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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
43.白猫少女と国家運営

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43-49.意外な実力

「……本当に居ないわね」


 イロハがパトラの記憶を確認してくれた。あくまでパトラ視点のものだから私が秘密にしていたなら話は別だけど。


『私と違ってナナミにはわざわざ隠すような理由が無いのよね』


 だね。とは言えパトラがお姉ちゃんの事も知らないっぽいのは少し驚いたけど。まさか五年経ってもこっちのお姉ちゃんの事は内緒のままなんてね。


『本当に知らないだけかしら?』


 そこはなんとも。お姉ちゃんもナナミと同じく存在していないって可能性はあるよね。



「少しだけ違う未来からやってきたようですね」


「違うのはどこからかしら?」


「どこかから全部ではなく、少しずつ異なる要素があるのかもしれません」


「厄介ね。やっぱり記憶は消してしまった方が良いんじゃないかしら」


「しつこいよ! 消さないってば!」


 まあいいわ。それもデバイスに補助してもらいましょう。



「解析は任せたわ、シーちゃん」


「イエス、マスター」


「ここは私に任せなさい! グラマス達がお茶してる間に纏めてきてあげるわ!」


「私も気になる事があります。一緒にやりましょう」


 シーちゃんとアイリスがその場から姿を消した。



「ナナミもフィリアスなんだよね?」


「ええ、そうよ」


「ナナミはまだフリー?」


「もしかして専属にしたいの?」


「うん! 私もフィリアス欲しいの!」


「パトラにはデバイスがあるじゃない」


「それとこれとは違うでしょ!」


 そりゃそうだけどさ。



「ね~良いでしょ~?」


「ダメ。ナナミはハルちゃん目当てで来たんだから。暫くは私の側に置いておくわ」


「じゃあ予約!」


「そこはナナミと相談なさい」


「?」


 そもそも専属契約の事を話してなかったわね。ナナミが疑問符を浮かべてるわ。一応話は聞いていたみたいだから、全く興味が無いって程じゃないみたいだけど。



「ナナミはダメよ。いずれメグルが来るかもしれないじゃない」


 もしかして引き止める口実にでもするつもりかしら? まだ会った事も無いのにすっかり目を付けられちゃったわね。



「え~!」


 パトラも随分とナナミが気に入ったようだ。一目惚れでもしたのかしら?



「その話はまた今度ね。パトラもナナミも加わったばかりだもの。諸々落ち着いてから話し合いましょう」


 いきなり焦って決める事も無いからね。どうしてもって言うならまたミヤコ達に探してもらってもいいんだし。なんならツクちゃんズの皆だって手は空いてるしね。例の隠密部隊は特に仕事もなく訓練に明け暮れているくらいだし。



「う~。わかったよ~」


 よしよし。ようやく聞き分けてくれたわね。



「そうだ。折角ですしこれから私と試合しませんか? 私達は大会に出ませんしその代わりという事で。パトラの実力も見ておきたいですからね」


「う~ん……(ふふ)♪ なら私が勝ったら何か一つお願い聞いてくれる?」


 今ちっさく笑ったわね。



「もちろん構いませんよ。私に触れる事が出来たらパトラの勝ちとしてあげます。早速始めましょう」


「うん!」


 ノアちゃんも気付いているだろうに。絶対何か企んでるわよ? せめて先に内容聞いておかない?


『必要無いわよ。ノアちゃんが負けるわけないじゃない』


 そうだろうけどさぁ。




----------------------




「え!? うそっ!? なんでこんなに強いの!? 五年後のノア姉より全然強いじゃん! こんなの聞いてないよ!」


 なるほど。単にパトラが読み違えていただけなのか。それともこれも相違点なのかしら。


『本気を見せた事が無いだけじゃないかしら』


 う~ん。やっぱりそっちの可能性が高そうね。どれだけ差があってもノアちゃんがパトラに負ける程とは思えないし。



「パトラも想像以上です。よく鍛えていますね」


 ノアちゃんの言う通りだ。正直私はそこも驚いたわ。ただの我儘っ娘じゃなかったのね。メタモルステッキの扱いが随分と様になっていたから多少はやるのだろうと思っていたけど、これは想像を遥かに越えている。なんなら私は条件次第で負けるだろう。


『神威も神力も魔力も無しで正面から切り合ったら間違いなく上位の実力よ。あれなら専属フィリアスくらい付けてあげても良いんじゃないかしら』


 そうだね。明らかにこっち側でもやっていけるだけの実力はあるよね。基礎はもう十分に出来上がっていると言えるだろう。けど逆に未来の私は何故フィリアスを与えなかったのかしら。デバイスが代わりになると言っても上澄みに混ざるならフィリアス達の力が必要だ。界◯拳と超サ◯ヤ人みたいなものだ。なんならどっちも重ねがけ出来た方が強い筈だ。


『それだけ未来の平均レベルが上がっていたのかしら』


 その割にはノアちゃんの実力に驚いているのよね。当然まだまだ本気を出し切っているという程でもないから、最上位とは大きく水をあけられているのだけど。とは言え比較出来るだけでも十分だ。少なくとも他の子供達と比べたら明らかに上のステージに至っている。フロルやクレアにだって装備次第で勝てるかもしれない。


『ここがアイリスの中だから未来の肉体と近い状態にはあるのでしょうね』


 そうだね。見た目は八歳のままだけど魔力や神力なんかは十分な量を備えている。あれを見る限り私との契約までは済ませていたようだ。


『実力を見込んで極力余計なものを省いたのかしら』


 ノアちゃんならそう判断する可能性はあるのよね。子供達の教育方針は基本無茶な力は使わせないって考えだし。けどパトラはもう十分仕上がっているようにも見える。次の段階に移っていてもおかしくないと思うのだけど。


『もう直フィリアスを与える予定だったのかもしれないわね』


 かもね。一人前と認められてはいたみたいだし。


『一人前じゃなくたって手を出す事もあるじゃない』


 お姉ちゃんまでそういう事言い出すの?


『冗談よ。そういう事にしておいてあげるわ』


 そりゃどうも。



「負けた~!!」


「いい試合でした。ご褒美に何でも一つ頼みを聞いてあげましょう」


「やった! ノア姉太っ腹♪」


「それで? 何を願うのですか? それとも私ではなくアルカに?」


「ううん! ノア姉にお願い! 今晩尻尾触らせて!」


「こらっ!」


「違うもん! 尻尾触るだけだもん! 少しお尻にも当たっちゃうだけだもん!」


 確信犯じゃん。



「お尻ならクレアがお勧めよ♪ ちなみにノアちゃんは尻尾と耳以外にもお腹が最高よ♪」


 突然現れたもう一人の私がパトラを背後から抱きしめながらのたまった。



「アイリス!」


「うふふ♪ バレちゃった♪」


 わからいでか。この二人は引き合わせちゃダメだったのかもしれない。



「そっちも終わったのね」


「ええバッチリよ♪」


「なら報告を聞きましょう」


「それはやめておいた方がいいわね♪」


 なんでさ。なら何の為に調べたのさ。



「後にしましょう、マスター」


 ああ。この場では話せないって事か。なら後でシーちゃんからこっそり聞くとしよう。



「そう。二人ともご苦労さま。そろそろ戻りましょうか」


 用事も全部済んだ筈だし。ニクス世界に戻って予選の続きを観戦するとしましょうか。



「後でね♪ ノア姉♪」


 ダメだってば。

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