45-32.るーるーるー
『み~っけ!』
ほんとにぃ?
『ほんとーだもん!』
『これで何度目かしら。そう言うの』
『ぜったいだもん!!』
『はいはい。今度こそ居るといいわね』
『イロルーいじわるー!!』
イロルー?
『ツクルー♪ ハルルー♪ シールー♪ イロルー♪』
あだ名?
『みーな♪ ルー♪』
なるへそ。融合したから。
『アルルー?』
それはマズいわね。アルルはもういるから。
『ママルー♪』
可愛い♪
『そうかしら?』
『そーだもーん!! イロルーいじわるー!』
気に入ったの?
『そんな事よりもよ』
『む~!』
お願い♪ ルーちゃん♪
『ルー♪』
今度は掛け声? うちは「がってん」が共通ワードよ?
『かわいくなーい!』
そう?
『あっぷでーと!』
向上心があるのは良い事よね♪
『ルー♪』
鳴き声? 返事か。
『ママルーもつかっていーよー♪』
ルー♪
『きゃはっ♪』
ふふ♪
『それで、ルー。トリウィアはどこにいるの?』
『ルー!』
「え?」
「あら? 小春?」
私の腕の中に突然お姉ちゃんが現れた。ルーちゃんが私の代わりに抱き寄せ魔法を使ったっぽい。凄い。さすルー。
「いきなりごめんね。もしかしてカリアさんと打ち合わせ中だった?」
「いえ。アメリと本部に潜入していた所よ」
「あら。それは本当にごめんなさい」
「まあ大丈夫よ。すぐ戻れば」
エデルガルト卿の調査は順調なようだ。これ以上邪魔しないよう気をつけよう。
「ちょっとお姉ちゃんの中に用があるの」
「すぐ出てくる?」
「暫く籠もるかも」
「がってんよ」
お姉ちゃん世界に入って驚いた。お姉ちゃん世界にも既に立派な町が出来上がっていたのだ。私世界に負けず劣らずの大都市だ。こちらに移り住んだプロトちゃん達の一部が発展させてきたのだろう。
「あれ? フィリアスもいる?」
『いるわね。私達の知らない子が』
『それもかなりの数です』
『いっぱ~』
『どうやらミユキは自分で生み出していたようですね』
『……』
「ハルちゃんや」
『……』
『めんご』
やっぱグルかい。だろうと思ったけど。
『水臭いじゃない。ちゃんと紹介しなさいよ』
『そうです。ハルの妹は私達の家族でもあるのですから』
そうだよね。お姉ちゃんが生み出したって事はハルちゃんの妹にあたるんだもんね。あれ? けどハルちゃんも生みの親の一人なら妹であり、娘でもあるって事? いんもらるー♪
『けどいっぱい』
『ざっといちまん』
私のとこより多いじゃない。
『必要ないでしょ』
『何の為に生み出したのです? ミユキはハルの件で懲りたのではなかったのですか?』
『うらやま』
『アルカせかい』
自分も欲しくなっちゃったのね。随分軽い動機だ。正直今更お姉ちゃんの倫理観には期待してないけども。だからってこっちの三倍近く生み出すのはやり過ぎよね。
『まだまだ』
『たりない』
『せかい』
『ひろい』
『アルカより』
なるへそ。埋め尽くす気か。野望はでっかいなぁ。
『とにかく探してみましょう。この世界のどこかにトリウィアがいるのかも』
「ハルちゃん何も知らんの?」
『しーらん』
『ぺったん』
ご~りら♪
『真面目にやりなさいよ』
『ルージュの影響でしょうか』
『元からでは?』
『ふっふ~ん♪』
なんでルーちゃんがドヤ顔?
とにかくお姉ちゃん世界を探検してみよう。そのうちトリウィアも見つかるかもしれない。そんな軽い調子で探索を始めた途端、あっさりと痕跡を見つけ出す事に成功した。
「というか」
『いたわね。本人が』
『へびちゃ~♪』
『本当にこれがニクスすらも欺いた神なのですか?』
『それより早く救出するべきでは? 仮にもあの蛇はヨルムンガンドですよ? 神であっても丸ごと飲み込んで消化するくらい造作もない筈です』
蛇ちゃんの口から二つの小さなあんよがはみ出している。最初に見つけた時はまだ下半身全体が見えていたのだけど、段々飲み込まれていったのだ。もうそろそろ全身が収まってしまう。
「ぺっして」
「(こくり)」
蛇ちゃんが口に含んでいたものを吐き出すと、べチャリと音を立てて小さな少女が地面に叩きつけられた。
「(きゅ~)」
ありゃ? 気絶してる?
『これ』
『間違いないわね。こいつ神よ』
『けれど随分と弱っていますね。なんならあの魔神達にすら劣るのではないでしょうか』
え? そゆこと? 力を感じ取れなかったのは弱すぎたから?
『ぽいわね。ルージュはよくこのちっぽけな反応を見つけられたものね』
『えっへん♪』
『イロルーは謝るべきでは?』
『悪かったわ、ルージュ。それとその呼び方はやめなさい。ツクルー』
『ふふ♪ なんだかんだと気に入っているではありませんか♪』
『そんなんじゃないわよ』
『イロルー♪ てれるー♪』
『うっさい!』
はいはい仲良くね~♪




