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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
45.白猫少女と(仮)

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45-22.情報源

「ふやけものぼせもしないのって、これはこれで変な感じよね」


「?」


 いかんいかん。つい愚痴っぽいのが出てしまった。もうずっとお風呂から出ていなくて少々気が滅入ってきた。私もお風呂大好きだけど、流石に狭い湯船で禄に身体も動かせずいれば嫌気も差してくる。


 けれどルージュの好きなもの探しが進展しない限り、この生活から解放される事も無いのだろう。これはマズい状況だ。ふわやわルージュたんで気を紛らわせるにも限度がある。


 だからって迂闊に立ち上がる気配を示そうものなら今にも泣き出しそうな顔で見上げてくるのだ。私には出来ない。可愛い可愛いルージュたんにそんな顔はさせられない。困ったものだ。本当に。



「……」


「ルージュ? どうしたの?」


 そろそろおねむの時間かしら?



「……つまーない?」


 しまった。



「ううん。そんな事ないよ。ルージュとこうしているのも楽しいよ」


「……うそ」


 あらら……。



「ごめんね。少し脚を伸ばしたくなっちゃって。そうだ。ベットに移動しましょう。きっとルージュも気に入ってくれると思うの」


「……うん」


 ありがとう、ルージュ。あなたは優しい子ね。



 早速ベットに移動し、久しぶりに身体を伸ばして横になった。今は「ILis」の機能を使って身体疲労やストレスなんかもカットしている筈だけど、それでも凝り固まった身体がほぐれていくような爽快感が全身に広がっていく。気がする。



「ふかふか」


「でっしょ~♪」


 ルージュは服を着るのを嫌がった。私が下着を身につける事すら猛反対されてしまった。タオルで身体を拭かれるのも渋った程だ。それでも布団の感触は気に入ったらしい。


 これも覚視の素養を極端に高めてしまった影響かしら。もしかしたら肌の感覚も私達とは大きく違うのかしら。今のところ水の中と布団の中と私と抱き合うのは問題無いらしい。神経過敏とは多分違う筈だ。何かルールがあるのだろうか。



「もしかしてここが『ILis』の中だから?」


「?」


 視えているものが違うって事は私達でも気付けないような違和感を抱いているのかもしれない。作られた世界の方がそれも大きいのかも。或いはその逆か。仮想空間故にルージュの感覚は大きく制限されている可能性もある。それこそ普通の人の目が見えなくなったくらいの恐怖だって感じているのかもしれない。



「お外出る?」


「……(ふるふる)」


「ここは怖い?」


「……へーき」


「本当に?」


「……いるから」


「私が?」


「うん」


 なんて健気!



「試しに少しだけ出てみない? 絶対に離れないから」


「やっ」


 ちょっと強めの拒絶が返ってきた。一旦これ以上はやめておこう。



「ごめんね。変な事聞いて」


 少し強めに抱き締めてみる。



「……(ふるふる)」


 ルージュは少しだけ首を振ってから強く抱きしめ返してきてくれた。それから程なくして可愛らしい寝息が聞こえてきた。




『だいぶお困りみたいね♪』


 見てたのね、アイリス。


『これでも気を遣っていたのよ?』


 それはどうも。


『助け舟は必要かしら?』


 正直お願いしたい所だけど……ううん。やっぱり遠慮しておくわ。


『ふふ♪ 今回はそう言うと思ったわ♪ 代わりに話し相手くらいにはなってあげるわね♪』


 そっちは是非お願いするわ。


『かしこまり♪』


 アイリスはルージュの事どう思う?


『漠然とした質問ね。けれどグラマスの聞きたい事なら勿論わかっているわ♪ この世界で私にわからない事なんて何一つ無いんだから♪』


 だよね。知ってる。


『つまりはそういう事よね♪ 私にとってグラマスの心を覗くのは当たり前の事なの♪ グラマスが目で物を見るのと同じようにね♪』


 アイリスはどう? ある日突然見えなくなったら不安になるかしら?


『勿論よ! なんとしても問題を解決してみせるわ!』


 それでもどうにもならなかったら?


『目を瞑って悪い夢だと信じ込むわ!』


 普通はそうよね。アイリスらしくはないけど。


『ええ。正直一般論に答えを寄せている部分もあるわね』


 それで? ルージュの場合は?


『ルージュは強い子よ。認めるべき事を認めているの。勿論現実逃避をしているわけでもない』


 だから耐える事にしたの?


『違うわ。探っているの。この子は正真正銘フィリアスよ。未知を前にしてただ怯えて固まるだけじゃない。恐怖を追求してこそのフィリアスなの。そう考えると被虐性癖持ちが多いのも納得よね。グラマスに引っ付きたがるのはあなたが特大の情報源でもあるからよ。勿論信頼して身を委ねてもいるわ。服を着たがらなかったのもグラマスと接する面積を少しでも増やす為ね。タオルにまで過剰反応したのは誤解もあったようだけど。とにかくもう少しだけ付き合ってやりなさい。この子は間違いなく自らの力で恐怖を乗り越えるわ』


 そっか。ありがとう。それを聞いて安心したわ。結局助けてもらっちゃったわね。


『ふふ♪ この程度助けた内にも入らないわ♪』


 そうね。アイリスが全力ならあっという間に問題を解決してみせるものね。


『そういう事よ♪』


 私に出来る事はルージュの邪魔をしない事だけなのね。


『いいえ。他にも出来る事はあるわ』


 わかった。私も諦めずに考えてみる。


『その意気よ♪』


 お陰様で良い気分転換になったわ。


『どういたしまして♪ また何か困ったら求めなさいな♪ 私は何時でも見守っているわ♪』


 ありがとう。お願いね。

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