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43-35.前のめりの理由

「あれ!? アルカさ、ん!? 会えないって話じゃ!?」


「アルカがどうしてもって言うからね。気を付けてマグナ」


「大丈夫よ。取って食いやしないから。それよりマグナちゃんの事を聞かせてほしいの。さっきはお互い余裕が無かったものね。今度は大丈夫よ。時間はあるからゆっくり聞かせてくれるかしら?」


「は、うん! 喜んで!」


 本当に嬉しそうだ。それに頬が若干赤い。所有者登録とやらは想像以上にこの娘の心を蝕んでしまっているのかもしれない。早く何とかしてあげなくちゃだ。


『いえ、おそらくこれはそういうものでは……』


 そうなの?


『はい。本人曰く所有者登録にそこまでの強制力は無いそうなので。普通に惚れているだけではないかと』


 はえ? え? だって相方いるんでしょ?


『これも先程本人から聞いた話なのですが、あくまで親友同士であって恋人関係ではないようです』


 まあそんな事もあるわよね。女の子同士だもの。うちにいたら時間の問題かもだけど。本人は早速染まり始めているみたいだし。


『いえ、そこは元からのようです。行く先々で可憐な少女達に声を掛けてきたとのことです。本人曰く』


 どこまで話してんのさ。そんなの聞き出す必要あった?


『勝手に語りだしました。と言うかナンパされました。今でこそマスターの前ではしおらしい態度ですが、きっとすぐに余裕を取り戻すと思います』


 そういう娘ならここは天国じゃん。いっそ本当に引き込んじゃう?


『行きずりの関係だからこそ見逃されていた部分もあるようです』


 つまり相方が許さないわけね。そうだよね。必ず自分の隣に帰ってくると信じているから、旅の道中でこの娘が何をしようと見逃してあげていただけなんでしょうね。


 私嫌われそうね。メグルちゃんからしたらマグナちゃんを拐かす敵として認識されそうだもの。実際メグルちゃんの権限も書き換えちゃったわけだし。


 あまり嫌われすぎてしまったらメグルちゃんごと引き込むのも難しくなるかもしれないわね。メグルちゃんが来るまではマグナちゃんとの距離感も大切にしないとだ。



 それからマグナちゃん自身の事や、マグナちゃんとメグルちゃんの旅について色々と話を聞いていった。マグナちゃんは最初こそ私の事を意識している様子だったが、暫く話を続けているうちに普段の調子を取り戻していったようだ。



「つまりだね! これは運命だと思うのだよ! 私はアルカに出会う為に旅を続けていたんだ! きっとそうさ!」


 ぐいぐい来るなぁ。



「そんな事言っていて良いの? メグルちゃんを助けに行きたいんじゃないの?」


「心配要らないよ♪ 私がここに来た事もまた意味のある事だったのさ♪ 私は奇跡のマグナだからね♪ メグルを救う道は既に繋がった! 勿論アルカ達を信じているよ! 最上の神々から力をお借り出来るなら怖いものなしさ! 私はただ待つだけだ! メグルは必ず私の下に戻って来る! そこはもう疑いようのない結末なのさ♪」


『それでは片手落ちね。先の事を考えていないわね』


 本質が呑気な娘なのは間違いないわね。あの泣き虫っぷりがどこへやらだ。



『無償で施してもらえるなどと思い上がるものではありませんよ。貴方の現状は貴方の起こした奇跡故のものではありません。全てはアルカ様が導いた事。主導権はアルカ様にあるのです』


