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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
45.白猫少女と(仮)

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45-7.逆ナン

「あなた!」


 誰? 私の事呼んでる?



「そうよ! そこのあなた! あなた気付いてないの!?」


 一人の女性が突然私の手を掴んで走り出した。そして近くには女性がもう一人、いや二人。計三人だ。あんな話したせいね絶対。ともかく別の女性がルカを抱き上げて並走し、最後の一人が周囲に警戒の眼差しを送りながら付いて来た。



『人攫い?』


『さあ?』


 それにしては堂々としたものだけど。これは単に私達を周囲の視線から守ろうとしてくれているっぽい。なんかかえって視線を集めている気もするけど。


 あとたぶんこの人達は冒険者だ。ランクはそんなに高くなさそう。装備品を見る限りはそんな気がする。一応使い込まれてはいるけど。身のこなしの方はまあまあだ。かれこれ十年近く動いていそうな感じだ。それでも伸び悩み始めた頃だろうか。底辺でもないけど高ランクでもない。そんな感じ。




「ここまでくれば……」


「まったくどうなってるの?」


「帝都ってこんなに治安が悪かったのかしら?」


 ここは彼女達が取っている宿だろうか。三人部屋にしては少々手狭だ。それにまだ部屋を取ったばかりっぽい。部屋の中に彼女達の気配が馴染んでいない。お祭りも後半とはいえ、殆ど空きなんて無かったのだろう。むしろよく見つけられたものだ。おおかた今日ようやく帝都に到着し、なんとか宿を見つけてお祭りに繰り出した所だったのだろう。



「あなた達どうして追われていたの?」


「うわぁ。改めて見るとすっごい美人さん」


「こんな小さな子まで連れているのに用心が足りないわ」


 一人ずつ喋ってほしい。



「私はアルカ」


「アルカ? そう。あのアルカと誤解されてしまったのね」


 誤解? 本人だよ? 私の声聞いても気付かない?



「その名前を外で無闇に出すのはやめておきなさい。もしかしたら知らないのかもしれないけど、今この国では」


「待って! もしかして本人かも!」


「そうよ。特徴は一致するわ」


 やっと気付いたか。



「そんな筈無いでしょ。あれだけの事をしでかした人が町中を平然と歩いている筈が無いじゃない」


「それもそっか~」


「確かに身を潜めているって話だものね」


 帝都に来るまでの間は噂を聞いてないのかしら? さてはお祭りが楽しみ過ぎて情報収集を怠っていたわね?


『ならむしろ欠かさずに集めていそうじゃない?』


 それもそうね。



「ともかく用心して。ほとぼりが冷めるまではここにいて」


「窮屈でごめんね!」


「安心しなさい。私達が守ってあげるわ」


 まだ禄に説明を受けていないんだけども。私が本当に一般人なら意味もわからず震えているんじゃないかしら?



「この人達?」


「かもね」


 セレネがお求めの人材かもしれない。少し意外な展開だ。この三人が加わったら十二人達成だ。一人くらいはお忍びで祭りを楽しむお姫様とかいるかと思ったのに。


『おチョウさんがそうじゃない?』


 とっくに引退してるでしょ。そうじゃなくてさ。わかんないかな?


『いえ、言いたい事は勿論わかるわよ。定番だものね。そういうのも。けれど帝国は既に城ごとアルカのものだもの。見知らぬお姫様とかそうそう混ざり込んだりしないわよ』


 わかんないよ? 帝国は多層国家なんだし。実際ギヨルド王国からはアンジュが伴侶に加わってくれたじゃない。


『殆ど敵でしょうが。クーデター企んでんのに姫なんか遊びにこさせる筈ないでしょ』


 だからこそドラマ性があると思うんだけどなぁ。それにお忍びなら関係無いし。


『案外三人の内の誰かはどこぞのお姫様かもしれないわよ』


 そんな可能性も無きにしもあらず。



「なに? 私達? あ、そうよね。ごめんなさい。自己紹介がまだだったわよね。私はシンシアよ。シアと呼んで」


「ボクはトリシュ! リシュでいいよ!」


「私はユーニス。ユニと呼ばれているわ」


 シアがリーダーっぽい、リシュがサナやテオちゃんと同じボクっ子で、ユニは三人の中では少しだけお姉さんっぽい。


 というかこの三人、近くでよく見てみると思っていた以上に若いわね。十代後半くらいかしら。その割には堂に入ってるけど。それだけ苦労してきたのだろう。



「ルカ」


「ルカちゃん? それがあなたの名前なのね。あなた達って母娘なの? それにしてはアルカさんが若く見えるけど」


 あらやだ。お上手ですこと♪



「そもそも全然似てな、あいたっ!?」


 ユニがリシュの頭を叩いて言葉を遮った。そのままリシュにヘッドロックをカマして部屋の隅へと連行した。



「少しは気を遣いなさい! どう見ても訳ありでしょう!」


「ごめんなさ~い!」


 聞こえてる聞こえてる。


 まあ、私とルカでは全然顔が違うものね。それも人種レベルで。血の繋がりが存在していない事は一目瞭然だ。



「あはは~。ごめんね~」


「ううん。問題無い。私達伴侶」


「え?」


 もう。ルカったら。突然そんな事言ったら混乱するでしょうが。



「シアさん。私はアルカ。元Sランク冒険者のアルカ。あなた達が思い浮かべたあのアルカなの」


「え!? えぇぇえええええ!?」


 秘技。混乱はもっと上の混乱で掻き消すの術!


『そんな事する必要あったかしら?』


 まあただのお母さん大好きっ子と思われただけでしょうしね。でもほら。否定するのもあれだからさ。事実だし。


『まだこの娘達が加わると決まったわけでもないのだから話す内容には気を遣いなさいな』


 本当にそう思ってる?


『一般論よ』

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