44-4.人気者
「今日で五日目ね」
楽しい日々はあっという間だ。お祭りもいよいよ折り返しだ。今日、明日は第二トーナメントの一回戦が行われる。昨日の予選を見た限りではあまり興味も湧いてこないけど。
『流石にもう少しくらいは興味を持つべきじゃないかしら』
「あら、イロハ。戻っていたのね」
『昨日は悪かったわ』
あれ? 反省してる?
『♪』
あら。ツクヨミまで。もしかしてイロハに何か言った?
『おはようございます♪ アルカ様♪』
答える気はなさそうだ。そして何故かやたらと上機嫌だ。
『マスター! 朝です!』
シーちゃんまでテンションが高い。昨日はあれから帰ってこなかったけど、アイリスの改修は上手くいったのだろう。
「アルカ様!」
「まぁま!」
エリスとアルルまで飛び込んできた。クレアとマグナは何時の間にか隣に潜り込んで寝ていた。
「もう! うるさい! 狭い!」
パトラもいた。
「今朝は一段と賑やかですね」
「はは♪ アルカさんは人気者だねぇ~♪」
お次はノアちゃんとおチョウさんだ。二人もいつの間に仲良くなったのかしら。
「うふふ♪ 流石はアルカ様ですわ♪」
……なんでシャンテまで? しかも服着てないし。シャンテもいつの間に布団に潜り込んでいたのかしら。取り敢えずカノンに送っておこう。探してるだろうし。
「何故隠すのです?」
違うよ? 証拠隠滅したわけじゃないよ?
「シャンテよ」
「ああ。なるほど」
疑いは晴れたようだ。これも日頃の行いね。勿論私のじゃなくてシャンテの。カノンも苦労してるわね。あの子やたらと脱ぎたがるし。
「アルカさん! おはっ!? わ!? 人いっぱい!」
「パトラちゃんまで……なんかズルい……」
カティとラーラもおはよ。
「皆してどうしたの? 今日はお祭り行かないの?」
「アルカ様と遊ぶ!」
「アルルも!」
応援してあげないの? クレア叔母様が泣いちゃうよ?
「皆考える事は一緒ですね」
お祭り会場だと一緒に居られないから? 今日は家で過ごすの?
「愛されてるねぇ~」
なんでおチョウさんまで訳知り顔なの?
「おチョウさん、ルネルには会った?」
「おうとも♪」
「私とルネルさんの朝練に突然殴り込んできたのです。驚きました」
あら。そんな事になっていたのね。
「家族が増えたなら周知してください。放置はダメですよ」
「ごめん」
『悪かったわ。私がアルカ世界に連れ込んでいたのよ』
そっか。こっちのキッチンで続けてたわけじゃないんだ。それからやっぱりイロハがなんか殊勝だ。少し変な感じ。
あとノアちゃん、おチョウさんとはついさっき出会ったばかりなの? その割には仲良さそうだけど。拳でわかり合っちゃった? それに不意打ちでノアちゃんを驚かせるなんてやるわね。おチョウさんは想像以上の実力者だったようだ。
「それで? 今日は何をするのですか?」
え? もしかして私が決めるの? こちとら寝起きだぜ?
「またぶらぶらお祭りを見て回ろうかと思ってたんだけど」
そういう感じじゃなさそうね。
『親睦会でもしたら良いんじゃない? ここにいるのは比較的新参者が多いんだし』
親睦会ね~。何時も通りアイリスにでも籠もっちゃう?
『他の案を期待するわ』
イロハも一緒に考えて。
『皆で二度寝なんてどうかしら』
大寝室に移動しよっか。
『冗談よ。真に受けないで』
私的にはもう少し寝ていたい気分なんだけど。
『大家族を持つと大変ね♪』
他人事みたいに。
『そんなつもりはないわ』
「特に思いつかないようでしたら皆で決めましょうか」
見かねてノアちゃんが助け舟を出してくれた。さんくす。
「はい! はい! はい!」
「どうぞ、カティ」
「私アルカさんと戦ってみたい!」
「カーちゃん!?」
「良いね♪ 今のアルカになら勝てるかも♪」
「パトラちゃんまで!?」
ラーラちゃんは大変ね~。
「私も!」
「アルルも!」
エリスとアルルも参加ね。ならクレアも起こそっか。試合始まるまではまだ時間もあるだろうし。
「いいねぇ♪ 面白そうだ♪」
おチョウさんもそっち側だったかぁ。ノアちゃんとルネルに殴り込みかけるくらいだからそりゃそうか。
「取り敢えず私世界に行こっか」
皆纏めて相手してあげようじゃない。
『アルカ様』
もちろんツクヨミは私側だよ。
『悩ましいところです』
寝返りは認めないってば。
『アルカ一人じゃ厳しそうね。私達も力を貸すわ』
『ナナミ』
『ガンバル』
『やりましょう! マスター!』
『私だってグラマスの力になれると証明してみせるわ!』
ふふ♪ 皆やる気満々ね♪ て? あれ? ハルちゃんは?
『まだもう一人の私と寝てるんじゃないかしら?』
さては楽しんでおったな?




