表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

139/1353

9-13.顛末

その後、私達は急遽旅立つ事にした。



ノアちゃんとセレネを物理的に引き離す事にしたのだ。


正直ルネルの言うような事が本当に起きるのかはわからない。

本人もなにも確証は無いと言っている。

杞憂で終わると良いのだけど。



それに引き離す事に意味があるかもわからない。

既に繋がってしまっている以上、

物理的な距離は関係無いのかもしれない。



試しに自宅にノアちゃんだけを連れて転移してみたが、

依然としてセレネの存在を感じているのだという。



私が不安で慌てている間、

当の本人達はあまり気にしていなかった。



というのも嫌な感じは一切しないそうだ。

むしろお互いを側に感じられて喜んでいるくらいだ。

元々二人共相手の事が大好きだものね。




繋がりの影響か相手の感情まで伝わっているらしい。

益々仲良くなっていく二人を本当に引き離すべきなのだろうか。



二人は、私の気の済むようにしていいと言ってくれた。

離れていても、存在を身近に感じているので苦ではないというのだ。


それを聞いてルネルはまた考え込んでしまった。



暫く様子を見て、

パスが途切れるならそれで良し。

ダメならどうにかして詳しく調べていくしかないだろう。


正直ルネルも知らないような事など

具体的な解決策は見当もつかないが。


何も問題が起こらない事を祈ろう。






次にどこに行くか決めるのはまたしても難航した。


ルネルがドラゴンの卵を持ち込む事は認めなかったので、

エルフの国に戻るのは無しだ。



卵の事も考えるなら、

町から離れて暮らした方が良いかもしれない。

暫く育てて、危険が無いことを確認してから連れて行く方が良いだろう。


町中を連れ歩く事自体が良いかは置いておくとして。



という事で、一先ず未開拓地に行くことにした。

あそこなら最悪ドラゴンが手に負えなくても始末せずに済むかもしれない。


こんなの日本でペットを飼うなら最低な考え方だけど、

元々あそこはドラゴン達の棲家だ。

保護した動物を一人で生きていけるようにしてから

元の棲家に帰すのだと無理やり納得しておこう。


かなりの奥地だし人間の害になる事も当面は無いだろう。






それはそれとして、早く敵の事も追いたいが、

卵の件が解決するまでは我慢しよう。



ルネルはどうやら教会に残るようだ。

流石に未開拓地には敵も来ないしそこまで付き合う気はないのだろう。



未開拓地を出てきたら付いていくから、会いに来いと言ってくれた。






という事で暫くの間はノアちゃんと二人で野宿生活だ。


まさかこんな事になるとは思ってもみなかった。

結局何か想定外の状況に巻き込まれていくのはいつも通りでもあるけれど。




またいろいろ買い出しをするついでに、

ノアちゃんを連れて挨拶に回る。


残念ながら、セレネはまた今度だ。





相変わらず敵の動きは無いらしい。

もう何も起きないのでは?

そんなわけないか・・・



ノアちゃんは挨拶の間もドラゴンの卵を手放さなかった。

まあ、ルネルも預かってくれそうに無いし持って行くしかないのだけど。




「アルカ・・・お前保護者としての自覚はあるのか?」


ギルド長は呆れ果てた。

エイミーは絶句している。




「成長したら鞍でも作ってやろう。

しっかり育てるんじゃぞ」


ドワーフ爺さんは孫娘に甘々だ。

抱っこ紐みたいなのを即興で作ってくれた




ギルド長さんは大爆笑だった。




一通り生存報告をして買い出しも完了した。


ノアちゃんは町中も抱えて歩いた。

収納空間に入れるのは断固拒否された。


まあ、私も生きた生物は入れたことがないので強要はできなかったのだけど。



そうして準備を終えて教会に戻ってきた。


最後に三人に挨拶してまた旅に出る



「セレネ!急に旅立つ事になってごめんね。

またすぐ会いに来るからね」



「もう。アルカのせいじゃないでしょ。

それに心配いらないよ。

私とノアはきっと大丈夫。

そんな感じがするの。

だからアルカが安心出来たら何時でも戻ってきてね」



「うん。二人の事は信じているけど、

やっぱりごめんね。

どうしても怖くてたまらないの」



「アルカは私達の事が大好きだものね」


そう言ってセレネは笑ってくれた。



「ノア。私の気持ちはわかるでしょ?」


今度はノアちゃんに向かっていたずらっ子みたいな笑顔でそう続ける。



「アルカの事は任せて下さい!

絶対に安心させて戻ってきます!」



「二人共~!!!」


またいつものように三人で抱きしめあった。



「ルネルとグリアもセレネの事よろしくね!」


二人はセレネにそんな心配いらんと呆れて返す。

ここまで含めていつも通りな気がする。



結局あまり長いことセレネとはいられなかった。

次はもっと一緒にいられると良いな。



こうして未開拓地に向けて旅立った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