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43-21.祭りの後

「お疲れ様。セレネ」


「ええ。アルカも随分と頑張ってくれたわね」


 ほんとだよぉ。サンドラお義母様にも困ったものだ。



「ごめんね。小春。母様も悪気は無いのよ」


「ツムギもお疲れ様。心配しなくても大丈夫よ。ちゃんとわかってるから」


 今のサンドラお義母様は以前とは違うもの。私達の事を考えてくれているからこそ厳しく接してくれたのだ。ただそれはわかっているけれど、私に対してだけ特にあたりが強いからちょっと辟易しちゃうけど。でも頑張らないとね。私が頼りなかったらもっと心配かけるだけだもんね。そんな姿を見せたら、また娘達を取り戻そうと張り切っちゃうかもだし。



「アルカ。ちょっといいかしら?」


「カノン? あれ? シャンテちゃんも一緒なの? まだ帰っていなかったのね」


 まあ知ってたけど。ちょっとすっとぼけてみただけだ。



「シャンテもうちに置けないかしら?」


 カノンには通用しなかった。諸々すっ飛ばしてストレート球が返ってきた。



「一応理由を聞いておきましょうか」


「私が全然帰らないでいたからよ」


「つまりお目付け役なの?」


「スパイとも言うわね」


 身も蓋もない。



「そんな言い方はあんまりですわ。カノン姉様」


「事実でしょ」


「滅相もございませんわ」


 まあカノンなら上手くやるだろう。受け入れる事にしたなら何か考えがあるんだろうし。



「取り敢えずフィリアスでもつけたらいいのかしら?」


「コマリに任せようと思うのだけど」


「良いわよ。コマリとは話しがついているんでしょ」


「ええ。ありがとう。アルカ。シャンテの事は私が連れ歩くから一先ず気にしないで」


「仲良くね」


「心配は要らないわ。シャンテとは特に長い付き合いなの」


 歳も近いもんね。幼馴染みたいなものなのだろう。



「失敗したわ。ヴィルマも紹介してしまえばよかったわね」


「今から二次会でも開く?」


「……またにしましょう。まだまだ向こうも忙しいもの」


 だよね。なら落ち着いたらまた盛大にやるとしよう。



「セーレもこちらで過ごす時間を増やさせて頂ければと」


 レーネがにゅっと現れた。



「構わないけど取り上げたりしたらダメよ」


 まだこっち(ニクス世界)だと生後半年程度だからね。ご両親だってもっとセーレと過ごしたいでしょうに。私達が巻き込んだのと人魚の成長の速さもあって、既に十二歳くらいまで見た目は成長しちゃってるけども。


『それだけじゃないわ。リヴィと一緒よ』


 元々人魚だからね。人魚は魔物に近い身体構造を有しているから。一応セーレに流す力の量はかなり制限しているのだけど、それでも一般的な人魚より更に成長速度は速い筈だ。



「ご安心ください♪ アルカ様♪」


 返事になってない。レーネも随分と成長したものだ。あの純粋無垢な人魚姫も今や一端の商人だ。煙に巻くような言い回しもお手の物だ。……育て方間違えたかしら?



「レーネの事もよろしくね」


「ええ。任せておいて」


 カノンだけが頼りよ。カノンの仕事量多すぎて気になるけど。けどきっとカノンなら上手く二人を使ってくれるという信頼もあるのよね。取り敢えずもう一人くらい専属フィリアスでもつけてあげようかしら。コマリも貸し出しちゃうみたいだし。



「シーちゃん。プロトちゃんの中から一人をカノンに貸し出してほしいんだけど」


『イエス、マスター』


「助かるわ。実はセレネに自慢されて羨ましかったの」


 んな事してたんかい。



「マインは優秀よ♪」


 知ってる知ってる。セレネには他にもアウラとセラフとヴィルマちゃんもいるもんね。忙しいけど人手も十分だ。



「私も欲しいわ!」


「ツムギはダメよ。ムスペルに人手は要らないわ」


 今はナディ達だって働いてるんだし。そもそも国自体も強固なのだ。なんならツムギはとっくに引き上げてくれてもよかった筈だ。ナディのように特別な理由があるんでもなし。それにヒオリが怒るだろう。あの子は独占欲強いし。



「むぅ……」


 案の定ツムギは体内に宿るヒオリからお説教をくらったようだ。言わんこっちゃない。




----------------------




「ようやく落ち着いたなぁ」


 私のベットに転がったクマの着ぐるみパジャマが何か言っている。言う程クレアって働いてたかしら? パーティー関連は程々にサボってなかった?



「なんだか慌ただしかったよね」


 エリスはいっぱいお手伝いしてくれたものね♪



「えりすー!」


 アルルは何を見つけたのかしら? 私の部屋で宝探ししても面白いものなんて無いと思うよ?



「は~い♪」


 エリスはアルルを抱き上げて戻ってきた。



「こぇなぁに?」


「オセロね♪ そう言えばアルルはやった事なかったっけ」


「私が相手になるよ♪」


 なら私は観戦していましょう♪ 今日は一日ゆっくりしちゃろ♪



「撫でろ」


「お尻を?」


「バカおめえ。子供達の前だぞ」


 満更でもなさそう。だがやめとこう。仕方ない。お腹で我慢してやろう♪



「二人とも! ちゃんとこっち見てて!」


「みててー!」


「は~い♪」


「おう。見てるぞ。なんならどっちが勝つか賭けるか」


「流石にエリスでしょ」


「わかんねえぞ。アルルの産まれを考えてみろ」


 それもそうか。



「という事で私はアルルに賭けるぜ♪ 頑張れよ♪」


「え~! クレア叔母様ひどい!」


「エリスは私が応援してあげるわ!」


「え~! だぁめ! まぁま!」


 これどっちにしても角が立つわね。



「まったく。子供達を使って賭け事とは。少し目を話すとすぐこれです」


 少しだっけ?



「おかえり、ノアちゃん。今日はもうお仕事いいの?」


「ええ。特段動きもありませんでしたから」


「アメリは?」


「ヤチヨとヒサメの所に顔を出しに行きました」


「全員呼んじゃおうかしら」


「やめてあげてください。二人にだって前回散々叱られたでしょ」


 まあ口先だけだけどね。結局小一時間は私の膝を占領してからまた旅立って行ったし。



「もう始めていい?」


「いーい?」


「いいわよ~♪ 二人とも頑張れ~♪」


「「うん!」」


 ふふ♪ たまにはこんな日も良いよね♪

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