43-32.スピード解決?
「ふむふむ。へぇ~。なるほどね。やっぱり興味深いね♪」
「あはは♪ やめっ♪ ちょっ♪ くすぐったい♪」
「そういうのセクハラって言うのよ。ニクス」
「知ってるよ。お母様じゃあるまいし。ほらマグナ。じっとしていて。別にイタズラ目的じゃないからね。これはあくまで君の相棒を見つける為に必要な事だよ。我慢して」
「そっそれは! 本当かい!? あはは♪」
「本当だってば。はい服脱いで」
「ニクス。悪ノリが過ぎますよ」
「アムルまで疑うの?」
「今のニクスは好奇心に支配されています。その子の心配なんて微塵もしていません」
「だから言ってるじゃん。興味深いって。けど本当に必要だからやってるんだよ。この子に残った相棒さんの痕跡を読み取ってるの。二人が深い関係なら全身どこであっても痕跡が残っているだろうからね。特に服に隠れた部分は損耗も少ない筈だ。その分強く情報が残っていると思うよ」
「なっ!? 違うよ!? 私とメグルはまだそんな関係じゃないよ!?」
「まあ今の様子を見ればなんとなくわかってたけどね。触れられる事に慣れてなさすぎるもん」
「ニクスもくすぐりに弱いじゃないですか。その推測は当てになるのですか?」
「それはそれだよ。私の身体は特別製だもの。元々変化に耐性があるんだよ」
「この子も似たようなものでは?」
「かもしれないね。だから剥いてみよう♪」
「必要ないからぁ! メグルにだって触らせた事無いんだってばぁ!」
「ニクス。やめてください。その子は嫌がっています」
「そう? 仕方ないなぁ」
「やっぱり楽しんでいましたよね?」
「ふふ♪ アムルも日に日に可愛くなっていくね♪」
「意味がわかりません」
「心配しないで。アルカじゃあるまいし。だよ」
「……」
「あら? ふふ♪」
「……なんですか?」
「なんでもな~い♪」
「そんなことより行方はわかったのかしら?」
「全然。まだ情報を集めただけだもん」
「修行が足りなかったようね」
「勘弁してよ。折角帰ってこれたのに」
「お母さん悲しいわ」
「ならお母様はもう特定出来たの?」
「当然じゃない。誰に問うているのかしら?」
「ヒント頂戴♪」
「テルスよ」
「それ答えじゃん。やっぱりそっか。テルスが通った道がまだ残ってたんだね」
「ええ。もう一人はそちらに流れたと見るべきね」
「どうしてアルカに引き寄せられなかったの?」
「よっぽど強い縁があったのでしょう」
「例の問題児と?」
「さあ。そこまではわからないわ。案外血縁者でも居たのかもしれないわね」
「えっと……もしかしてメグルの居場所が……」
「うん。特定出来たよ。安心して。そっちには私達の家族がいる筈だから。メグルさんの事は保護しておいてもらうよ」
「ありがとうございます!!」
「いいよ。気にしないで。これはアルカの頼みだもの」
「アルカ様は今どちらに?」
「様? やめておきな。そんな呼び方してたら取り込まれるよ。メグルさんの所に帰りたいなら気を張っておいた方が良い。でないとあっという間にアルカの虜になっちゃうから」
「……はい」
「私達の家族が用事を済ませて帰って来るにはまだ少し時間が掛かる筈だ。メグルさんをこの世界に連れてくるまでは羽目を外し過ぎない程度に楽しむと良い。ただしアルカには近づかないようにね。君程度じゃ抵抗も無意味だから」
「けど……」
「どうにかして所有者だけでも書き換えられないかな。やっぱり放って置くのは危険な気がするんだよなぁ」
「いざとなったらその相棒ごと取り込んだら良いじゃない」
「お母様は余計な事言わないで。アルカが本気になったらどうするのさ」
「どの道する時はするわ。小春なら」
「わかってるなら尚の事でしょ」
「そういうのを無駄な抵抗と言うのよ」
「まさか?」
「テルスならもう半年は帰ってこないんじゃないかしら?」
「なんでさ。そんな手こずるような相手なの?」
「いいえ。あの子は見守ると決めたからよ。最後の最後、ギリギリまでは手を出さないつもりなの」
「対抗できる戦力が存在する世界なの?」
「出来る出来ないの問題ではないわ」
「……まあそうだね。気付いて努力する人達がいるなら見守る事も私達の大切な役目だものね」
「そういう事よ♪」
「半年……」
「少なくともだからね。下手をすると何年もかも」
「メグルぅ……」
「だからって介入は許さないからね。君程度の力じゃ近づく事も出来ないよ」
「え?」
「それだけ向こうは厄介な状況なの。けど安心して。さっきも言った通り」
「ニクス。それ以上はやめなさい」
「あ、そうだね。ごめんなさい。この子は神じゃないんだもんね。随分とエーテルの気配が濃いからつい喋りすぎちゃった」
「良い子ね。ニクス」
「ふふ♪ 大げさだよ。お母様♪」
「何時の間にかすっかり仲良しになりましたね」
「色々あったから」
「色々あったわね」
「私になら聞かせてくれますか?」
「アムルだからこそ話せないかな。恥ずかしいし」