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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
45.白猫少女と(仮)

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45-19.足りない才能

「ふむ。言うだけの事はあったようじゃな」


「ぐへ~また負けたぁ~~~」


「情けない声を出すでない。お主はようやっとる」


 ルネルがめっちゃ褒めてくれる……きっとこの後はもっとボロボロにされちゃうんだぁ……。



「少し休憩じゃ」


 え?



「ほれ。座れ、アルカ。一つ話をしてやろう」


 いったい何事? ルネルが修行中に手を止めて口を開くなんて……。



「なんじゃその目は」


「いえ、なんでもありません」


 慌てて姿勢を正し、ルネルの言葉を待つ。



「先に伝えておこう。やはりお主には才能が無い」


 ひどい……。



「今回ばかりはお主でも習得出来んかもしれん」


「そんなに難しいの?」


「いいや。そうではない。見える者には自ずと見えるのだ。その入口に立ちさえすればな」


「なるほど……」


 そりゃ確かに無理かもしれない。難易度以前の問題だ。アンジュやセフィ姉、レヴィ達が私以上に高度な修行をしてきた筈はない。それでも彼女達は千里眼や未来視を扱える。そして覚視は遺伝する。つまり生まれつき決まっているのだ。



「才ある者を取り込むがいい。お主にはそれが出来る」


「それってヤチヨじゃ……ああ。つまり新しいフィリアスを生み出してみろって事ね」


 まさかルネルの方からこんな事を言い出すなんて。これはエルナのお陰かしら? それとも私の影響?



「ハルちゃん、どない?」


『やってみる』


「シーちゃんはミヤコと連携して探してみて」


『イエス! マスター!』


 もしかしたら私世界にも才能のある子はいるかもしれないもんね。それを見つけ出すのは大変かもだけど。



「ルネルも一旦上に上がろっか」


「うむ。少しばかり長い休憩になりそうじゃな」


「そうね。けれどあまり待たせないようにするわ。ルネルも手伝ってくれるかしら?」


「もちろんじゃ」


 本当にどうしちゃったのかしら? 以前のルネルならこんな事嫌がったでしょうに。


『それだけアルカに甘いのよ。惚れた弱みってやつね』


 そんな単純なものかしら?


『なんで疑うのよ。ルネルだってアルカの伴侶じゃない』


 そうなんだけどさ。



「やっぱり少しお茶だけしていきましょう。シーちゃん達にもお願いしたし。先にふるい分けてくれるわ。その間くらいはね」


「うむ」


 深層から出て私世界の表層に戻り、チグサの下へ向かったハルちゃんやミヤコの下へ向かったシーちゃんと別れた後、ルネルと二人でとある場所を訪れた。



「私世界にこんな場所があったのね」


 いつの間にかエルフの国の一部が再現されていた。しかもルネルの家まで完璧に。



「なんじゃ知らんかったのか」


 ルネルの方は頻繁に利用していたようだ。エルナがいれば何時でも出入り出来るとはいえ、知らない内にルネルが私の中に住み着いていたっていうのはちょっと不思議な感覚だ。



「ほれ。ここに座れ」


 クッションに私を座らせたルネルはそのまま私の膝に腰を下ろした。



「ふふ♪」


 ルネルの細い、というより小さな腰に手を回す。



「うむ。よい座り心地じゃな」


 でっしょ~♪



「ルネルの方から甘えてくれるなんて嬉しいわ♪」


「お主のせいじゃろうが。人を伴侶に加えておいて何か用がなければ近づいてすらこんのじゃ」


「いえ、そんなつもりは……ごめんなさい……」


「別に怒ってなんぞおらんとも」


 本当に?



「愛してるわ、ルネル」


「いつも言っておるじゃろうが。口より行動で示せと」


 ルネルの唇を引き寄せる。



「結局口ではないか」


「ベットに行く?」


「ばかもの」


 今はキスだけで満足らしい。そんな時間も無いもんね。その為にまた深層戻るのもあれだし。



「集中せよ」


「は~い♪」


 暫くルネルとイチャイチャしていると、シーちゃん達から完了報告が上がってきた。



「行こっか」


「うむ!」


 ふふ♪ ご機嫌ね♪



 ルネルとシーちゃん船に移動し、ピックアップされたフィリアス達と面談をおこなった。



「ダメじゃな。一人も該当者はおらん」


「しかたないわよ。こればかりは」


 中々狭き門らしい。そりゃあアンジュみたいなのがポンポン生まれる筈も無いんだけども。



「アンジュを参考にしてフィリアスを生み出しましょう」


「かんぺき」


「準備万端やで~♪」


 ハルちゃんとチグサも用意は済ませてくれたようだ。



「アンジュ」


『もちろん構いません♪ 我が血肉がアルカさんの一部となれるのならば本望でございます♪』


 よかった。……やるなら自分をとか言い出さなくて。



「わしも混ぜよ」


 え? ルネルも? 今日はサービス精神旺盛ね。



「もう済んでんで~」


「ちょうせい」

「ばっちり」


 既に取り込み済みだったらしい。流石研究班。完璧な仕事っぷりだ。



「ねえねえ、アルカはん」


「あらチグサちゃん。どうしたのかしら~♪」


 おねだりモードだ♪ 可愛い♪



「うちな。ご褒美欲しいの」


「なんでも聞くわ♪」


「うちとも融合してくれる?」


「喜んで!」


 チグサちゃんったら! したいならもっと早く言ってよ!



「ダメです」


『無理よ』


『私達が先です』

『です~』


 ちくせう。反対組め……。



「アルカ様。どうぞ私めとも」


「もちろんミヤコとも♪」


「ダメ。ミヤコは僕のだよ」


 くっ! コマチガードが!



「もちろんコマチも一緒によ!」


「それは嫌。アルカ様は大好きだけど、大好きだからこそ一つにはなりたくないかな」


 コマチったら! 可愛いんだからもう!



「ほれ。さっさと話を進めんか」


 あかん! ルネルがムスッとしかけてる!!



「本当にこれ以上はダメですよ、マスター。マスターが薄れすぎてしまいます。新しく生み出す者も融合させねばならないのですから」


「え? そうなの?」


 同化だけじゃ無理なの?



「はい。同化だけでは共有しきれません。認識可能な次元を増やすとはそう簡単な話では無いのです。ですから覚視と融合に特化させた特殊個体を生み出します」


「なるほど……」


「今後融合は更に難しくなるでしょう。チグサやミヤコでは圧倒的に実力が不足しています。下手に混ぜても飲み込まれるだけです。どうかご理解を。マスター」


「順番を考えるべきだったのね……」


「マスター」


「わかったわ。今はもう言わない。皆もごめんね」


「今はでは……いえ。ご理解頂けて何よりです」


 ごめん、シーちゃん。



『ハル。新しい子には強い自我も持たせなさい』


「がってん」


「ダメです。そのようなものは不要です。その者は取り込まれたとしても問題は無いのです。マスターに素質が根付けば役目は終わるのですから。下手に残そうとすれば無駄なリソースを割かねばなりません。当然ながらこれも簡単な話ではないのです」


『それでもよ。私がサポートするわ。ヤチヨ達の為にも練習は必要よ』


「最悪でも失敗して構わへんなら尚の事実験台として最適やわぁ。ここで練習しとかん手はあらへんよぉ~」


「それは……」


「シーちゃん。私、使い捨てみたいな事したくないな」


「……イエス、マスター。仰せの通りに」


 ありがとう、シーちゃん。シーちゃんは何より私の事を心配してくれているのよね。全部わかってるからね。



「さて。それじゃあ早速始めましょうか」


「「「がってん!!」」」

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