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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
43.白猫少女と国家運営

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43-55.家族会議

『ごめん、アルカ』


『ううん。いずれは必要な事だったんだもの。良い機会よ』


 今回はパトラの実家で話をする事にした。二人にわかりやすく私の力を示す意図もある。我が家に転移するより伝わりやすいだろう。


 私のそんな思惑とは裏腹に、二人は落ち着いた様子で席に案内してくれた。



「アルカは」


「パトラ。少し待っていなさい」


「……はい」


「申し訳ない、アルカさん。折角のお祭りの最中に」


「いえ、こちらこそ」


「娘はご迷惑をお掛けしていないでしょうか」


「はい。パトラちゃんはとても良い子ですから」


「ありがとう。そう言って頂けて安心しました」


 お父さんはそこで一旦言葉を区切った。少ししてお茶を淹れてくれたお母さんが席に着いたところで、今度はこちらから話を切り出した。



「私には特別な力があります」


「ええ。先日明かしていただきましたから。そこは承知しております」


 例の世界放送の件も私がおこなった事だと伝えてある。二人は明確な恐怖や警戒を向けてくる事こそなかったが、完全に理解できているわけでもない筈だ。強大な魔術師や最高位の冒険者達が理解の出来ない力を振るう事は、この世界の人達にとって半ば常識みたいな部分もあるから、あの時は掘り下げても意味がないと判断したのだろう。



「私は力を分け与える事が出来ます」


「それは娘にも?」


「はい」


 仕方ない。ここは認めるべきだ。既にパトラが変わってしまったのだと。ご両親も気付いているのだから。



「違うの! それは偶然で! アルカは何も悪くなくて!」


「パトラ」


「お願い聞いて! 悪いのは私なの! 私からアルカに会いに行ったの! アルカは本当に何も知らなかったの!」


「パトラ。大丈夫だ。責めているわけではないよ。私達はただ知りたいだけだ」


「そう……なの……?」


「ああ。もちろんだ。特別な力についてはわからないが、それでもパトラが自分で選んだ事だけはわかっているよ」


「そ……だよ、ね……」


「だからもう少しだけ待っていなさい。今はアルカさんと話をしているからね」


「はい……ごめんなさい……」


「良い子だ」


 優しいお父さんだ。パトラは本当に愛されているのね。



「勝手な事をして申し訳ございませんでした。それから先日はお伝えせずにいた事も謝罪致します」


「アルカさんが誠意を尽くそうとしてくださっている事も理解しているつもりです。イレーニアさん達の紹介もありますし、何より娘がこれだけ信頼を示しているのですから。私達としてもあなたを疑うつもりはありません」


「ありがとうございます」


「ええ。ですから話してください。娘の事は知っておきたいのです」


 パトラが豹変した理由だろう。私から力を与えられて様変わりしたのか、或いは他に理由があるのか、それを知りたいと言っているのだ。


 さてどうしたものだろうか。ご両親の気持ちはわかる。けど本当に全てを話すわけにもいかない。これはパトラ自身の問題でもある。そして明かせば危険に巻き込む可能性だってある。加えて未来の記憶の件だってわかっていないのだ。話す内容は慎重に吟味する必要がある。


『任せなさい♪』


 待ってアイリス。


『いいの?』


 ええ。これ以上コソコソするのはやめておきましょう。


『わかったわ♪ 頑張ってね♪』


 ありがとう。



「アルカ……」


「大丈夫よ」


「うん……。お願い」


「ええ」



 さて。何から切り出すか。真実は素っ頓狂すぎて、それをそのまま伝えても煙に巻こうとしていると取られかねない。折角信頼してくださったのだからその気持には答えたい。



「私は力と共に一つの予言を授けました」


「予言?」


「はい。それがパトラちゃんを変えたのでしょう」


「それはどのような?」


「パトラちゃんの大切な人が喪われる未来です。パトラちゃんはその人達を救う為に力を望んだのです」


「……何故パトラに?」


 予言と力を与える必要があったのか。他の人に伝えるのでも良かったのではないか。それこそ不幸な目に合う人達自身に知識を与えるだけでも解決した筈だ。今のはそういう問いかけだろう。



 私は魔女です。少女を拐かす悪しき魔女です。


 普段ならそう答えるところだけど、流石に今回は空気を読もう。お父さんの誠意に相応しい回答はそれじゃない筈だ。



「私の勝手なお節介です。眼の前に現れた少女に手を差し伸べずにはいられなかったのです」


「……なるほど。イレーニアさん達から聞いた通りですね」


 え?



「あなたは昔からそうだったと。何時でも誰かを救う事に一生懸命だったと。時には後先考えず。そう聞いていました」


 あら……。



「私達がアルカさんを信頼したのは以前から話を伺っていたからです。イレーニアさん達がアルカさんの事を口にしたのは何も今回が初めてというわけではありません。私達が出会った頃から事ある毎にお聞きしていたのです」


 それは……ちょっと恥ずかしい。けどありがとう。



「話はわかりました。どうか娘をよろしくお願い致します」


「はい。お預かり致します」


「それって!」


「これからもアルカさんの下で励むつもりなのだろう?」


「うん! うん! うん!!」


「ならば精進しなさい。私達は何時でもパトラを応援しているよ」


「頑張ってね、パトラ」


「ありがとう! お父さん! お母さん!」

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