異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー

44.白猫少女とお祭り騒ぎ

44-3.やりたいこと

『アルカ様の悪いところが出ています』

『え？　私が悪いの？』

『はい。アルカ様は怒るべきなのです。イロハ達の所業を叱るべきだったのです』

　もしかしてツクヨミ怒ってる？

『ものの見事に袖にされたものね。それを傍から見ていたツクヨミが怒りたくなるのも無理もないわ』

　まあまあ、フィリアスって元々そういうもんだしさ。

『シイナとアイリスまで別行動してるじゃない』

　それもよくある事だからさ。確かに寂しいけどね。

『ヨクナイ』

『ユウセン』

『アルカ』

『そうです！　その通りです！　ナナミの言う通りです！　我らはいつでもアルカ様を最優先とすべきなのです！』

　まあまあ。私達はもう主従ってわけでもないんだしさ。

『ツクヨミが言いたいのはそういう事ではないわ』

　そうなの？

『普通に伴侶としてダメだと言っているのよ。デートとその約束をほっぽり出して趣味を優先してしまったんですもの』

　そこはほら。私も人の事言えないからさ。

『アルカ様は良いのです！』

　やっぱり主従入ってない？

『そのようね……』

　ツクヨミもナナミもお姉ちゃんもありがとう♪　こうして構ってくれる子が一人でもいれば私は大丈夫よ♪

『そういうところがダメだと言っているのです！』

『アルカ』

『ワルイ』

『そうね。今のはダメよね』

　まあ、うん。そうね。言いたい事はわかったわ。要は独占欲が足りていないって事よね。

『ご理解頂けましたか！』

『ナヤマシイ』

『ハル』

『アルカ』

『ドッチモスキ』

『私には小春だけよ』

　さらっと重いやつ混ぜないでお姉ちゃん。

『ふふ♪　大切になさい♪』

　……やっぱりアイリス戻る？

『気にしろとは言ってないわ』

　難しい。

『皆気まぐれなのよ』

　それはそう。

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　ツクヨミ、お姉ちゃん、ナナミとお祭りを回る事にした。とは言えお姉ちゃんは出てこれない。ナナミはこんな人混みの中で出てくる気はない。そしてツクヨミには大切なお役目がある。どれだけ姿形を変えたってバレる時はバレる。だから手を繋いでデートするなんてわけにもいかない。そんなこんなで結局歩いているのは私一人だ。三人の内誰かしらは常に私の中から話しかけてくれているから寂しいって事は無いんだけども。

「アルカ！」

「あらパトラ。奇遇ね」

　別れてからそれほど時間は経っていないでしょうに。

「本当は声かけないでおこうかと思ったんだよ？　けどアルカが一人で歩いてたからさ♪　誰も一緒じゃないの？」

「一緒よ。私は何時だって一人じゃないもの」

「もう！　そんな事聞いてないってば！」

　パトラは私の手を引いてご両親の下に引っ張って行った。

「どうも」

「アルカさんもご一緒に如何ですか？」

　これで断るのも変だよね。

「でしたら少しだけ」

「パトラも喜びます」

　紳士的なお父さんだ。それにこの様子ならどこかで危ない目にあったとかも無さそうで良かった。パトラがついていれば心配は要らないだろうけど、パトラを介して二人にも何かしらの変化はあるかもしれないし。

『心配要らないわ。既に二人の運命は変わった筈よ』

『だからこそと言う話では？』

『それこそ考えたって意味が無いわ。不幸に巻き込まれる可能性はどこにだって転がっているもの』

　そうなんだけどね。一応ね。

『アルカ様を安心させようとしているのはわかりますが、ミユキのその過剰に正論を突きつける姿勢は如何なものかと』

　どうどう。

『ツクヨミって私の事嫌いなのかしら？』

　そんな事ないってば。

『これは私達も親睦を深める必要がありそうです』

　あら？　二人もアイリス行くの？

『すぐに戻ってきます。最大加速で』

　ごゆっくり～。

『『『……』』』

　ごめん。

　結局ツクヨミとお姉ちゃんは戻ってこなかった。

『ナナミ』

『イッショ』

　そうね。後はナナミだけよ。側に居てね。

『ガッテン！』

「あれ？　アルカなんか減ってない？」

「あら、わかるの？」

「まあね♪」

　凄いわね、パトラ。それと今はコハルよ。今更だけど。でもお父さん達もいるから諦めよっか。大丈夫よね。まだフロル達の策も問題なく機能しているみたいだし。とは言え一緒に歩くのは迂闊だったかしら。仕方ないから早めに別れる事にしましょう。折角誘ってもらえたし心苦しいけど。

