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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
45.白猫少女と(仮)

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45-28.負けず嫌い

「お疲れ様! ルージュ!」


「えっへん♪ いっぱいがんばった~♪」


 遂にこの時が来た! ルージュが私の中に帰る時が!



「そうね♪ 私も見ていたわ♪ 本当によく頑張ったね♪」


「えへへ~♪」


 ぎゅっぎゅ♪ ぎゅっぎゅ♪



「あのね~♪ ルーね~♪」


「お風呂ね♪」


「うん! はいるー!」


『「ILis」を使うおつもりですか?』


 うん。ダメかな?


『その前に教育を』


 先にご褒美あげたいな~。なんて……。


『仕方がありませんね。少しだけですよ』


 ありがとう♪ シーちゃん♪


「あ~がと! シー♪」


『……はい。ルージュ』


 ふふふ♪




 早速小さな湯船に抱き合って浸かると、ルージュはすぐに寝息を立て始めた。



『可愛いものですね。こうして見ると』


 ルージュはいつだって可愛いじゃない。


『アルカの目はだいぶ曇っています。結構な悪ガキですよ。この子は』


 そんな言い方しないで。少しばかり負けず嫌いなだけよ。


『言葉でだって人は傷付けられるのです。この子には色々と教えていかねばなりません』


 多少お口が悪いのは仕方ないじゃない。ルージュにはわかるんだから。今の自分じゃ逆立ちしたって勝てない相手ばかりなんですもの。せめて言葉でやり返そうと思うのも致し方ない事でしょ。


『そもそも敵意を持ちすぎています』


 そんな事ないわ。さっきだってシーちゃんにちゃんとお礼言えてたじゃない。


『そんなのアルカの前だからに決まってるじゃないですか』


 ノエル。怒るわよ。


『ルージュは本当にアルカの事が大好きなのです。独り占めしたくて堪らないのです。だから私達は邪魔なのです』


 この子は邪魔だなんて思ってないわ。


『アルカこそ目を逸らすのはやめてください。私だってそう思う事は度々あるのです。感情の抑制が利きにくい赤子が独占欲に振り回されてしまうなんて当然の話です』


 それは……そうかもだけど……。


『むしろルージュが普通なのです。他の子達の聞き分けが良すぎるだけなのです』


 わかってるなら意地悪言わないでよ。


『けれど普通ではダメなのです。この子は普通でない力を持って生まれてきたのですから』


 焦りすぎじゃないかしら。


『何かあった時に後悔するのはルージュ自身なのですよ』


 ……そうね。ごめんなさい。ノエルの言う通りね。


『わかって頂けたのなら何よりです。ここまで言っておいてなんですが、アルカが必要以上に気にするのはダメですよ。ルージュが不安になりますから』


 難しい事を言うわね。


『子育てって大変ですね♪』


 その分良い事もいっぱいあるわ。


『当初の予定より随分と得るものが多かったようですね』


 そうね。危うく目的を忘れてしまいそうだわ。


『トリウィアとはどのような神なのでしょうか』


 ルージュみたいな子だったりして♪


『ありそうな話ですね。守護神のくせに家出娘で、尚且つあのニクスを手玉に取るイタズラっ娘です。間違いなく素直な良い子って事は無いでしょうね』


 ルージュは素直な良い子よ。少しばかり負けず嫌いで独占欲が強くて察しが良いだけよ。


『察しの良さがずる賢さを増長させるのでは台無しです』


 もしかしてノエルも妬いてるの?


『今の二人を見て羨ましいとは思っています』


 後でやってあげるから。


『約束ですよ』


 ノエルはお風呂好きなのかしら? ノアちゃんはそこまででも無いはずだけど?


『忌避感はありませんね。それよりも問題は接触面積の多さです。ズルいです。羨ましいです。ルージュばっかり』


 あらま。急に子供になっちゃった。


『私の欲望をそんなお子様のと一緒にしないでください』


 ノエルも好きねぇ~。


『アルカの中で過ごすのも悪くはありませんが、肌と肌の触れ合いも恋しくなるものですね』


 セラフにも声かけてあげないとね。


『まだダメです。暫くは私を優先してください』


 ノエルもルージュの事言えないじゃない。


『折角私が加わったのに、アルカはルージュにばかりかまけているんです。ヤキモキするのも致し方のない事なのです』


 悪かったってば。後でルージュだけ先に送り返すから。その後はノエルの気が済むまで一緒にいるから。


『ふふ♪ 言いましたね♪ 手始めにノア超えを目指しましょう♪』


 何年籠もるつもりよ……。


『取り敢えず十年程でしょうか。まさか前言を撤回したりはしませんよね?』


 ノエルにはノアちゃんとして一緒に過ごした記憶だってあるじゃない。


『だからこそです。私は私として並び立つ所存です』


 極端すぎるわ。


『忘れたのですか? 私も負けず嫌いなんですよ?』


 そうね。そうよね。ノアちゃんとノエルは結構違う所もあるけど、そういう所は間違いなく同一人物なんだものね。


『はい♪ だから覚悟してください♪ 私はノアにだって負けませんから♪』


 大丈夫? 裏切りにならない?


