が片付き、

私は二人に礼を言って一先ず送り返す。




再び私の手を握ったノアちゃんは、

私の目を見ずに呟いた。


「グリアさんの言葉なら素直に聞くんですね・・・」

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