「何かするの？」

「いいえ。皆それぞれに楽しんでいるだけよ」

「お祭りだもんね♪」

「そうね♪」

　それから暫くパトラ達とお祭りを楽しみ、予定通りに再び一家から離れて武闘大会の会場へと戻ってきた。

「おかえり。楽しんでいたみたいね」

「うん♪　お姉ちゃん達もいかが？」

「そうね。後で行ってこようかしら」

「ここがいい」

「あらあら♪」

　ハルちゃんはお姉ちゃんの膝の上から動くつもりが無いようだ。私もナナミを膝に乗せて抱きしめた。

「♪」

　ナナミも嬉しそうにしがみついてきた。

「仲良くなるの早いわね。まだ出会ったばかりなのに」

　言うてもなんだかんだ丸二日以上経ってるからね。私達的には十分な時間だ。

「フィリアスだから」

「いずれあらゆる世界から集まってくるのかしら」

「流石に無いでしょ」

　無いよね？　またイロハの時みたいにどっかフィリアスの惑星になってたりしないよね？

「それより面白い試合はあった？」

「あからさまに話題変えたわね」

　そりゃあね。下手な事言うと実現しそうだし。次はお姉ちゃん世界に放り込んじゃろう。契約もお姉ちゃんにしてもらったっていいんだし。

「良いでしょ。それで？」

「普通ね」

「普通かぁ」

　早く人を育てないとね。ヴァガルではセフィ姉が軍を育てているし、モントニャハトではセレネが学園を作る予定だ。ムスペルもナディ達が色々動いてる。順調に広まってはいるのだろう。

「アリアちゃん達は来年卒業ね。進路はどうするの？」

「突然どうしたの？」

　まるで私の心を読んだみたいに。お姉ちゃんなら造作もないだろうけど。

「小春がそんな顔をしていたわ」

　流石お姉ちゃん。

「予定通りなら中等部に進む筈だけど」

「色々状況も変わっているものね」

　そうなのよね。リオシアとの関係が複雑だし、アリアと私に関係があるという事もバレている。それからメルクーリ家の件も。セレネはクリスタお義母様を早めに引き抜きたい筈だ。もしかしたらアルカディアに作る学園へ子供達ごと引き込むつもりかもしれない。

「社会を学ぶ上では学園生活も重要なのだけどね」

「うん。だからせめて高等部までは通わせてあげたいのだけどね」

　大学は無理かなぁ。そもそも行く意味が無いし。一応魔法大学ならあるんだけどね。けどあれはちょっと違うのよね。学校と言うより研究所の面が強いから。一応生徒もとっているけど進学するには身元も重要だ。そもそもリオシア王国の為の研究機関だから、所属がよりハッキリと定められてしまうのだ。リオシア王国への忠誠心を持たないアリアが通うべき場所じゃない。まあそれ言うとグリアはどうなんだって思わなくもないけど。

「私達の生まれた世界とはやっぱり違うわよね」

「だね～。成人年齢も国の仕組みも何もかも違うもんね」

　実際中等部は二年、高等部は一年しかない。それでもリオシア王国は特別だ。どこより教育に力を入れている。もしかしたらニクスの入れ知恵もあったのかも。教会を擁していた国なのだから影響があってもおかしくはない。

「リヴィとルカの頃はどうなっているのかしらね」

「わかんないけど、二人の進路希望は私の側近だから」

「ふふ♪　あまり関係無かったわね」

　それでもいつかは他にやりたい事を見つけるのかも。

「終わったわね」

　お姉ちゃんの言う通り、第二トーナメント予選はようやく決着を迎えた。