44-8.作戦会議?
「つまり元カノなの?」
「違うってば。ジャン姉が私の魅力にメロメロだったの」
「それを袖にしていたと?」
「身体の関係はあったよ。けど私の心はアルカだけ」
「!?」
ふふ♪ ラーラ姉顔真っ赤♪
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「なんて悪女なのかしら」
「アルカがそれ言うの? なんならアルカはくっつけようとしてたよ?」
「……そうね。冷静に考えると私の方が酷いわね」
自分に言い寄る子を他の子に充てがおうとしていたって事よね。傍から聞くとそういう事なのよね。そもそも複数の相手と関係を持つ事を推奨しているのも私の勝手なわけだし。
「そこは改めて考えるまでもないでしょ?」
うぐ……。
「それに袖にしたって言うのは違うと思うなぁ。私はただアルカが一番だったってだけだもん。他の皆に家族やそれ以上の愛情を向けてないってわけじゃないし。うちにはそういう子達いっぱいいるんだしさ」
そうだけどさ。私がそうなるよう仕向けてるんだし。
「けどあの子はパトラの一番を欲しがっていたんでしょ?」
「まあね♪」
このドヤ顔よ。パトラだってあの子の事が大好きなんじゃない。
「あまりからかってはダメよ?」
「言っておくけどジャン姉の方が年上だからね。今でも」
「それでもよ。余裕が無い相手を虐めるものじゃないわ」
「そうだね。たっぷり愛情を注いであげないとだ♪」
「私が行こうかしら」
「ダメ! ジャン姉は私の! アルカが行ったらあっさり落ちちゃうよ!」
「むしろなんで未来の私はその子を落としきれなかったのかしら」
「落ちたよ。メロメロだったよ。ただアルカは忙しいから。それに自分だけを見てくれるわけでもないし。ジャン姉が求めてるのは依存出来る相手だからね。いつでも構ってくれる人じゃないと難しいんだよ」
「それで落ち込んでいたパトラに目をつけたと?」
「そんな言い方しないで。ジャン姉は放っておけなかっただけ。過去の自分と私を重ねちゃっただけだよ」
「なら今のパトラじゃあの子落とせないんじゃない?」
「何を聞いてたのさ。ジャン姉はチョロインなんだよ。それもとっても依存しちゃうの。私が愛してるって囁やけば一発だよ♪」
「そう上手くいくかしら。というか責任取れるの?」
「それはそれ♪」
「最低だわ」
「アルカにそっくりでしょ♪」
「開き直らないで」
「まあ心配しなさんな♪ 私に任せておきんしゃい♪」
「不安だわぁ」
「むぅ。なんでさ」
「さっきだって無茶苦茶だったじゃない。早々にペラペラ喋っちゃってさ。私の与えた任務を何だと思ってるのかしら」
「次は上手くやるから!」
「信用出来ないわ」
「そんな事言わないでよぉ~」
「頬ずりしてもダメ。真面目に話してるんだから少し離れなさい」
「は~い」
困ったわねぇ。こう言うのもなんだけど、パトラって言う程賢くないのよね。本当にただ未来の知識を得ただけの八歳児だもの。当然っちゃあ当然なんだけどさ。
『アイリスに補助を任せなさいな』
それでなんとかなるかしら?
『積極的に干渉させるしかないわ。そうしてでも任せてしまいなさい。ここで下げるのは悪手よ。どのみち記憶との付き合い方は学習させていくしかないんだもの。その為には経験を積ませるしかないわ』
そうよね。ルーシィやお姉ちゃんみたいにはいかないわよね。
『そんなの比べたってしょうがないじゃない』
わかってるけどさ。
「もう一度だけチャンスを上げるわ。けど今度はアイリスの言う事をよく聞いて。それに何があっても必ず私達が助けてあげるわ。だから焦らず慎重にね」
「「「はい!」」」
返事だけは良いのよね。三人とも。
『可愛い問題児達ね』
カティとパトラは言うに及ばず、ラーラも結局流されちゃうんだもの。
『そのうち逞しく育つわよ』
そうかしら? なんかこの三人はずっとこのままな気がする。
『いっそマグナも付けちゃえば? あの子も経験だけは豊富みたいだし』
悪くないわね。意外と頼りにはなるみたいなのよね。
『最初のガン泣きは忘れてあげなさいな。あれは仕方ないわよ』
想定外が重なりすぎていたものね。とは言えやっぱり引きずられてるのよね。印象が。
『ふふ♪ すっかりあの子も家族に加わったわね♪』
そう言えば三年後に加わる筈だったパトラがマグナの事は知っていたのよね。
『やめておきなさい。そこは考えるべきではないわ』
メグルの事も知っているのかしら?
『聞きなさいよ』
わかってる。最悪のパターンも考えられるもんね。テラフがいないって事は。
『同時に逆もあり得るわ』
マグナとメグルが一緒に来ていたって可能性? 穴が無かった筈だから?
『失言だったわね。忘れなさい』
イロハはどうしてるの?
『あの記憶なら封じたわよ。私には必要無いもの』
そっか。ふふ♪ ありがと♪
『はいはい。どういたしまして』