 モノは言いよう過ぎる……。



「勿論そんな勘違いはしていないさ♪ だからこうして仲良くしようと持ちかけているんじゃないか♪」


『お聴きになられましたか、アルカ様。こやつめは打算でお近づきになろうとしているのです。厳しく躾ける必要があると具申致します。委細私めにお任せくださいませ』


「ツクヨミの魂胆はわかってるわ。自分の弟子にしたいだけでしょ。ツクヨミも大概節操無しよね。カティちゃん達にも目をつけてるくせに」


『少々手荒く扱ってしまうかもしれません♪』


 実は本気でイラッときたのもありそう。



「マグナちゃんの今後については検討中よ。参考までにマグナちゃんの希望を聞かせて……もらう必要は無いわね」


「さっき言った通りさ♪ アルカに興味を持ってもらえるよう頑張るよ♪」


「悪いけど暫くの間は距離を取らせてもらうわ。方針が固まったら考え直すかもしれないけど」


「いくらでも待つさ♪」


 取り敢えず心配要らなそうだとわかって一安心だ。或いは今言った事が全てではないのかもしれないけど。一刻も早くメグルちゃんを窮地から救い出す為に私を利用しようとしている可能性も無くはない。


『そういう玉には見えないわ』


『間違いなく本心ですね。生粋の楽天家なのでしょう』


 まあ、うん。正直私もそっちだとは思う。



「本当にもう行ってしまうのかい? まだ時間はあるのだろう?」


 待つって言ったじゃん。



「何か話しておきたい事があるの?」


「いくらでも話しがしたいね♪」


「ならベットにでも行く?」


 ニクス? 突然何を言い出すの?



「なっ!? やっぱり君は!?」


「いやいや。私じゃなくてアルカがさ。こう見えてもアルカは五十人以上のお嫁さんを持つハーレム王だ。きっとマグナの事だって楽しませてくれるよ」


「えっ遠慮しておこう! そういうのは段階を踏んでから行うものだ!」


 ありゃ? 普通にビビってる? さっきまでの勢いはどうしたのかしら?



「この娘なんだかんだと言って一線は越えないようにしているみたいだよ。どうやらそこはメグルが優先みたいだ」


 なるほど。ニクスはそれを伝えようとしたのか。回りくどいわね。なんでそんなやり方を?



「そっ! そんな事は無いさ! 私は本当に運命を感じたんだ! アルカこそ運命の相手だ! きっとそうさ!」


 あれ? 何か無理してる?



『少し休ませてあげなさい。不安もまたあるのでしょう』


 そうね。なんだかんだと言ってもね。明るく振る舞ったのもだからこそなのかもしれないわね。



「マグナちゃんに部屋を用意してあげて」


「イエス、マスター」


 まだ少し混乱している様子のマグナちゃんをシーちゃんとニクスに預けて一足先にニクス世界に帰還した。



『それでどうするの?』


「どうしよっか」


 当然だけどマグナちゃんはメグルちゃんの現状を知っているわけでもないのよね。それであの様子だし。不安を消す為に私に縋ろうとしていたのかしら?


『どっちもじゃない?』


『あの者がアルカ様に興味を抱いているのも真実かと』


 困ったものね。奪い取る趣味は無いのだけど。


『仕方ないわよ。元々神の創造物なんだから』


『アルカ様はまさに"理想の相手"なのでしょう』


 マグナちゃん特攻だったわけだ。


『だからアルカ次第よ』


『私達も全力でサポート致します』


 なら一緒に考えて。本当に待つだけでいいのか。


『アルカはそうしたくないのでしょう?』


『ならば決まっています。マグナの考えは関係ありません』


 そうね。先ずはメグルちゃんと会わせてあげたいわね。それで二人ともが落ち着いたら改めてお友達になりましょう。


『ならその方法を考えましょう』


『例えばこんな案は如何でしょう? マグナを最低限生き残れる程度に鍛え上げるのです。向こうの世界に影響を及ぼさないギリギリを狙うのです。干渉を最低限に抑えましょう』


 悪くないかも。ニクスはなんて言うかしら。


「難しいね。結局は繋がりが出来ちゃうし。後は段々と大きな流れの方に統合されちゃうだろうね。とは言え時間は稼げると思うよ。その間にまた別の策を考えるのもいいかもね」


「あらニクス。マグナちゃんはもういいの?」


「うん。シイナが眠らせたから」


 無理やり?



「そんな事より作戦会議を続けようよ。カーティア達の城見学終わっちゃうよ?」


「それもそうね」


 シーちゃんなら無茶はしないだろうし。……しないよね?

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