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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
45.白猫少女と(仮)

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45-16.迷惑な客

「アリア。私が預かるわ」


 私に扮したアムルがようやく現れた。アリア以上に色濃く神の気配を宿す半神のアムルを前に、魔神達は増々畏まっている。



「場所を移しましょう」


「「「承知致しました」」」


 案外アッサリと従ってくれた。アムルと三柱の魔神は転移で私の下へと移動してきた。



『『『トリウィア様』』』


 三魔神は何故か私をそう呼んだ。



「神、いえ。人違いよ。私はアルカ。トリウィアじゃない」


『『『……』』』


 三魔神は何も言わずに頭を垂れ続けている。明らかに敵意は抱いていない。まるで命令でも待っているみたいだ。


 一先ず私世界に取り込もう。これ以上は後だ。それより事態の収拾が先決だ。



「アムル」


「お任せを」


「私も行くわ」


「……はい。その方が良いですね」


「ノアちゃんは三人に出来る限り説明してあげて」


「がってんです」


 私はフードを目深に被り、アムルと共に闘技場の上空へと転移した。闘技場の全てを見渡せる高所に設置された皇帝用の椅子を正面から見据え、フロルの言葉を待つ。



「やはり影武者がおったのだな」


 フロルは早々に私達の意図を察してくれた。



「悪かったわ。邪魔をして」


「奴らは?」


「隔離したわ」


「全て話せ。狙いはなんだ。何を企んでいる」


「何も」


「惚けるつもりか? 賢い手とは言えんぞ」


「だからこそ明かしたのよ」


「影武者をか? 今更それが何になる?」


「ここにいる私が本物であるという証明よ。お詫びをさせて頂けるかしら。それからお祭りを楽しませてもらったお礼もしたいの。あなたの要求を聞かせて頂けるかしら」


「ならば降れ。わらわの配下に加えてやろう」


「良いの? 私がやった事は覚えているでしょう? 私を使うって事はその業も背負う事になるのよ?」


「愚問だな。お主の価値を考えれば釣りが来る」


「残念だけど私に出来る事には限りがあるの。私の力は神から授かったものだから。世界の為にならなければ全力を尽くす事は出来ないわ」


「既に主がいると言うのだな」


「そうよ。多少の自由は認められているけど心の底から帝国に忠誠を誓う事も出来ないわ」


「それは具合が悪いな」


「他の願いでも構わないわよ。継続的な関係より単発の願いをお勧めするわ」


「見くびるでない。わらわが奪い取れば済む話だ」


「豪気ね。いいわ。暫く付き合ってあげる」


「結構。ならばこちらに来い。早速席を用意してやる。決勝を続けよう」


「「「「「「「「「「うお~~~!!」」」」」」」」」」


 一瞬の静寂の後に観客席から僅かに歓声が上がった。これはサクラっぽい。最初から仕込まれていたのだろう。それでも歓声は段々と大きくなっていった。遂には殆どの観客達が皇帝陛下万歳と繰り返し始めた。



『民衆って案外チョロいのね』


 どうかしら。内心ふざけんなって思ってる人も少なくないと思うけど。



『それでも一度出来上がった流れはそうそう覆らないわ』


 だと良いけど。



『結局ツクヨミの出番は無くなってしまったわね』


 やっぱり? そういう感じ?



『この状況で出てきたってグダグダになるもの。計画は丸潰れよ。どうにか軟着陸をきめたに過ぎないわ』


 だよね~。



 私とアムルはフロルの側に用意された席に着いて観戦を始めた。とは言え呑気に試合を眺めている気にもなれない。ついつい観客席に視線を向けてしまう。



『少しは抑えろ。民が怯えるだろうが』


 フロルに注意されてしまった。



 それでも結局試合の様子には集中しきれず、気がついたらアリアの勝利で終わっていた。……え? 勝ったの?


『後程リプレイ映像をお見せ致します』


 お願い、シーちゃん。



「コハル。下がりなさい」


 試合が終わった所で私に扮するアムルが許可を出してくれた。これで後は任せられるわね。ありがたく先に帰らせてもらいましょう。私はあの魔神達から話を聞かなくちゃだ。その後はシア達とも話をしないとね。




----------------------




「待たせたわね」


「お疲れ様、こはる。話は聞いておいたわ」


「ありがとう、ノルン」


 ノルンが聞き出した情報によると、魔人達はいつまで経っても帰ってこないトリウィアを探してこの世界を訪れたそうだ。ノルンがどれだけ説明しても私がそのトリウィアで間違いないと未だに言い張っているらしい。私からは間違いなくそのトリウィアの力を感じるそうだ。



「トリウィアってどこの神なの?」


『ローマよ。ギリシャとは親戚みたいなものね』


 凄く影響を受けてるって話よね。中には同じ名前の神とか、別の名前で呼ばれているだけで実質同じ神だったりもするのよね。



「テルス叔母さまが始祖にあたるの」


『主神はユピテルよね』


 どっちも今すぐには連絡取れないよね。テルスは単身赴任中だし、ユピテルさんとは面識も無いし。



「イオスはどう? 連絡取れる?」


「やめておきなさい! 主神クラスに借りなんか作るもんじゃないわ!」


 なるへそ。ここで声をかけたら私が助けを求めた形になっちゃうのか。こっちとしては単に回収してほしいだけなんだけども。偉すぎる人を直接動かしちゃうのは色々問題があるのだろう。それ自体はわからない事もない。


 それにここはカオスとニクスの縄張りだから余所の主神クラスが干渉するのは尚の事難しいのかもしれない。それでもテルスがいればどうにでもなったろうに。



「とにかく話すしかないかしら」


『そうね。見た目ほど話の通じないやつらじゃないわよ。きっと』


 だといいけど。何故か私を主人と信じ切っているのよね。



「彼女達も主を連れ戻せないとまずいのよ。このままではトリウィアが守護する世界が滅んでしまうそうよ」


 わ~。守護神が仕事ほっぽって失踪しちゃったんかぁ。つまり本当は私が違うってわかってるけど敢えてすっ惚けてごり押そうとしてる? ありそうな話だ。なんて迷惑な……。



『それこそユピテルに告げ口すれば良いんじゃないかしら』


「そういうのって得てして言い出した人が面倒見る事になるよね」


「こはるに守護神は任せられないわ。そんな事をしている暇は無い筈よ」


「ミーシャでも派遣する?」


「なんでですかぁ!?」


 あら居たの。



「ひどい!」


「冗談よ。もちろん」


「信じますからね!!」


 取り敢えず私も話してみよう。それから皆に相談しよう。もしかしたらユピテルさんへの報告だけで済むかもだし。話の持って行き方さえ気をつければ……。いけると良いなぁ……。

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