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10-8.発見

私はノアちゃんとリヴィアと共に未開拓地の散策をしていた。


特に目的地も無い思いつきだ。

暇つぶしとも言う。


ぶっちゃけこの生活に飽きてきたのだ。

精々思いっきり鍛錬出来るのと露天風呂に入れるのが嬉しいくらいだ。


そろそろ刺激がほしい。

先日のクレアとの模擬戦は良かった。

ノアちゃんとの鍛錬も好きだが、

たまには他の人とやるのも良いものだ。



結局彼女の防御力は突破できなかったけれど、

戦闘不能に持ち込めるだけでも大きな進歩だ。

魔王との戦いを見ていた時はまともに戦えるとすら思っていなかったのだから。



あの後ムキになったクレアは数日滞在してから帰っていった。

私にリベンジした後は、

殆どの時間をノアちゃんと戦い続けていた。


そうして最後にはノアちゃんの隠密移動に反応できるようになった。



またもノアちゃんは心底悔しがったけれど、

その後は開き直って果敢に立ち向かっていた。

若干やけくそ気味だったけど。


クレアのインチキぶりに地団駄を踏むノアちゃん。

それでも心折れずに立ち向かう姿は格好良かったよ!

ノアちゃん強い子。




勝ち逃げしたクレアに追いつくために、

ノアちゃんは一層鍛錬に励んだ。


今日の散策は少し息抜きにならないかなという思惑もある。

景色の良いところがあったらピクニックにしても良い。


まあ、このあたりは深い森に囲まれていて、

ちょっと期待出来そうにないのだけど。


やっぱり空飛ぼうかしら。


なんとなく、何も考えずに歩きだしてしまったのは失敗だったかもしれない。



「ノアちゃん。

この辺はずっと森が続いているみたいだから、

少し飛んで他の所を見てみない?」


「う~ん。

どちらでも良いですよ。

リヴィは楽しんでいるようですし」



確かに。

あっちこっち掘り返したり、

枝にぶら下がったり、

木の実をつまみ食いしたり、

やりたい放題だ。


森の散策を十分に満喫している。

その姿には警戒心の欠片もない。


あなたこの辺りの魔物に襲われたら簡単に食べられちゃうのよ?

もう少し野性の本能とか無いの?




こんなに楽しんでいるリヴィを無理やり連れて行くのは可愛そうだ。

他の所でも変わらずに楽しめそうだけど。



「じゃあ、もう少しこの辺りを歩いてみましょうか。

リヴィの気が済んだらまた考えましょう」


「ですね」



私はノアちゃんと一緒にリヴィの様子を見て笑い合う。

何にでも興味を示す無邪気なリヴィは見ているだけでも癒やしになる。

まあ、これはこれで良いだろう。



暫くリヴィの気の向くままに進んでいく。

あっちこっちに興味を示すので、

なんだか殆ど前進していないけれど。



「キュ~!」


リヴィが私達に向かって鳴くと駆け出した。

なにか見つけたらしい。

付いて来て欲しいようだ。


私とノアちゃんはリヴィの速度に合わせて駆けていく。


かなり走ったと思った所で、

突然リヴィが立ち止まった。


辺りは変わらず森が続いている。

何が気になるのだろう。


リヴィは臭いを嗅ぐように地面に鼻を押し付けて何かを探している。


暫くするとそのまま地面を掘り始めた。


「キュキュ!」


かなり掘り進めたところで、

興奮した様子で私達を呼ぶ。


穴を覗き込むと、

リヴィの足元に何か人工物のようなものが見える。


私は穴の中に降りて、

足元の何かを触ってみる。


なんだろう。床?

あれ?これどこかで見たのに似てる?



周囲の土を転移させて足元を広げてみると、

一面が人工物の何かだった。

ドワーフの国で見た材質に近い。けど少し違う。

もっと自然物に近いものだ。



こんなところにも別のドワーフ達が住んでいるのだろうか。


流石にいきなり穴を空けて見てみるわけにもいかないだろう。


平和に暮らしているなら、

突然天井をぶち破られたら迷惑すぎる。


私は探索魔法と覚視で中を覗き込んでみる。

空洞?廊下みたい?


少なくともこの下に町は無さそうだ。

やっぱり一か八か穴を空けて入ってみようか。


入口を見つけるのは難しいだろう。

以前訪れたドワーフの国では入口が巧妙に隠されていた。



転移で直接入るのは流石に怖い。

毒ガスでも蔓延してたら危険だ。


転移門で様子を伺ってみよう。

内部の状況は把握できたから繋がるはずだ。



「ア~ル~カ~どうしたんですか~」


私は穴の外に転移して、

ノアちゃんに見たことを伝えてみる。



「気になりますね。

もし同族の国があるならお爺さんに教えてあげたいですし」


「そうよね。

ちょっと転移門を開いてみるから、

リヴィと離れていてくれる?

何かあったら困るから」


「はい!」



リヴィを抱えたノアちゃんが離れるのを確認し、

地下廊下内部と転移門で繋いでみる。


内部に変わった様子は無い。

以前見たドワーフの国の入口のように、

先が見えないほど長い廊下が続いているようだ。



「キュキュウウウ」


「リヴィ!どうしたのですか!」


内部の様子を調べていると、

突然リヴィが苦しみだした。

私は慌てて転移門を閉じる。



リヴィが苦しむのは止まったようだが、

まだ荒い息を吐いている。


慌ててリヴィの様子を視てみると、

リヴィの力が乱れているのを感じる。


何かに無理やり力を引き出されたかのようだ。



私はノアちゃんとリヴィを抱えて拠点に転移した。

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