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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
45.白猫少女と(仮)

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45-15.二度あることは三度ある

「いくよ! クレアお姉ちゃん!!」


「来い!! アリア!!」


 次の一撃で決着がつく。そう誰もが思った瞬間。それは天から降り注いだ。



「「!?」」


 咄嗟に距離を取るアリアとクレア。



「誰だ!! いや! なんだお前達は!!」


 降り注いだのは三本の黒き光の柱。



『『アルカ(さん)!!』』


 ニクスとアンジュの驚きに染まった声が届いた。



『『侵入者だ(です)!!』』


 二度あることは三度ある。しかも今回は三人。それもニクス世界の方に。



「なんですあれ? 魔物でしょうか?」


 光の柱から現れたのは三つの影だ。一応は人型をしているけれど、その姿はまるで魔物のようだ。一人は蛇のような下半身。一人は犬のような頭。一人はコウモリのような翼だ。少なくともツクヨミの変装ではないと確信を持って言える。



『もんすたー』

『じゃない』

『かみ』


『けれど大した力は感じないわ。あれならアムル達でも十分に対処出来る筈よ。最悪でもツクヨミが控えているわ。アルカが出ていくのは最後の手段よ』


 そうね。ここで私が出ていけば誤魔化しようもなくなるものね。それにこの場にはうちの子達が大勢揃っているんだもの。まだ慌てる時ではない筈よ。ニクスとアンジュも驚いてはいたけど焦っている様子ではなかったものね。



「アレクト」

「ティポネ」

「メガイラ」


 三柱の魔神はクレアの問いに答えたようだ。今のが名前だろう。



「「「我らエウメニス。神トリウィアが眷属なり」」」



 トリウィア?


『ヘカテーの事よ。ペルセスとアステリアの娘。元を辿ればガイアの系譜よ』


 ガイアの? つまりテルスに会いに来たの?



「「「主よ。どうか御姿を。お迎えに上がりました」」」


 あれ? なんかこっちに向かって言ってない? というかこっちに向き直っちゃった。三柱とも女性だったのね。



「この世界にトリウィアなんて神はいないよ!!」


 アリアが頭上の魔神達に向かって声を張り上げた。



「「「……」」」


 魔神達は今度はアリアの声に反応を示さなかった。やはり此方に視線を向けている。それを察したアリアが急いで回り込んできた。私達を庇うように魔神達の前に立ち塞がる。



「「「去ね」」」


 アリアの行動が気に触ったらしい。蛇の下半身を持つ、アレクトと名乗った魔神がその手を薙ぎ払うように横に振ると、その手の先から伸びた鞭のような力の塊がアリアに襲いかかった。



「っ!」


 アリアは迫ってきた力の塊を回し蹴りで打ち砕き、油断無く魔神達に向かって構えを取った。



「「「……同族か?」」」


 アリアの持つ私が与えた神の力に今更ながらに気付いたようだ。魔神達は首を傾げ、訝しげに呟いた。



「神の眷属って意味ではそうだね!」


「「「……道を開けよ。お目通り願う」」」


「ここにトリウィアなんて神は居ないってば!」


「「「……?」」」


 何を言っているんだとでも言いたげだ。魔神達はこの場にトリウィアとやらが存在すると確信しているようだ。



『フロル』


『このまま押し通すしかあるまい。我々の目的を邪魔したのだ。話を聞くのは後だ。精々利用させてもらうとしよう』


 ……そうね。こちらから仕掛けるのもどうかとは思うけど、このまま見つめ合っていても意味は無いものね。



『ちなみにイオスは』


『知らないわ!』


 残念。イオスの知り合いなら先に話を通しておく事も出来たかもなのに。イオスとは別系統らしい。なんか馴染みのない名前の神様が御主人様らしいもんね。しかも私達がよく知る神々程の力は感じ取れない。これは力が異質だからじゃない。本当に大した力は持っていないようだ。実際別の神に仕えているくらいだし末端の方なのだろう。一々原初神が覚えるまでもない程の。



「邪魔をすんじゃ! ねぇぇぇええ!!!」


 クレアが魔神達に切りかかった。



「「「!?」」」


 クレアの神力の刃が自分達を両断し得るものと見て気付けたようだ。魔神達は転移で上空へと大きく距離を取った。



「「「あり得ぬ……」」」


 明らかな戸惑いが見て取れる。もしかしたら御主人様に見放されたとでも思っているのかもしれない。アリアとクレアが自分達と同じ神に仕える同族であると本気で信じているのかもしれない。



「退きなさい! 私達には勝てないわ!!」


 転移で更に上空を陣取ったアリアが上から魔神達に言葉を投げた。魔神達は今度こそアリアをしっかりと認識し、まるで跪くように頭を垂れた。



「え!?」


「「「失礼致しました」」」


 魔神達のそんな姿に、今まで息を潜めて成り行きを見守っていた観客達からどよめきの声が上がった。



『まずい』


『一瞬で覆ったわね』


『マスター。観客達はアリアにすら恐怖を向け始めました』


『テキ』

『マトメテ』


『今更ながらに異質な存在であると思い出してしまったようですね。数を増して鈍らせる策が裏目に出ましたか』

『しっさく~そうて~が~い』


 観客達は明らかに恐怖を浮かべている。あの魔神達の姿が掻き立ててしまうのだろう。それらが跪いて見せたのだ。アリアが私の眷属である事と相まって魔女アルカへの恐怖と結びついてしまったのだろう。



「アルカさん! あれはいったい!?」


「どういうこと?」


「説明しなさい!」


 そしてどうやらここにもいたようだ。これは初動を間違えたかしら……。

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