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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
44.白猫少女とお祭り騒ぎ

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44-35.悩みのタネ

「聞いてよノアちゃん」


「はいはい。どうぞお話ください」


 隙を見つけて話しかけると、たっぷり修行してごきげんなノアちゃんは快く相談に乗ってくれた。



「なるほど、ジャンヌが」


「ノアちゃんはどうしたら良いと思う?」


「気にする必要はありません。いずれ落ち着きますよ。今は少しばかり興奮が勝っているだけでしょう」


「落ち着いたらより狡猾になる可能性だってあるじゃない」


「そうですね。ですがそれでも悪いようにはなりません」


「害意は無いから?」


「そうです。パトラだっていつまでも子供というわけではありませんから」


「そのうち自衛出来るようになるかしら」


「きっとすぐですよ。多感な子供の頭に大人の経験が詰め込まれているんですから。成長も早い筈です。皆そうだったでしょう?」


 そうね。生まれた時からある程度以上の知識を持つ子たちはそれだけ精神の成長も早かったものね。


「沢山側に居てあげてください。そうすればきっとアルカを一番に考えてくれますよ。アルカが導となるなら大きく道を外れる事も無いでしょう。少なくとも望まぬ方向に進むことは無い筈です」


「そうね……なんだかそれもそれで洗脳みたいな気もしなくはないけど」


「考えすぎです。アルカは二人の憧れであれば良いのです」


「……ふふ。そうね。そうかも。ありがとう、ノアちゃん」


「はい♪ 頑張ってください♪」


「うん♪」


 とにかくいっぱい二人と話してみよう。沢山遊んでとことん気持ちをぶつけあってみよう。きっとノアちゃんの言う通りだ。私は今まで通りやればいい。それで全て上手くいく。きっとだ!




----------------------




「そう思ってたんだけどなぁ……」


「どうかしたの? 頭痛い?」


「ええ、まあ。そんな感じ」


「あらあら」


 ジャンヌは私の頭を自らの膝に導いて撫で始めた。



「あ! ずっこい! 私も私も!」


「「どっち?」」


「両方!」


 んな無茶な。



「アルカの太ももは貰ったぁ!」


「手つきがいやらしいわよ」


「ふふ♪ もちスベ~♪」


 おいこら。



「こっちにいらっしゃい」


 ジャンヌに膝枕されたままパトラを抱きしめた。



「ぐふふ♪」


 私の胸に埋まってだらしない笑みを浮かべている。おかしい。性欲は抑えられている筈なのに。



「やわやわ♪ ふわふわ♪」


 単になんでも良いだけかもしれない。パトラだし。



「今日はもうこのまま過ごすのかしら?」


「ジャン姉何かしたいの?」


「ううん。このままでいいわ。私今とっても幸せなの♪」


「そっか♪」


 ノンビリした時間だ。気持ちはよくわかる。今日はもう修行も十分にこなしたし、他に何かしなきゃいけない事があるわけでもない。ジャンヌは相変わらずだけど、特に問題を起こしているというわけでもない。ないのだけど……。



「アルカ。こっちを向いて」


「嫌。絶対キスするもん」


「良いじゃない。減るもんじゃ無し。それともまさか私の事が嫌いなの?」


「違うわ。けどパトラが怒るもの」


「そうだよ、ジャン姉。私だけキッズモードなのに二人が楽しむなんて許さないよ」


「ケチ」


「文句はアルカに言って」


「ねえ、パトラの」


「解除しない」


「ケチ」


 困ったものね。やっぱり引き剥がすべきかしら。



「ジャンヌ。何度も言っているでしょう。パトラは幼子よ。相応しい距離感というものがあるでしょう?」


「私はそうは思わないわ。パトラは自ら判断出来るだけの経験を備えているもの」


「もっと言ってやって! ジャン姉!」


 こんにゃろ。



「それはこの子の経験ではないわ。未来のパトラの経験よ」


「ねえ、アルカ。アルカは知っているのでしょう?」


「……何の話?」


 漠然としすぎていて本気で何のことかわからない。



「私の持つ記憶は十年にも満たないの」


 え?



「実験体として扱われていた頃の事をあまり覚えていないのよ」


 そう……なの?


『事実です。おそらく意図的に抹消されたものかと』


 ……そっか。



「人生経験の長さだけなら私とパトラに殆ど差は無いわ」


 ……そうなのかもしれない。



「だから私はパトラを対等に扱うの。けれどアルカは私を子供として扱うつもりはないのでしょう?」


「……そうね」


「それもまた仕方のない事なのよね。アルカはこの子の保護者であろうとしているのだもの。そこまでは認めましょう。けれどそれはそれだとは思わないかしら? 私のパトラへの想いも認めて頂けると嬉しいわ」


「……認めていないわけじゃないのよ。全てあなたが言った通りね。それはそれよ」


「あくまで子供として扱うと?」


「そうよ。パトラは子供。ジャンヌは大人。私はそう定めたわ」


「なら仕方がないわね」


 随分あっさりと諦めるのね。わざわざ秘密を明かしてまで説得してきたのに。



「愛って障害がある程に燃え上がるって言うものね♪」


 おいこら。



「私のジャン姉ってこんなんだったっけ?」


「パ・ト・ラぁ?」


「え!? なんで怒ってるの!?」


「パトラのジャンヌはこの私だけよ? いったい誰の事を思い浮かべていたのかしら?」


「このジャン姉なんか怖いんだけど!?」


 今更?



「これは先にパトラと話し合うべきかしら?」


「アルカぁ!」


 可哀想に。縮こまっちゃった。



「やっぱり無茶だと思うのよ」


「なにが?」


「ジャンヌとパトラが同い年って言い張るの」


「……? そこまでは言ってないじゃない?」


「例え忘れてしまっても経験までは消えないのよ。逆に記憶だけが増えても経験は足りないの。それが精神年齢の差となって人格を形作るんだと思う。ジャンヌとパトラは似ているけれど、やっぱり違うんだと思う。むしろ正反対なのよ。私はそう思う」


「そう。失敗しちゃったわね」


 失敗? 今度こそ諦めてくれた?



「アルカの考えはわかったわ。けれど待つつもりは無い。それが私の答えよ。変えたいのなら説得してみることね」


「もう散々したじゃない」


「全然足りないわ♪」


 はぁ……頭痛い……。

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