『なりませんよ。全てノアにも共有しますから。私はノアの注文通りに、ノアの一部としてアルカと共に過ごすのです。その前提を違えるつもりはありません』


 けれど見せつけるんでしょ?


『見せつけるとは少し違いますね。私達は二人で一人です。単なる記憶ではなく経験を共有するのです』


 けどノアちゃんがそう受け取るとは限らないわ。ノエルが羨んだように、次はノアちゃんが望むかも。


『ふふ♪ それも良いではありませんか♪ 私達は互いをライバルとしてアルカを求め合うのです♪ 二人だからって二倍に留める必要はありません♪ どうせならそれ以上を求めてしまいましょう♪ 相乗効果ってやつですね♪』


 楽しそうで何よりだわ。


『顔がひきつってますよ? ルージュに気付かれますよ?』


 ……本気で十年潜るつもり?


『当然です』


 ……五年にまからない?


『十年は最低ラインです』


 あ、はい……。


『そんなに私と二人きりは嫌ですか?』


 そんなわけないじゃない。ただ……。


『ただなんですか? 自信がありませんか?』


 違うわ。あんまり長く籠もると後が大変なのよ。皆にも心配かけちゃうし。


『心配は要りません。今回はシイナ達も見守ってくれています。何か問題があれば途中で止めに入るでしょう』


 なんなら参加したがるかもよ?


『それならそれで構いません。十年もあれば二人の時間も十分に確保出来るでしょう』


 力技が過ぎるわ。そんな事をしなくても私はノエルをノアちゃんだと思って接する事が出来ていると思うのだけど。


『それはそれです。アルカの意思を疑っているわけではありません』


 だけどノエルとだけ十年も過ごしたら、きっと私はあなたをノアちゃんとして見れなくなると思うの。


『いいえ。心配は要りません。なぜならアルカは必ず耐えられなくなるのですから。その時こそ私はノアとして寄り添いましょう。きっとノアを求めるアルカの心が良い感じに錯覚してくれるでしょう』


 そこまで考えていたのね……。


『ふふ♪ だから十年必要なのです♪ おわかり頂けましたね♪』


 けどダメよ。やっぱり。今の私はルージュを放っておけないもの。


『これはその為にも必要な処置です』


 まさか私にルージュを忘れろと?


『薄れさせるだけです。フラットに見てもらう必要がありますから』


 そんなの薄情だわ。


『けれど必要な事です。ルージュとアルカが融合する為に』


 そう。この提案はシーちゃん達もグルなのね。


『流石に気付かれましたか』


 てことは本当に私だけ出してはくれないってわけね。


『今だけはルージュとの幸せな時間をお過ごしください』


 酷いわ。あんまりよ。


『入れ込みすぎたアルカが悪いのです』


 皆が警戒しすぎなのよ。


『アルカが本当に望むのならば何時でも出られますよ』


 少しくらいは付き合うわ。


『感謝します』


 もう。大人げのない子達なんだから。


『今のルージュが力を持ちすぎてしまえば困るのです。急ではありますが一人前になってもらう必要があります』


 わかるけどさ。


『そしてアルカもルージュを手のかかる娘としてではなく、対等な相手として見る必要があります。それが融合の原則です』


 それもわかってるってば。


『ならば結構です。どうぞ最後までお付き合いください。決して寂しい思いはさせませんから』


 ありがとう、ノエル。それからシーちゃんとイロハも。後はアイリスもグルかしらね。


『ハルとナナミとお姉ちゃんもいますよ』


 ツクヨミ以外全員じゃない。


『今回はヤチヨ達を見ていてくれましたから』


 もういっそルージュとも一緒に過ごしたら? 十年もかけるならどのみち結果は同じでしょ?


『一度離れる必要があるんですってば。それに私が独り占め出来ないじゃないですか』


 結局はそこなのね。


『そうですよ。最初からそう言っているでしょう?』


 強引だわ。


『不服ですか?』


 いいえ。全部正直に話してくれてありがとう。


『アルカが気付かなければ話しませんでしたよ』


 その割にはヒントをいっぱいくれたじゃない。


『後で叱られるかもしれません』


 その時は味方になってあげるわ。


『是非お願いします♪』

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