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異世界で始める白猫少女との二人暮らし ー だったのに、いつの間にか美少女ハーレムの主になって世界を救ってました ー   作者: こみやし
43.白猫少女と国家運営

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43-47.新しい関係

「記憶を取り除いてみるのはどうかしら」


「そんなの嫌だよ!? アルカや皆との思い出も消えちゃうじゃん!」


「また一から作っていけばいいじゃない。すっぱり忘れちゃいましょ。本来その記憶は存在しない筈のものなんだから」


「勝手な事言わないでよ!!」


 まあ、そう言うよね。正直気持ちがわからないわけじゃないんだけどね。客観的に聞いてる分には私の方が酷いこと言ってる感じになっちゃってるけど、今回ばかりは切除もそう悪い手段じゃないと思うのよね。


『もうおそい』


 そっか……。そうだよね。


『しゃあない』


 うん。しゃあないね。



「ならやるしかないわね」


『ほんき?』


「だってこのままじゃパトラが困るもの」


『はんたい』


「ハルちゃんだって未来の記憶いっぱい持ってるじゃない」


『アルカ』

『きじゅん』

『ぶれたら』

『こまる』


「なんか上手く出来ない? 一部だけ切り抜いてさ。せめて私とパトラが初めて愛し合った記憶だけでもさ」


『ダメ』

『れいがい』

『みとめない』


「そこをなんとか」


「待って! もしかしてアルカまで私の記憶を!?」


「うん。貰ってみようかと思って」


「ダメ! そんなの絶対だめだよ!」


 あら。パトラまで反対するなんて。


『バカな事を考えるのはやめておきなさい』


 イロハも反対なのね。


『当たり前じゃない。リスクに対してメリットが小さすぎるわ。さっきアルカが言った通り未来の記憶なんて忘れてしまいなさい。別に記憶なんてわざわざ消さなくても風化していくものよ。ここから新しい関係を築けばいいじゃない。今あるものを受け入れてしまいなさいな』


「そうだよ! そこまでしてなんて言ってないよ! 私は私でアルカはアルカなの! 私は一つになりたいんじゃなくてアルカと一緒に生きていたいの!」


 あらあら。ふふ♪ やっぱりなんだか不思議な感覚ね。出会ったばかりの小さな女の子からこんなに真剣に愛してもらえるなんて。


『これははたして合法なのかしら』


 くだらない事言わないで。折角良い雰囲気なのに。



「わかったわ。なら後の事は成り行きに任せましょう。後日ご両親にも挨拶に行くわ。カーティアちゃん達と一緒に通う形をとりましょう」


「うん! ありがとう!」


「落ち着くまでは何時でもアイリス内で会ってあげる。だから家族の事もしっかり守ってあげなさい」


「良いの?」


「もちろん。知った以上は放っておけないでしょ。押し付けられてしまった知識だけど、どうせなら有効活用しなくちゃね。その知識も含めてパトラなんだから」


「うん! ありがとう! アルカ大好き!」


 ふふ♪ 可愛いなぁ♪



「って、こら。どこ触ってるの」


「新しく始めるんでしょ?」


「まだそこまでは許しません」


「なんでよ!? 今の私を受け入れてくれるんでしょ!?」


「パトラも受け入れなさい。あなたは今八歳なの。ご両親に目一杯愛されている真っ只中なの。そんな幼気な子に手を出すわけにはいかないわ。だから聞き分けなさい」


「でもぉ~!」


「それとも私を最低な大人にしたいの?」


「今更でしょ!」


 うぐっ……。



「そ、それでもよ。だからほら。少し離れて。美味しい紅茶とお菓子を出してあげるから。それで作戦を考えましょう。ご両親を説得して我が家に来る口実を作らないと。もし数日中に納得してもらえるなら一緒にお祭りデートだって出来るかもしれないじゃない」


「私はお部屋デートの方が好きかなぁ」


 このちみっこめ。いっちょ前に何言ってんだか。



「全部アルカのせいなんでしょ?」


 くっ。まだ諦めないのね。



「アルカは責任を取らなきゃいけないと思うの。私はただ不安を溶かしてほしいだけなの」


 もう不安なんてなさそうじゃない? 単に頭ん中がチョメチョメで埋め尽くされてるだけじゃない?



『ああそっか。そういう事ね』


 何か進展でもあった? シーちゃんとの作戦会議に。



『いえ、そっちじゃなくて。パトラの話よ。その子なんだかんだ言ってやっぱり八歳児のままなのよ。強い興味を示しているのはそれだけ鮮烈だったからよ。今のパトラは記憶に人格が塗りつぶされてるわけじゃないの。ただ初めて知った知識に興奮しているだけなの。それに手が届きそうだから逃すまいとしているだけなのよ』


 えっとつまり? エロ本見つけた少年みたいな?


『そうよ。だからいっそ軽く撫でてやりなさいな。きっとそれだけで落ち着くわよ。知識と経験が紐付いてこんなものかって納得する筈よ』


 それ下手すると余計に興味が加速しない?


『上手い具合に手を抜きなさい』


 無茶言わないでよ。


『なによ。いつも自分はテクニシャンだって豪語してるじゃない。誰よりも経験だけは多いんだからその腕前を発揮してみせなさいよ』


 えぇ……。




----------------------




「良かったわね! パトラ!」


 結局パトラはその日の晩には許可を取り付けてしまった。ご両親にはお祭りに行こうとして迷子になったと話したそうだ。それで再びパトラに呼び出された私とご両親の面会を経て、暫く預かる事になったのだ。その際イレーニアさん達も立ち会いの下、私の正体についても明かしてある。ついでにカーティアちゃん達が武闘大会に参加する事もだ。


 明日の予選を見に行きたいのだと熱心に、それこそ人が変わったように語る娘を見て、ご両親がどう思ったのかはわからない。ただ元々のパトラちゃんはそれはもう良い子だったらしく、そんな娘が初めての家出をする程なのだからと理解を示してくれた。そんなこんなでお祭りが終わるまではこっちでお泊りだ。通い云々はまた別で話す事になった。ついでにカーティアちゃん達も今晩は泊まるらしい。イレーニアさんからちゃっかり許可を貰っていた。



「うん。えへへ。ありがとう、カティお姉ちゃん」


 なんかソワソワしてる。



「パトラも一皮むけたのね! 話し方が変わってるわ!」


「あ、あはは~……」


 ああ。カティちゃんへの接し方を思い出しながら喋ってるのか。記憶が多すぎて苦労しているのだろう。幸いカティちゃんは勝手に納得してくれたようだ。パトラもあの修行を受けたと考えたのだろう。別に本当の事を話しても良いのだけど、パトラが隠すと決めたのなら私もそれに合わせるとしよう。

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