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43-17.やり直し

「えぃすー!」


「ア~ルル♪」


 仲良し。



「すっかり懐いたな♪」


「くぇあー!」


「おう♪」


「あぅかー!」


「はぁ~い♪」


 かわいい♪




----------------------




 新たにアルルを加えた私達は、今日も今日とてモントニャハト公国発展の為に、研究開発に明け暮れていた。アニメやドラマ、音楽や特殊な植物の他にも様々なものを生み出してきた。そんな慌ただしい日々を過ごしていると、あっという間に建国から一月近くが経過していた。



「やばいやばいやばぁい!!! やっばぁああいい!!!」


「どうした急に。また何か妙なもん作ったのか?」


「違うの。アルカ様ったら結婚記念日忘れてたんだって」


「……そうか。それで最近セレネの機嫌が悪かったのか」


「セレネもセレネよ! それからノアちゃんも!! どうして誰も言ってくれないの!? シーちゃん達もよ!」


『すみません。マスター。口止めされていましたので』


「おかしいでしょ! そこはそれでもこっそり口にするべき場面でしょ!!!!」


「取り敢えず今すぐ動いたらどうだ? この際雑でもなんでも機嫌取りからするしかねえじゃんか」


「クレアの言う通りね!!」


 両手にセレネとノアちゃんを抱き寄せ魔法で召喚し、問答無用で深層に潜り込んだ。




----------------------




「……」


「……ごめんなさい」


「もういい加減許してあげましょうよ。セレネ。私達だって忙しくて禄に家にも帰っていなかったじゃないですか」


「アルカとは毎日話していたわ。匂わせもした」


「……誠に申し訳ございませんでした」


「許さないわ」


「あぅ……」


「私達は三人で共にと誓ったのです。アルカ一人に押し付けるのは違うでしょう?」


「ノアだって賛同したじゃない。アルカが自分で気付くまではって」


「セレネの気持ちを慮っただけです。アルカを虐める為ではありません」


「なによ? 私が虐めてるって言うの?」


「違いますか? ここ最近はなんだかんだとセレネも充実していたのでしょう? アルカがしょっちゅう話しかけてくるから仕事に差し障るなんて嬉しそうに愚痴っていたじゃないですか」


「ちょっと」


「でなきゃとっくに暴発してるでしょう? 既に記念日から半月近く過ぎているのです。セレネがそこまで我慢できたなんて奇跡とすら言えます。なんなら最初は何時気付くかしらなんて笑っていたくらいです。ただ流石にその後段々と我慢が利かなくなっていったセレネの様子に気付けないアルカはどうかとも思いますが」


「セレネぇ! ごめんなさぁい!!」


「……はぁ。……わかったわよ」


「セレネ!!」


「一年よ」


「え?」


「今から三人だけで一年過ごしましょう。やり直しの機会をあげるわ」


「流石に強引すぎませんか?」


「何よ。文句でもあるのかしら?」


「いえ別に。ただ深層やアイリスで過ごした期間は今までノーカン扱いでしたから」


「だから今から過ごす一年分もノーカンよ。ただ結果だけ帳尻を合わせるの」


 本当に強引過ぎる……。強引過ぎて何言ってるのかちょっとわからない……。わかるけど……わからない……。



「たまには良いんじゃないですか。私も異論はありません」


「私ももちろん大歓迎よ! セレネとノアちゃんが認めてくれるなら何千年だって三人だけで過ごしちゃうわ!」


 とにかく乗るしかない! 今はそれしかない!



「本当に出来ると思っているのですか? ハルやイロハも無しですよ?」


「あっ……えっと……」


 いや、もちろん覚悟は出来てたんだけどね? 流石に千年は盛りすぎた?



「ちょっと。早速他の女の話してんじゃないわよ」


 と言うか二人だってリヴィやルビィに会いたくなるんじゃ?



「さっさとアイリスに入るわよ」


「そうですね。善は急げです♪」


 やばいかな? 本当に一年で出してくれるよね?



「何躊躇してんのよ」


「怖気付いたのですか?」


 ええい! ままよ!



「ううん! 行きましょう!!」




----------------------




 私達は本当に三人だけの生活を始めた。もちろん仮想空間内アイリスでの話だけど。最初に三人で暮らし始めた時と同じように、今となっては随分と小さく感じるようになった一軒家を再現して、他には町も人も一切生み出さず、ただ昔をなぞる様に、穏やかで幸せな日々を送り続けていた。



「これがスローライフって言うのかしら」


「そろそろ刺激が欲しくなりましたか? 解禁しますか?」


 何をかな? 昼の部かな?



「ゆっくりし過ぎて日付の感覚が無くなるのよね」


 だよね~。



「いっそ仕事でもします? アルカディア発展計画もまだまだ先は長いのですし」


「あったわね~。そんな話も」


 いやいや。



「主観時間で半年以上前に一ヶ月頑張った程度の事なんてもう忘れてしまったわ」


 まだ忘れるには早いと思う。まあそれだけ今の穏やか過ぎる日々が何もかも溶かしていっちゃうんだけども。私達これまでが忙しすぎたから。というかもう半年経ってるのね。なんだか全然物足りないような。やっぱりハルちゃん達が恋しいような。



「それは仕事の事なんか考えたくないという意味ですか?」


「そうよ。ノアも読み取れるようになったじゃない」


 なるへそ。



「わかったなら話を変えなさい。刺激が欲しいって話には賛成するわ」


「くすぐったい」


 安直ね。しかもやる気ないし。人の身体触るならもう少し心を込めなさいな。



「こんな時間からおっぱじめないでください。余計時間の感覚なんて無くなりますよ。健全な生活には日々のメリハリも大切です」


「マノンみたいな事を言うわね。ノアちゃんらしくない」


 昔はともかく今のノアちゃんは自分だけこっそり生活リズムを整えるタイプだ。私達に合わせろと言ってくる事は滅多にない。最初はその辺も厳しかったのだが、段々と丸くなっていったのだ。実はノアちゃんなりに色々思うところがあったのも私はよく知っている。



「自分だってついさっき欲情してたじゃない」


 だよね。明らかに期待してたよね。そんな目と耳と尻尾してた。



「そんなカマかけは通用しませんよ。ここではパスも無いのですから」


 なんで惚けるし。



「パスなんか無くたってノアの事はなんでもわかるわ」


「私もわかる。さっきのノアちゃんは運動したがってた」


 今にもダイブしてきそうだった。



「ならちゃんと我慢したじゃないですか」


「その必要あるかしら?」


「他にやりたい事が出来ただけでしょ」


 ノアちゃんは気まぐれだから。



「話しが早いですね♪ それでは行きましょう♪」


 まだ賛成してないけど。まあいいけど。なんでも付き合うよ。

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