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43-36.作戦会議

「マグナの能力?」


「うん。特別な力があるんでしょ?」


 奇跡がどうこう言ってるし。



「ああ、あれか。まあ大したことは無いよ。言い換えちゃえば望みの乱数を引き当てられるってだけだよ。極端に運が良いのと変わらないよ」


「え? それって凄い力じゃないの?」


「うん。扱い方次第ではいくらでも化ける力ではあるよ。ただ結局出来る事が増える力じゃないからね。本人の力量が伴わなければそこまでの話なのさ」


「あ~。いきなり偽神を倒せちゃうわけじゃないのね」


「回避率がどれだけ高くたって空間を埋め尽くす程の全体攻撃は防げないからね」


 わかりやすい。



「けどそれって」


「うん。防げる人が側に居ればいいだけの話だ。例え目を瞑ったままでもその人の下に辿り着く事は出来るからね」


「ニクスが勧めていたのもそういう理由だったのね」


「まあね♪ だから案外メグルごとアルカのものになる未来もあり得ない事じゃないと思うよ♪ きっとメグルのレベルアップに必要になるだろうからね♪」


「レベルアップ?」


「マグナは旅の案内人としても最適なのさ♪ 勇者の旅路と同じだ。常に都合の良いレベル帯の敵が現れるエリアに導いてくれる。そうしてメグルは少しずつ成長していったのだと思うよ。なら最後に行き着く場所はここに決まってる。もしかしたら最初に来るのは序盤の寄り道に過ぎないかもしれないけどね。ゲームでもあるでしょ? 圧倒的な力の差を見せつけられても、そこからもう一度這い上がるのが勇者ってものだよね♪」


「勇者っていうか主人公補正みたいな感じなのね」


「そうそう♪ そういう事♪」


「でもニクスの話を聞いていると、なんだか私が魔王みたいだわ」


「ふふ♪ 魔王を倒したと思ったら真のラスボスが出てくるパターンだね♪」


「私は前座? それともメグルの下について共闘するパターンかしら?」


「旅を続けて強くなったメグルとマグナがいれば偽神を倒せる可能性もうんと上がるかも♪」


「ニクスったらなんだかノリノリね」


「聞いててワクワクする話だからね♪」


「ニクスって好きよね。そういうの」


「マグナは任せておいて♪ 私が色々聞いておくから♪」


 すっかり気に入ったようだ。本人は否定するだろうけど、立ち位置的には孫娘みたいなもんだしね。そりゃ可愛いわ。



「あれ? エーテルさんの力ってニクスもよく知ってるものなんじゃないの?」


 本当に今の話は全部マグナちゃん自身から聞いた事なの? あの娘の事は解析できないんじゃなかったの?



「エーテルは混ざってるんだ。わかりやすく言うならね」


 全然わからん。



「どういうこっちゃ?」


「お母様の系譜として以外の側面も持ち合わせてるって事。悪いけどこの件に関してはここまでとさせてもらうよ。アルカにだってまだ知らない方が良い事はあるからね」


「久しぶりに出たわね。禁則事項」


「禁則事項です♪」


 可愛い。



「もしかして純粋にニクスと同じ系列なのってイオスとミーシャだけなの?」


「アルカの問いかけている意味でならそうだよ。それからへーメラも生まれは特殊だけど、今となってはそこに加わってもいいかもね」


 もう十分過ぎる程に力を付けたものね。なんならニクス以上にイオスと近い存在でもあるでしょうし。



「エーテルさんはノルンと似た存在なのね」


「うん。まあつまりはそういう事だよ」


 取り敢えずエーテルさんの話は置いておこう。ニクスもあまり話せないみたいだし。



「他に聞きたい事はある?」


「う~ん……」


 やっぱりニクスの言う通り、今のマグナちゃんをメグルちゃんの下に届けてもあまり意味は無いみたいね。ニクス以上の敵だって話だし。マグナちゃんがどんな幸運を引き寄せたってニクスに勝つ事すらあり得ないだろう。基礎スペックが違いすぎるからね。そもそも神威どころか神力すら抜けないだろうし。かすり傷すら付けられない筈だ。


 あ、でも。主人公補正を失ったメグルちゃんと考えると危ない? 或いは離れていても関係ないのかしら? マグナちゃんがこちらに助けを求めた事で、事態がどう転んでもメグルちゃんに命の危険は無いわけだし。



「ニクスがイオスに勝つとしたらどんな手段を選ぶ?」


「無理。敵対する前に全力で媚びを売る」


「それよ! それだわ!」


「なにがさ?」


「私がその敵さんとやらを籠絡しちゃいましょう! 戦い自体を無かった事にしちゃいましょう!」


「ダメ」


「なんで? 名案でしょ?」


「全然。アルカが向こうに出向くでも、あれをこっちに誘い出すでも、結局干渉する事に変わりないじゃないか。干渉自体がダメなんだって何度も言ってるでしょ?」


「その敵さんは何が目的なの?」


「知らないよ。知る必要も無い事だ。アルカに至っては知るべきですらない。これも何度も言うように、余所の世界の事情に首を突っ込んだらダメなんだってば」


「中々上手くいかないわね」


「そろそろ諦めたら?」


「応援してくれるのでしょう?」


「ちゃんと考えて私を納得させられたらね」


「条件が厳しくなってるわ」


「小手先のジャブをいくら入れられたって頷くわけないでしょ。もっと強く打ち込んでくるなら話は別だけどさ」


「難しいわ。自分でもこれならって思えないのよね」


「今さっき思いつきに燥いでたじゃん」


「ノリで押し通せないか試してみただけよ」


「うそだぁ。絶対本気で良い考えだって思ってたじゃん」


 なんだかニクスこそノリノリだ。ダメダメ言いながらこの作戦会議自体は楽しんでいたようだ。



「そう言えばアムルはいいの? 一緒に行動してたんじゃなかったの?」


「ちょっと機嫌損ねちゃった」


「なら一緒に居てあげなきゃ」


「そうだね~♪」


 なんで嬉しそうなのさ。さてはアムルにイジケられて喜んでるな?



「アムルは今何してるの?」


「さあ? 呼んでみたら?」


 念の為了解を取ってから抱き寄せ魔法で呼び寄せた。



「ニクスと喧嘩したんだって?」


「そんなんじゃありません」


 可愛いふくれっ面ね♪ これはニクスが喜ぶ気持ちもわかっちゃうわね♪



「アルカまでそんな顔をするのですか?」


 またイジケさせてしまったようだ。



「そろそろ素直になれそう?」


 アムルが私との関係を進める為の話し合いをすると意気込んでから既に半年以上が経過している。そっちの進展はあったのかしら?



「私は素直です」


 まあそうだけどね。だからこそ拗ねてるわけだし。そこはやっと感情が追いついてきたって部分もあるのだろう。アムルの最初に抱いていた感情はノアちゃんとセレネからの受け売りだったわけだし。



「アムルも知恵を貸してくれる?」


「構いません」


「まだ諦めてないの?」


「まあ良いじゃない。向こうもお城ツアー終わってないみたいだし。もう少しだけね」


「いっそ三人でデートしない?」


「ダメですよ、ニクス。アルカが困っています。私達が力にならず如何するのです。邪魔をするなど以ての外です」


「はいはい。じゃあもう少しだけ考えてみようか」


「ニクスもやる気を出してください!」


「うんうん。やる気満々だよ♪」


「もう!」


 あらら。どうしちゃったの? この二人。

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