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10-6.約束

セレネの暴露で恥ずかしがっている

ノアちゃんをそっとしておくために、

私はリヴィアと一緒に露天風呂にやってきた。


約束を果たすことにしよう。

単に私も入りたいだけなんだけどね。


お湯を張り終わるまで大人しく待つリヴィ。

本当に何でこんなに賢いのだろう。


確かに魔物達は愚かではない。

強者は目ざとく察して近づかないし、

弱者は躊躇なく襲う。


人間の生活圏に近い所に住む魔物達は

そうそう人前に姿を表そうとしないくらいだ。


けれど、その辺りはどちらかと言うと本能的な賢さではないだろうか。

リヴィみたいに理性を感じさせるような魔物は見たことがない。


何か人と一緒に暮らす事で変化が生じているのだろうか。





「もう入って良いよ。

よく待ってたね。偉いよリヴィ」


「キュ~!」


返事をするなり飛び込むリヴィ。



そのうちお風呂の飛び込み禁止と泳ぐの禁止も教えてあげよう。

代わりにプールを作ってあげるからね。



私も続いて露天風呂に浸かる。

昼と違って、今度は月が出ていていい雰囲気だ。



そうだ!セレネを呼んであげよう!

きっと大喜びしてくれる。


「セレネ今大丈夫?」


「うん。今丁度終わったところよ。

どうしたの?」


「良いものがあるからこっちに来ないかなって思って」


「行くわ!」



セレネは何かも聞かずに即決した。

私は転移門を開いてセレネを迎える。


「わ~!!

広いお風呂なのね!

とっても素敵!」


「露天風呂を作ってみたの。

折角だから一緒に入りましょう」


「そうね。

けれどこれだけ広いなら、

他の人も呼んであげよう!

ルネルさんは喜びそうだわ!」


「それもそうね」



私はルネルとグリアにも小型転移門を繋ぐ。

案の定、ルネルは来ることにした。


グリアは断固拒否だ。

そういえばあなたもお風呂好きじゃなかったわね。



ルネルはこっちに来るなり、

またどこかに転移して行った。

どうせお酒でも取りに行ったのだろう。

こっちにも月見酒って文化はあるのかな?



「あなたがリヴィアね。

私はセレネよ。よろしくね」


「キュ~イ~」


リヴィは間延びした鳴き声で答える。

既にお風呂で溶けている。


初対面でいきなり裸の付き合いとは。

これは間違いなく仲良くなれるね!


ノアちゃんにも一応声をかけておこう。

セレネが来ているのに黙ってた事がバレたらまた怒られる。



「ノアちゃん、今、」


「セレネが来ているんですよね。

大丈夫です。わかってますよ」


「そういえばそうだったわね」


「距離が近い事もわかりますし、

喜んでいるのも伝わってます。

一緒にお風呂にでも入っているのでしょう?」


「ええ。ノアちゃんも来ないかなって」


「・・・考えておきます」


「わかったわ」



お風呂嫌いとセレネ大好きが拮抗しているようだ。

若干心惹かれてそうだから、セレネ大好きが上回ってそう。


ずっと繋がっているとはいえ、

直接会えるなら会いたいのだろう。


もしかしたらさっきの暴露事件の事で

文句も言いたいのかもしれないけれど。



セレネはリヴィと遊んでいる。

一緒に泳ぎだしたけどまあ何も言うまい。




「大人しくせんか!

酒が飲めんわ!」


いつの間にか戻ってた酒飲みお婆ちゃんがキレた。

見た目ロリっ子なんだから程々にね。



ルネルに謝って、

セレネとリヴィが私の両脇にやってきた。


リヴィはルネルが怖くなってしまったようだ。

さっきまでのんびりしていたのに、

すっかり縮こまってしまった。


本能的に強さを察したのだろうか。

それにしてはさっきまで気にも止めていなかったけど。



私はリヴィを慰めながら、

セレネとのんびり過ごす。



ルネルはいつの間にかノアちゃんの為に作った

水風呂に自分でお湯を入れて収まっていた。

サイズ感がちょうどいいのだろう。


もしかしたらリヴィに気を使ってくれたのかもしれない。


ルネルが離れた事で、

リヴィも余裕を取り戻したようだ。


お腹を上にしてプカプカ浮いている。

その姿には野生の欠片も無い。



暫くするとノアちゃんもやってきた。

セレネの隣に足だけつけて話に参加する。


結局お風呂への苦手意識よりセレネに会いたい気持ちが勝ったのだろう。


自分一人を置いて私達が楽しくやっている事への寂しさもありそうだけど。


ノアちゃん寂しがり屋さん。可愛い。

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