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10-2.孵化

私達はこの地のかなり深いところまで来て、

ようやく拠点を決めることにした。


ここまでくれば、

万が一ドラゴンを自然に帰してしても人間の害にはならないだろう。

こんな所までこれる冒険者もいやしない。


私は大きなテントを設置して、

自宅から持ち出したベット等の家具を設置していく。


ある程度の消耗品を出したり、

魔法で生み出した水を壺に溜めたりして、

ノアちゃんも快適に過ごせるようにしていく。



テントから少し離れた所までを含めて大きな結界を張る。


これで準備は完了だ。




せっかくならここでしか出来ない事を考えてみよう。


昨今の異世界スローライフは

こんな場所から始まるのが定番かもしれない。

私の知識は五年以上前だけど。


作物でも育ててみようかしら。

流石にそこまでの時間は無いか。



わざわざ狩りに行くまでもなく

食料もたっぷり用意してある。


もしかしたらまだノアちゃんは狩りはしたくないかもしれないしね。

親ドラゴンの事がトラウマになっていなければ良いのだけど。

もう少ししたらそれとなく聞いてみよう。



どうしよう・・・

インドア派の引き籠もりだから、

アウトドア派の引き籠もりが何をするのかわからない。


相変わらずノアちゃんは卵にかかりっきりだ。

本当にもうすぐ孵るのだろうか。

そう言ってから既に数日は経過している。


良いもん。

今のうちに強くなってノアちゃんとの差を広げちゃうもん!



自然の中で引き籠もって修行するのも定番っちゃあ定番かも?


なんかな~

他のこと無いかな~

修行も楽しいけどそれ以外も欲しいな~


一人で居た時は何をしていたっけ?

なんかもう思い出せない。

今更一人で生きていけない。



「アルカ!!!」


テントの中からノアちゃんの興奮した声が聞こえてくる。


慌てて様子を見に行くと、

ノアちゃんがテーブルに卵を置いて興奮している。


卵にヒビが入っているようだ。

今から孵るのだろう。


なんてベストタイミング。

拠点設営がギリギリ間に合ったようだ。


私はテントの中にも結界を張って、

ドラゴンの誕生に備える。


生まれた瞬間暴れまわる事は無いだろうけど念の為だ。

こんな地に住んでいる魔物だ。

何が起きるかわからない。


ヒビが少しずつ大きくなり、

白い塊が見えてきた。



白?


緑じゃないの?

お父さんドラゴンは白かったのかな?


それとも小さい内は体色が違うのだろうか。

それにしてもそんな目立つ色な事ある?


まあ、大きくなればわかるだろう。


そこまで面倒見れるのかはしらんけど。

成長しきるまで数百年かかるとかだったら流石にどうしようもない。


ドラゴンの寿命なんて知らないから、

成長速度も良くわからないのだ。




ノアちゃんはハラハラしながら見守っている。

ノアちゃんの尻尾可愛い。


テーブルに張り付くノアちゃんの肩に手を置くようにして、

私も一緒に様子を見守る。



しばらくして、ようやく殻から頭が出てきた。

こうしてみると可愛らしいものだ。

とても凶悪な魔物とは思えない。



全身真っ白なドラゴンの幼体がテーブルの上に這い出す。


ドラゴンにも刷り込みがあるのだろうか。

恐る恐る手を伸ばしたノアちゃんに撫でられて嬉しそうにしている。


その反応にノアちゃんも大喜びだ。

早速抱き上げてくるくるしている。



「ノアちゃん名前はどうするの?」


「あ!?この子真っ白でした!

ヴェルデにしようと思っていたのですが、

他のを考えないといけませんね!」


何語?意味は緑?



「どうしましょう~!!

またグリアさんに相談しないとですね!」


ノアちゃんは有頂天だ。

というかグリアの入れ知恵だったのか。



白だとヴァイスとかかな?

ノアちゃんは気に入りそうだけど、

色そのままの名前ってどうなん?


まあ、犬や猫にそんな風に名付けるのも無くはないけれど。


別に悪いことじゃないけど私の好みじゃないな・・・

折角なら何か他のも考えてあげよう。

ヴァイスって教えたら即決しちゃいそうだし。


あらかじめ私も考えておけばよかった。



というかこの子はオス?メス?



「付いてはいないようですよ?」


躊躇なく覗き込んだノアちゃん。



そもそもドラゴンの雌雄ってそこで判断出来るの?

雌雄同体だったりしない?


まあ、その辺りは気にしても仕方がないか。


暫定で女の子という事にしておこう。

うちは今のところ女子だけ家族だしね。

女子・・・

まだギリギリ・・・ダメ?




女の子らしい名前・・・



「テティスなんてどう?」


「どんな意味なんですか?」


「私のいた世界の優しい神様の名前かな」


「神ですか・・・それはちょっと・・・」



そりゃそうだ・・・

この世界の女神に良い印象無いんだった。

ちょっとうっかりしすぎだ。



「でも優しい子になって欲しいと思って名付けるのも大事ですね!」


ノアちゃんがフォローしてくれた。

ノアちゃん優しい。

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