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9-7.異世界チート

私はノアちゃんと二人で未開拓地にやってきた。



今回は前情報無しだ。


視る力を鍛える為に、

自分たちで強い魔物を探す事にした。

なので飛行魔法も探知魔法も使っていない。

力の痕跡を辿って大きな魔物を追っていく。



ぶっちゃけこの近くにドラゴンがいるのかはわからない。


まあ、いなくても別に構わない。

食べてみる以外の目的も無いのだから。



「いないね~」


「手分けして探しますか?」


それも良いのかもしれないけれど、

正直ドラゴンを食べる事にそこまでモチベーションがあるわけじゃない。

ノアちゃんと離れて一人で探すのはなんか違う気がする。



「もうちょっと一緒に探しましょう。

せっかく敵がいるなら久しぶりに一緒に戦う練習もしたいし」


「確かにそれも良いですね!」



ノアちゃん好みの答えを用意しましたから。


でもこれは嘘じゃない。

ルネル程の強敵がいるとは思えないが、

私達のコンビネーションを鍛えておくのは良いことだ。

これなら私も楽しめるし。


普通にやったら二人でやるまでもなく倒してしまうから、

なにか縛りでも設けよう。

あんまりやりすぎても意味ないけど。



私は闇武装縛りとかかな。

練度を上げておきたいし。

遠距離は弓だけにして他の魔法は使わないようにしよう。

もちろん転移も禁止で。


ノアちゃんは何が良いだろう。

本人に聞いてみるか。



「じゃあ、投げナイフだけで仕留めます!」


ノアちゃんはノリノリだ!

その発想は無かったと目を輝かせている。


私もとてもいい気分だ。

縛りプレイって言うんだよ!

これが現代知識チートってやつか!

いくらなんでもショボすぎるけど!


こっちの世界の人達の方が大概チートすぎて、

わざわざ異世界から呼ばれる理由が本気でわからない。

なんで私は異世界転移させられたのだろう。

女神からは何かしらの役割を期待されているようだが。


私がいくら強くなってもルネル以上にはならないだろうし、

グリアやドワーフ爺さんがいれば私なんかの知識より

多くの物を生み出せるだろう。


爺さんは技術を広めたりしないけど、

グリアの魔法陣でさえこの世界には流通してないチート技術だ。

こっちも本人に広める気はないが。


あれは単に自分で使うためだけに生み出されたものだ。

グリアに世界を良くしたいなんて願望は無い。

精々、研究費用を稼ぐ為に売り出すくらいだろう。


そんなグリアでも私達には沢山協力してくれる。

魔王討伐後に何でまだ協力を続けてくれるのかと聞いたら、

その方が楽しいからと答えた。グリアらしい。


私が知らないだけでこの世界には

他にもインチキじみた人達がいっぱいいるのでは無いだろうか。


やっぱり、私何で呼ばれたのだろう。

そんな事しなくても、この世界の人達は逞しい。



まあそれはともかく、

ノアちゃんが投げナイフの練習をするなら、

いっそ私が前衛をしてもいいだろう。

弓と槍くらいしか使っていなかったし、

剣とか盾とかも使ってみても良いかもしれない

それはそれで面白そうだ。




思えば随分と魔物を舐めてかかるようになってしまった。

それ程に力を視るという技術は強力過ぎる。


ルネル程の転移速度が無ければ不意打ちされることもない。

まだ死角があるとはいえ、

流石にこんな所でそこまでの油断はしない。

私達も多少のラグはあれど常に全方位を確認している。


でもこれ以上油断しすぎないように気をつけよう。

想定外の敵が現れるなんてよくあることだ。

力に頼りすぎるのも愚かなことだ。




少し呑気な事も考えながら未開拓地を駆けていく。


元々私もそれなりに体力はあったが、

ルネルとのハードな修行で益々増えた。


バフ込みとはいえ、ずっと走っていても苦ではない。


バフなしで同じ速度で走っているノアちゃんはどうなっているのだろう。


私も大概人のこと言えないけれど、

この世界の人達は鍛えれば鍛えるほど人間離れしていくようだ。


ノアちゃんの年齢でこれだけ強かったら、

私達くらいになったらどうなるのだろう。

魔王とも一対一で戦えたのだろうか。


流石にそんなわけないか。

あの時代の人達は平均的にもっと強かったはずだ。

そんな中でわざわざ邪神から力を貰ったのだから。


きっとクレアと戦う時ですら本当の全力では無かったのだろう。

魔王は空間魔法を扱っていた。

私への最初の一撃はただ見せるためだけに放ったのだろう。

本気ならもっと発動が速いはずだ。


クレアとの戦いをしっかり見えていた訳では無いが、

多分使っていなかったはずだ。


もしかしたらルネルのような瞬間転移すらできたかもしれないのに。


というか、セレネがあの戦いに参加出来たのって、

聖女の力の使い方と一緒に視る力も引き継いだのではないだろうか。


聖女は元々ルネルに師事していたのだ。

使えていてもおかしくはない。


今までセレネ本人がその事を話したことはないが、

今度聞いてみても良いかもしれない。



もしかしたら私とノアちゃんと一緒に鍛錬しても楽しいかもしれない。

セレネ本人はそこまで戦いが好きなわけでも無さそうだけど。


けれど、ご機嫌取りのためとはいえ模擬戦を提案していたくらいだ。

あのノアちゃんの動きを見た上で言ったのだから、

それなりに対応できる自信があるはずだ。


相手にもならない状態で模擬戦を挑むなんて、

そんな不誠実な事をセレネはしない。


そんな事をしたら本気でノアちゃんに嫌われるかもと思うはずだ。

なら、やっぱりノアちゃんの動きも視えていたのだろう。

その力があるのだろう。


力は使わなければ衰える。

貰い物ならば尚の事だ。

セレネならきっとあれからも鍛錬を続けていたことだろう。

貰い物ではなく自分の物にするために。

セレネはそういう子だ。



少し、セレネと戦ってみるのも楽しみになってきた。

私も某戦闘民族みたいな考え方になってきたな。




いつもいいね下さっている方々ありがとうございます!

ブックマークと評価を下さった方々もありがとうございます!

とても励みになっております!



「9-6」の誤字修正を下さった方、ありがとうございます!

いつも読んでくださって大変嬉しく思っています!

これからも更新して参りますので宜しくお願い致します!

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